Say those three little words.
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クラスの男子に、バレー部の正式マネでもないのにどうしてバレー部に通うのか、好きな奴でもいるのか、と聞かれたことがある。
「いるよ」
え、いんの。誰?
「潔子」
ハートマークをつける勢いで答えると、そっちかー、と笑っていた。
嘘はついてない。大好きな親友。
**
「影山君、指にテーピングしないの?」
「要らないです。ボールと指先の間になにかあると感覚が鈍るんで」
きっぱりとした返答に、そう、とだけしか言えない。何事もなかったかのように練習に戻る。
ちょっと話すきっかけを、と期待した自分が恥ずかしかった。行動しないと決めていたのに。彼の長い指を見ていたらつい。田中が気遣うような目線をくれるが、どうもかける言葉を探しあぐねている。それに微笑むと隣の西谷が頬を染めていた。
「苗字、俺にテーピングしてくれよ」
もう一人のセッター菅原がテープの束を指先につまんで寄ってくる。
「もちろんやるよ。どの指?」
「ぜーんぶ!」
「え、ぜんぶ?」
「そのほうがテーピング練習できるべ」
「そうね。かしこまりました。……ありがとう」
練習台になってくれて。あと気持ちを汲んでくれて。その両方をわかっているようで、菅原は元気いっぱいに礼を受けた。
「どういたしまして!」
**
家の手伝いの日。店には閑古鳥が鳴いていた。たまにはこんな日もある。料理人の父親に頼まれて、外の立て看板を取り込みに外にでた。
「影山君。部活終わったの?」
「ウス。ここでバイトしてるんですか?」
「実家だよ。定食屋やってるの。早いけど今夜はお客さんが少ないから、もう閉めようかってとこ」
「そっすか」
「影山君、寄り道?夕食お家で食べないの?」
「なんか腹減って家に着くまで何か胃に入れとこうと思って。親遅いんで」
「せっかくだからうちで食べていかない?初来店記念に先輩がおごるよ。いまなら貸し切り」
「いいんすか」
「材料余っちゃったからいっぱい食べてくれると嬉しいな。じゃあ、入って」
下げ看板をひっくり返して、準備中の表示にした。
いらっしゃい。お客さんかい、友達かい。包丁の手入れをしていた父がホールまで出てきて、そう尋ねた。
「本日最後のお客さんです。学校の後輩でバレー部なの。何か作ってあげて」
「影山飛雄です」
どうも、娘が部活で世話になってます。冗談めかして言う。
「ハイ、イイエ」
父親はどっちだ?と不思議そうにしたが、好みは何かと聞いてきた。
「なんでも食えます」
「豚肉あるでしょう?ポークカレーに温玉乗せて。大盛で」
なまえが横入りすると、影山の頬が紅潮した。作れるんすか、と尋ねるとシェフから任せて。と返ってきた。
「影山君は座ってゆっくりしてね」
「いや、でも、なんか手伝います」
手持ち無沙汰で暇を持て余してしまう。
「なら、テーブル拭いてくれる?」
折りたたまれた台拭きを手渡すと、短い返事。
**
クラスの男子に、バレー部の正式マネでもないのにどうしてバレー部に通うのか、好きな奴でもいるのか、と聞かれたことがある。
「いるよ」
え、いんの。誰?
「潔子」
ハートマークをつける勢いで答えると、そっちかー、と笑っていた。
嘘はついてない。大好きな親友。
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「影山君、指にテーピングしないの?」
「要らないです。ボールと指先の間になにかあると感覚が鈍るんで」
きっぱりとした返答に、そう、とだけしか言えない。何事もなかったかのように練習に戻る。
ちょっと話すきっかけを、と期待した自分が恥ずかしかった。行動しないと決めていたのに。彼の長い指を見ていたらつい。田中が気遣うような目線をくれるが、どうもかける言葉を探しあぐねている。それに微笑むと隣の西谷が頬を染めていた。
「苗字、俺にテーピングしてくれよ」
もう一人のセッター菅原がテープの束を指先につまんで寄ってくる。
「もちろんやるよ。どの指?」
「ぜーんぶ!」
「え、ぜんぶ?」
「そのほうがテーピング練習できるべ」
「そうね。かしこまりました。……ありがとう」
練習台になってくれて。あと気持ちを汲んでくれて。その両方をわかっているようで、菅原は元気いっぱいに礼を受けた。
「どういたしまして!」
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家の手伝いの日。店には閑古鳥が鳴いていた。たまにはこんな日もある。料理人の父親に頼まれて、外の立て看板を取り込みに外にでた。
「影山君。部活終わったの?」
「ウス。ここでバイトしてるんですか?」
「実家だよ。定食屋やってるの。早いけど今夜はお客さんが少ないから、もう閉めようかってとこ」
「そっすか」
「影山君、寄り道?夕食お家で食べないの?」
「なんか腹減って家に着くまで何か胃に入れとこうと思って。親遅いんで」
「せっかくだからうちで食べていかない?初来店記念に先輩がおごるよ。いまなら貸し切り」
「いいんすか」
「材料余っちゃったからいっぱい食べてくれると嬉しいな。じゃあ、入って」
下げ看板をひっくり返して、準備中の表示にした。
いらっしゃい。お客さんかい、友達かい。包丁の手入れをしていた父がホールまで出てきて、そう尋ねた。
「本日最後のお客さんです。学校の後輩でバレー部なの。何か作ってあげて」
「影山飛雄です」
どうも、娘が部活で世話になってます。冗談めかして言う。
「ハイ、イイエ」
父親はどっちだ?と不思議そうにしたが、好みは何かと聞いてきた。
「なんでも食えます」
「豚肉あるでしょう?ポークカレーに温玉乗せて。大盛で」
なまえが横入りすると、影山の頬が紅潮した。作れるんすか、と尋ねるとシェフから任せて。と返ってきた。
「影山君は座ってゆっくりしてね」
「いや、でも、なんか手伝います」
手持ち無沙汰で暇を持て余してしまう。
「なら、テーブル拭いてくれる?」
折りたたまれた台拭きを手渡すと、短い返事。
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