Say those three little words.
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他キャラの視点から語った影山とヒロインについて。
キャラが変わるごとに時系列の変化も表しているので、あらすじ感覚でどうぞ。
読まなくても平気なので先へ進んでいただいても構いません。
**
*日向*
清水先輩と苗字先輩は揃って烏野二大美女って呼ばれていた。清水先輩は冷たいわけではないけど、いつも真顔でいることが多いからかツンとした印象。苗字先輩は目が合うとふわっと微笑んでくれて話しやすい。部活でもなんでも、すぐ褒めてくれて絶対貶したりしない。他の部とかけもちでもしているのか、毎日は放課後の部活に来ないし、練習試合や合宿も来れないことがあった。それでも部や部員のことは詳しかったし、先輩たちも信頼してるのがわかった。朝のうちは時間があるのか、おれのレシーブやトスの練習にいつも付き合ってくれた。
影山のことが好きだなんてぜんぜん気づかなかった。あるとき谷地さんの二人を見る目がなんというか、あったかいようでハラハラしているような、背中を押したいのに押せなくてガッカリしている感じだった。どうしたのだろうと思っていたら「お似合いなのに」とこぼしていたから「え?」と聞いたら「あっ」て焦っていた。明らかに口を滑らせた感じだった。「なんでもないよ」と言うわりになにかがあるのを隠しきれてない。問い詰めることはしなかったけど、さすがにおれでも気になった。
それから苗字先輩と影山のやりとりを注意深く見るようになったものの、先輩と後輩以上の関係ではなさそうだった。影山はあんなだし、苗字先輩は相手が誰でも分け隔てなく優しく接してくれる。確信したのは3年の先輩たちが仲を取り持とうとしている言動が端々に見られたから。
下手にひっかきまわすのも嫌で、先輩の在学中おれはなにもできなかった。
**
*月島*
気づいたとき、面倒だなぁって思った。もしカップル成立なんてしたら。馬鹿みたいなことで痴話喧嘩されて部の空気壊されるのなんて最悪だし。ほとんど毎日顔を合わせる人たちの痴情のもつれなんて、巻き込まれるのはごめんだ。
実際は苗字先輩が卒業するまで驚くほどなにもなかった。さすが馬鹿な王様、鈍すぎる。こっちは助かったけど。ただ苗字先輩がちょっとかわいそうだったかも。だって他の女子みたいな特別なアピールもしてなかったから仕方ないよね。
だから僕も協力する気は一切なかった。美人だから引く手あまただったのによりによって影山を選ぶとか、悪趣味だし。2年のウルサイ先輩たちは警戒して威嚇してたみたいだけど、3年の先輩たちはそれとなく二人を構ってた。
だから何事もなく先輩たちが卒業して、縁が切れたから影山ざまぁくらいには思ってて良いよね。
**
*山口*
先輩と影山になにかあるのかな、って感じとったのは1年の夏が終わって秋の半ばくらい。ふとツッキーが「イライラする」って呟いてたから、また影山か日向がなんかやってんのかなって思ったけど目線の先には苗字先輩と影山っていう意外な組み合わせだった。影山はともかく、人当たりの良い神永先輩がツッキーを苛立たせるなんてこと皆無なのに。「山口は気づいてないの?眼鏡買えば?」って言われて、えぇーって引いた。本人たちは普通にしてるけど二人をとりまく先輩たちの雰囲気が、なんかもう、見守りモードだった。
そういうことか。
あの裏表のない先輩が、いや影山もある意味裏表ないけど、好きになった相手が影山。
クラスの女子にもたまに聞かれる。あのイケメンでセッターの人、誰?って。ツッキーに加えて影山もモテる。でも普段の生活、授業態度とか一度見て、世間話でもしてみれば幻滅していくほうが多かった。
苗字先輩は影山が勉強できないのも時折会話が成り立たないのだとか寝汚さも、実際見てきたし1年生の話を通してもたくさん知ってるから、もしそれが恋だとしたら本気なんだろうなって思った。
先輩が卒業したら、影山との関係は終わる。不思議なことに新しく始まらず、終わったままだった。進級してから影山がたまに寝るでもなくぼーっと考えごとしてるの気味が悪かった。部活はキレキレだったからそのギャップがすごくて。あとから恋心に自覚しちゃったんだなって。遅いよ。
まだ学生だった頃に、苗字先輩が練習試合に応援だけ来てくれたことがあった。帰りにバスに一緒に乗らないって気づいた影山がさ、わざわざ話をしに行ってたんだよ。あれ、絶対好きってことだよね。自覚なかったみたいだけど。
**
*西谷*
田中と一緒に潔子さんとなまえさんを崇めているのが俺らの楽しみだった。外部との接触がある場合、自慢の美人マネズに悪い虫がつかないように男どもを追い払ったものだ。
まさかなまえ先輩が想いを寄せているとは青天の霹靂で。
俺が謹慎している間に出会ってしまったとはいえ、事故を未然に防げなかったのは不覚。なまえさんが汚されてしまう、と危惧したが心配は無用だった。いくらなまえさんが好意を抱こうとも、相手に伝えるつもりがなかった。影山も恋心なんて理解していなかった。俺としては見守りつつ周囲を牽制するしかなかったが、こあさんは俺たち含め寄ってたかってくる者どもをあしらうのに慣れていたし、影山はわずかながら寄せられた女子の好意を無意識スルーするばかりで、まぁつまり、俺は何もしていないに等しい。
何度か元バレー部で遊んだ。
旭さんはまめに連絡くれていたが、なまえさんの近況を話すこともなく俺は世界をあちこちしていたのでその後は把握していない。
**
*田中*
入学してから美人のマネが二人いると、ノヤと騒ぎまくった。お二人を守るのは俺らの役目だと請け負っていた。潔子さんは強く美しく、なまえ先輩は優しく美しい。
影山に「なまえ先輩がお優しいからって勘違いすんなよ」と警告しても「何がすか」と全く自覚がない様子だった。(正直、潔子さんじゃなくて良かったと安心したりもした。)あんなに人気があるお方と噂になったりしたら、周囲からいじめられるのが目に見える後輩がかわいそうじゃないか。先輩として後輩としてなまえ先輩と影山を両方守ってやらねば。いや影山もそれなりにイケメンだし(バレーでは)ハイスペックだけど。アレだな、残念なほうのイケメンだからな。俺も人のこと言えねーけど、相当馬鹿だし。他人の心の機微に鈍いし。鈍いというか他からどう思われてようが関係ない、が正解か。
先輩が卒業したらアクション起こしても多めに見てやろうと思ってた。きっぱり断ち切れたとは信じられなかった。
顔を合わせても、関係を深めようとはしていないようだった。
影山を見ているなまえ先輩に「それで良いんすか」ってきいても「何が?」って微笑んだ。少し寂しそうで、何を言っていいかわかんなくなって、口を尖らせるしかなかった。性格も全く似てないはずなのに答え方がこんなにも似てくるとは。
潔子さんもなまえ先輩も、公式試合のときなんかは応援しにきてくれていた。相変わらず全員に分け隔てなく声をかけてくれる優しさは変わらなかった。
俺らの卒業後、なまえさんは一般企業に就職していて、バレー部OBの集まりにはたまに参加してくれた。彼氏が何人かいたみたいだ。今カレとも上手くいってないって潔子さんから聞いてしまった。
**
*東峰*
別に苗字は高望みだったとかじゃないと思うんだ。少なくとも二人の出会いは高校生同士だったわけだし。本人もしっかりしてて、人付き合いもよくて、彼女と付き合いたいって輩はどの学年にもいた。選り取り見取りの環境ではあったけど、驕らずちゃんと人の中身を見てくれる子だし、学生のうちは彼氏を作りたくないって方針だとある時漏らしていた。社会人になるのは早かったけどナンパ含めよく声かけられてたみたいだしそのうち何人かとは正式にお付き合いを始めたときいた。どれも長続きしなかったけど、どうやらどれも彼氏の嫉妬が原因だな。苗字にも非はあると思う。だってずっと影山のこと忘れられなかったわけじゃん。男からしたらもういい加減忘れて現実 を見ろよってなるだろ。
**
*澤村*
こういうのはほら、他人が介入してもこじれちゃったりするだろ。主将の俺がお膳立てするのも強制するみたいで嫌だし。苗字が一歩踏み出していれば、違ったかもな。違っただろうか。相手が影山で。たぶん学生のうちは無理だったんじゃなかろうか。たかが年齢差2個って言っても、社会人が高校生と……っていうのは醜聞だろ。そして二人ともが社会人になったときにはプロと一般人って深い溝が広がった。
苗字が初カレと試合見にきてたときさぁ、彼氏さんは苗字しか見てないのに、苗字は影山しか見てないしっていう歪な三角関係だった。更に影山はちょくちょくこっち(苗字)に視線送るしさぁ。残されたのは破局しかなかった。菅原なんかは当然だろって喜んでたけど。いや、喜べねーよ。気まずいわ。
**
*菅原*
好きになった奴がたまたまハイスペックで―それと同じくらい馬鹿だったのが苗字の失態だな。影山は素直でいい奴だけど、恋愛向きじゃないからな、明らかに。冷やかしたこともあるけど、苗字には真剣に幸せになって欲しいって願ってたよ。
お互い好きみたいなのに、なんでこんな難しいことになってんのかな。苗字はたかが一ファン気取りだし、影山は神永に彼氏いるときにぶつかっていっちゃうし。いや、無理矢理奪っても良かったと思うよ俺は。たぶんそっちが正解。歴代の彼氏見てたらさ、ダメだよあいつら。東峰のほうがいい男に見えたね(え、スガ、それ俺のこと貶してるよね)。でも、影山いい奴だからさ。苗字が幸せなら水差せないよなって引いたんだろうなぁ。わりと常識がないようで礼儀は弁えてるヤツなんだよ。
**
*清水*
……ばか。
なまえが好きだけど、近づく気はないよ。って宣言したときそう罵倒しちゃった。
なまえの、どうしたって厄介ごとが増えるから学生のうちは誰とも付き合いたくないって考えは同感だし尊重するけど、好きになった気持ちを抑えることないのに。
田中とのこともずっと黙っててくれたし、私も影山とのこと応援したかったけど。一線引いてちょっと遠い存在になっちゃったから。なまえはもちろん私にも手出しできない。学校という括りから外されると、その中に入るのってほんと難しい。特に外からは行動できない。肩書が社会人と学生、だもんね。
なまえが成人してやっと準備できた時には嫉妬深い男にばっか引っかかっちゃって。もうなまえは、誰かさんを選んじゃってるのに。叶わないと思い込んで意識して他を見ようと努力してたんだよね。
影山も遅いけどやっと気づいて、行動起こしたりもしてたね。
どっちも諦めなければ、運命は繋げてくれるんだよ。
だから、がんばれ。
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*谷地*
谷地仁花、ひと肌脱ぎます!
なまえ先輩のためとあらば、パイプ役もなんのそのです。
あの灼熱の時間のおかげで、影山君とも日向とも連絡は途切れないでいた。プロになろうと海外に武者修行にいこうとも私がただの村人Bであろうとも。
影山君はなまえ先輩の話をきいてきたりしなかったけど、応援席に先輩と一緒にいるとガン見してたし。わかりにくいようでわかりやすい。
そんな中、お母さんの知り合いの式場の広告のために、モデルを募集しているとの依頼が飛び込んできた。私だと身長が足りないので誰か友達でも若くてドレス着てくれる人はいないかと打診があった。
こうなったら無理にでも会わせるしかないのですよ。もやもやを続けるよりも当たって砕けてすっきりしてほしい。
それにしても日程調節に裏工作、大変でした…。
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他キャラの視点から語った影山とヒロインについて。
キャラが変わるごとに時系列の変化も表しているので、あらすじ感覚でどうぞ。
読まなくても平気なので先へ進んでいただいても構いません。
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*日向*
清水先輩と苗字先輩は揃って烏野二大美女って呼ばれていた。清水先輩は冷たいわけではないけど、いつも真顔でいることが多いからかツンとした印象。苗字先輩は目が合うとふわっと微笑んでくれて話しやすい。部活でもなんでも、すぐ褒めてくれて絶対貶したりしない。他の部とかけもちでもしているのか、毎日は放課後の部活に来ないし、練習試合や合宿も来れないことがあった。それでも部や部員のことは詳しかったし、先輩たちも信頼してるのがわかった。朝のうちは時間があるのか、おれのレシーブやトスの練習にいつも付き合ってくれた。
影山のことが好きだなんてぜんぜん気づかなかった。あるとき谷地さんの二人を見る目がなんというか、あったかいようでハラハラしているような、背中を押したいのに押せなくてガッカリしている感じだった。どうしたのだろうと思っていたら「お似合いなのに」とこぼしていたから「え?」と聞いたら「あっ」て焦っていた。明らかに口を滑らせた感じだった。「なんでもないよ」と言うわりになにかがあるのを隠しきれてない。問い詰めることはしなかったけど、さすがにおれでも気になった。
それから苗字先輩と影山のやりとりを注意深く見るようになったものの、先輩と後輩以上の関係ではなさそうだった。影山はあんなだし、苗字先輩は相手が誰でも分け隔てなく優しく接してくれる。確信したのは3年の先輩たちが仲を取り持とうとしている言動が端々に見られたから。
下手にひっかきまわすのも嫌で、先輩の在学中おれはなにもできなかった。
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*月島*
気づいたとき、面倒だなぁって思った。もしカップル成立なんてしたら。馬鹿みたいなことで痴話喧嘩されて部の空気壊されるのなんて最悪だし。ほとんど毎日顔を合わせる人たちの痴情のもつれなんて、巻き込まれるのはごめんだ。
実際は苗字先輩が卒業するまで驚くほどなにもなかった。さすが馬鹿な王様、鈍すぎる。こっちは助かったけど。ただ苗字先輩がちょっとかわいそうだったかも。だって他の女子みたいな特別なアピールもしてなかったから仕方ないよね。
だから僕も協力する気は一切なかった。美人だから引く手あまただったのによりによって影山を選ぶとか、悪趣味だし。2年のウルサイ先輩たちは警戒して威嚇してたみたいだけど、3年の先輩たちはそれとなく二人を構ってた。
だから何事もなく先輩たちが卒業して、縁が切れたから影山ざまぁくらいには思ってて良いよね。
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*山口*
先輩と影山になにかあるのかな、って感じとったのは1年の夏が終わって秋の半ばくらい。ふとツッキーが「イライラする」って呟いてたから、また影山か日向がなんかやってんのかなって思ったけど目線の先には苗字先輩と影山っていう意外な組み合わせだった。影山はともかく、人当たりの良い神永先輩がツッキーを苛立たせるなんてこと皆無なのに。「山口は気づいてないの?眼鏡買えば?」って言われて、えぇーって引いた。本人たちは普通にしてるけど二人をとりまく先輩たちの雰囲気が、なんかもう、見守りモードだった。
そういうことか。
あの裏表のない先輩が、いや影山もある意味裏表ないけど、好きになった相手が影山。
クラスの女子にもたまに聞かれる。あのイケメンでセッターの人、誰?って。ツッキーに加えて影山もモテる。でも普段の生活、授業態度とか一度見て、世間話でもしてみれば幻滅していくほうが多かった。
苗字先輩は影山が勉強できないのも時折会話が成り立たないのだとか寝汚さも、実際見てきたし1年生の話を通してもたくさん知ってるから、もしそれが恋だとしたら本気なんだろうなって思った。
先輩が卒業したら、影山との関係は終わる。不思議なことに新しく始まらず、終わったままだった。進級してから影山がたまに寝るでもなくぼーっと考えごとしてるの気味が悪かった。部活はキレキレだったからそのギャップがすごくて。あとから恋心に自覚しちゃったんだなって。遅いよ。
まだ学生だった頃に、苗字先輩が練習試合に応援だけ来てくれたことがあった。帰りにバスに一緒に乗らないって気づいた影山がさ、わざわざ話をしに行ってたんだよ。あれ、絶対好きってことだよね。自覚なかったみたいだけど。
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*西谷*
田中と一緒に潔子さんとなまえさんを崇めているのが俺らの楽しみだった。外部との接触がある場合、自慢の美人マネズに悪い虫がつかないように男どもを追い払ったものだ。
まさかなまえ先輩が想いを寄せているとは青天の霹靂で。
俺が謹慎している間に出会ってしまったとはいえ、事故を未然に防げなかったのは不覚。なまえさんが汚されてしまう、と危惧したが心配は無用だった。いくらなまえさんが好意を抱こうとも、相手に伝えるつもりがなかった。影山も恋心なんて理解していなかった。俺としては見守りつつ周囲を牽制するしかなかったが、こあさんは俺たち含め寄ってたかってくる者どもをあしらうのに慣れていたし、影山はわずかながら寄せられた女子の好意を無意識スルーするばかりで、まぁつまり、俺は何もしていないに等しい。
何度か元バレー部で遊んだ。
旭さんはまめに連絡くれていたが、なまえさんの近況を話すこともなく俺は世界をあちこちしていたのでその後は把握していない。
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*田中*
入学してから美人のマネが二人いると、ノヤと騒ぎまくった。お二人を守るのは俺らの役目だと請け負っていた。潔子さんは強く美しく、なまえ先輩は優しく美しい。
影山に「なまえ先輩がお優しいからって勘違いすんなよ」と警告しても「何がすか」と全く自覚がない様子だった。(正直、潔子さんじゃなくて良かったと安心したりもした。)あんなに人気があるお方と噂になったりしたら、周囲からいじめられるのが目に見える後輩がかわいそうじゃないか。先輩として後輩としてなまえ先輩と影山を両方守ってやらねば。いや影山もそれなりにイケメンだし(バレーでは)ハイスペックだけど。アレだな、残念なほうのイケメンだからな。俺も人のこと言えねーけど、相当馬鹿だし。他人の心の機微に鈍いし。鈍いというか他からどう思われてようが関係ない、が正解か。
先輩が卒業したらアクション起こしても多めに見てやろうと思ってた。きっぱり断ち切れたとは信じられなかった。
顔を合わせても、関係を深めようとはしていないようだった。
影山を見ているなまえ先輩に「それで良いんすか」ってきいても「何が?」って微笑んだ。少し寂しそうで、何を言っていいかわかんなくなって、口を尖らせるしかなかった。性格も全く似てないはずなのに答え方がこんなにも似てくるとは。
潔子さんもなまえ先輩も、公式試合のときなんかは応援しにきてくれていた。相変わらず全員に分け隔てなく声をかけてくれる優しさは変わらなかった。
俺らの卒業後、なまえさんは一般企業に就職していて、バレー部OBの集まりにはたまに参加してくれた。彼氏が何人かいたみたいだ。今カレとも上手くいってないって潔子さんから聞いてしまった。
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*東峰*
別に苗字は高望みだったとかじゃないと思うんだ。少なくとも二人の出会いは高校生同士だったわけだし。本人もしっかりしてて、人付き合いもよくて、彼女と付き合いたいって輩はどの学年にもいた。選り取り見取りの環境ではあったけど、驕らずちゃんと人の中身を見てくれる子だし、学生のうちは彼氏を作りたくないって方針だとある時漏らしていた。社会人になるのは早かったけどナンパ含めよく声かけられてたみたいだしそのうち何人かとは正式にお付き合いを始めたときいた。どれも長続きしなかったけど、どうやらどれも彼氏の嫉妬が原因だな。苗字にも非はあると思う。だってずっと影山のこと忘れられなかったわけじゃん。男からしたらもういい加減忘れて
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*澤村*
こういうのはほら、他人が介入してもこじれちゃったりするだろ。主将の俺がお膳立てするのも強制するみたいで嫌だし。苗字が一歩踏み出していれば、違ったかもな。違っただろうか。相手が影山で。たぶん学生のうちは無理だったんじゃなかろうか。たかが年齢差2個って言っても、社会人が高校生と……っていうのは醜聞だろ。そして二人ともが社会人になったときにはプロと一般人って深い溝が広がった。
苗字が初カレと試合見にきてたときさぁ、彼氏さんは苗字しか見てないのに、苗字は影山しか見てないしっていう歪な三角関係だった。更に影山はちょくちょくこっち(苗字)に視線送るしさぁ。残されたのは破局しかなかった。菅原なんかは当然だろって喜んでたけど。いや、喜べねーよ。気まずいわ。
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*菅原*
好きになった奴がたまたまハイスペックで―それと同じくらい馬鹿だったのが苗字の失態だな。影山は素直でいい奴だけど、恋愛向きじゃないからな、明らかに。冷やかしたこともあるけど、苗字には真剣に幸せになって欲しいって願ってたよ。
お互い好きみたいなのに、なんでこんな難しいことになってんのかな。苗字はたかが一ファン気取りだし、影山は神永に彼氏いるときにぶつかっていっちゃうし。いや、無理矢理奪っても良かったと思うよ俺は。たぶんそっちが正解。歴代の彼氏見てたらさ、ダメだよあいつら。東峰のほうがいい男に見えたね(え、スガ、それ俺のこと貶してるよね)。でも、影山いい奴だからさ。苗字が幸せなら水差せないよなって引いたんだろうなぁ。わりと常識がないようで礼儀は弁えてるヤツなんだよ。
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*清水*
……ばか。
なまえが好きだけど、近づく気はないよ。って宣言したときそう罵倒しちゃった。
なまえの、どうしたって厄介ごとが増えるから学生のうちは誰とも付き合いたくないって考えは同感だし尊重するけど、好きになった気持ちを抑えることないのに。
田中とのこともずっと黙っててくれたし、私も影山とのこと応援したかったけど。一線引いてちょっと遠い存在になっちゃったから。なまえはもちろん私にも手出しできない。学校という括りから外されると、その中に入るのってほんと難しい。特に外からは行動できない。肩書が社会人と学生、だもんね。
なまえが成人してやっと準備できた時には嫉妬深い男にばっか引っかかっちゃって。もうなまえは、誰かさんを選んじゃってるのに。叶わないと思い込んで意識して他を見ようと努力してたんだよね。
影山も遅いけどやっと気づいて、行動起こしたりもしてたね。
どっちも諦めなければ、運命は繋げてくれるんだよ。
だから、がんばれ。
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*谷地*
谷地仁花、ひと肌脱ぎます!
なまえ先輩のためとあらば、パイプ役もなんのそのです。
あの灼熱の時間のおかげで、影山君とも日向とも連絡は途切れないでいた。プロになろうと海外に武者修行にいこうとも私がただの村人Bであろうとも。
影山君はなまえ先輩の話をきいてきたりしなかったけど、応援席に先輩と一緒にいるとガン見してたし。わかりにくいようでわかりやすい。
そんな中、お母さんの知り合いの式場の広告のために、モデルを募集しているとの依頼が飛び込んできた。私だと身長が足りないので誰か友達でも若くてドレス着てくれる人はいないかと打診があった。
こうなったら無理にでも会わせるしかないのですよ。もやもやを続けるよりも当たって砕けてすっきりしてほしい。
それにしても日程調節に裏工作、大変でした…。
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