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お昼のチャイムが鳴ってから、なまえと日向がそろって影山を迎えに来た。影山からは頼んでいない。
なまえはにこにこと、「みんなでお昼食べようと思って」と自分の弁当箱を掲げた。「これから仁花ちゃんとこも行くよ」と付け加えた。
「仁花ちゃ~ん!お昼一緒に食べよ!」
「わぁ!行きます!」
なんだかんだで山口と月島も誘い出すことに成功し、1年生メンバーが全員集合した。
それぞれのお弁当箱やら購買で買ったパンを出して、食事を始める。
「なんでこのメンバー…どうせ部活で会うじゃん」
「みんなでお昼食べるのも楽しいじゃん。ほら、女子もいるよ」
「うるさい山口」
「ごめんツッキー…」
いつもの会話をききながら、なまえと仁花はとくに嬉しそうにしている。
食べ終わって、ごちそうさま、と手を合わせた。
「おいなまえ、ここ…」
最後まではっきり言わずに、己のほほを指さしながら、言わんとすることを伝える。
なまえは影山の指先を見つめて、すっとそちらに近づいてくる。
なんで近づいてくるんだ、と疑問に思うのと同時に、
ちゅっ、
とかわいらいしいリップ音が鳴った。
「…はっ?…」
耳元で響いた小さな音と頬に当たった感触がよっぽど衝撃的だったらしく、身動きできずにいる影山の姿に、なまえも驚いていた。
「え?
違った?」
なまえは日向と仁花を振り返って、その真っ赤に染まった二つの顔に、なにか自分は間違いを起こしたらしいことにようやく気付いた。
「なまえちゃん、影山くんはね、なまえちゃんのほっぺたにご飯粒がついてるよって教えてあげてたんだよ」
「ん?…あ、ほんとだとれた」
なまえは自分のほほを撫でて、そこにくっつく白い粒を見つけた。ポケットから出したティッシュに丸めて、空になったお弁当箱にしまった。
「ごめん。パパによくそうされてて…ほっぺた指さしてたらキスして、でしょ?」
「まずそれ日本の文化じゃないだろ」
いくら愛娘がかわいいからといって、なんという習慣を教え込んでいるんだこの子の父親は。世の中には信じられない人種がいる、と月島がドン引きしている。
「いや、つーか付き合ってもいない男子にチューするかよ」
「友達だし…しないの?ほっぺただよ?」
「しないよ!」
仁花はぶんぶん、と首を左右に振る。結ばれた髪の一房がばしばしと額を叩いている。そんなに激しく否定しなくても、と少し悲しくなった。
「Oh boy…またやっちゃったーculture shock?」
「いちばんショック受けてんのは影山じゃないかな…」
いまだに一言も発していない真っ白い影山を見て、山口は哀れんだ。
「影山―?おい、王様ー?」
日向が面白がって影山の顔の前で手を振ったり、頭をつついたりしても反応はない。
彼の嫌うあだ名で呼んだところでようやく、大きな手が日向の顔面をわしづかみにした。
「っんだ今の…」
「ごめん影山くん、私間違ったみたい?次からは気を付けるね」
「何をどう間違ったっつーんだ」
一呼吸おいて、返答する。
「んーと、文化?かな」
「わけがわからねぇ」
影山の疑問が解決されないまま昼休みは終了してしまった。
**
読んでくださりありがとうございます。
ちなみに作者の実話ネタです。
お昼のチャイムが鳴ってから、なまえと日向がそろって影山を迎えに来た。影山からは頼んでいない。
なまえはにこにこと、「みんなでお昼食べようと思って」と自分の弁当箱を掲げた。「これから仁花ちゃんとこも行くよ」と付け加えた。
「仁花ちゃ~ん!お昼一緒に食べよ!」
「わぁ!行きます!」
なんだかんだで山口と月島も誘い出すことに成功し、1年生メンバーが全員集合した。
それぞれのお弁当箱やら購買で買ったパンを出して、食事を始める。
「なんでこのメンバー…どうせ部活で会うじゃん」
「みんなでお昼食べるのも楽しいじゃん。ほら、女子もいるよ」
「うるさい山口」
「ごめんツッキー…」
いつもの会話をききながら、なまえと仁花はとくに嬉しそうにしている。
食べ終わって、ごちそうさま、と手を合わせた。
「おいなまえ、ここ…」
最後まではっきり言わずに、己のほほを指さしながら、言わんとすることを伝える。
なまえは影山の指先を見つめて、すっとそちらに近づいてくる。
なんで近づいてくるんだ、と疑問に思うのと同時に、
ちゅっ、
とかわいらいしいリップ音が鳴った。
「…はっ?…」
耳元で響いた小さな音と頬に当たった感触がよっぽど衝撃的だったらしく、身動きできずにいる影山の姿に、なまえも驚いていた。
「え?
違った?」
なまえは日向と仁花を振り返って、その真っ赤に染まった二つの顔に、なにか自分は間違いを起こしたらしいことにようやく気付いた。
「なまえちゃん、影山くんはね、なまえちゃんのほっぺたにご飯粒がついてるよって教えてあげてたんだよ」
「ん?…あ、ほんとだとれた」
なまえは自分のほほを撫でて、そこにくっつく白い粒を見つけた。ポケットから出したティッシュに丸めて、空になったお弁当箱にしまった。
「ごめん。パパによくそうされてて…ほっぺた指さしてたらキスして、でしょ?」
「まずそれ日本の文化じゃないだろ」
いくら愛娘がかわいいからといって、なんという習慣を教え込んでいるんだこの子の父親は。世の中には信じられない人種がいる、と月島がドン引きしている。
「いや、つーか付き合ってもいない男子にチューするかよ」
「友達だし…しないの?ほっぺただよ?」
「しないよ!」
仁花はぶんぶん、と首を左右に振る。結ばれた髪の一房がばしばしと額を叩いている。そんなに激しく否定しなくても、と少し悲しくなった。
「Oh boy…またやっちゃったーculture shock?」
「いちばんショック受けてんのは影山じゃないかな…」
いまだに一言も発していない真っ白い影山を見て、山口は哀れんだ。
「影山―?おい、王様ー?」
日向が面白がって影山の顔の前で手を振ったり、頭をつついたりしても反応はない。
彼の嫌うあだ名で呼んだところでようやく、大きな手が日向の顔面をわしづかみにした。
「っんだ今の…」
「ごめん影山くん、私間違ったみたい?次からは気を付けるね」
「何をどう間違ったっつーんだ」
一呼吸おいて、返答する。
「んーと、文化?かな」
「わけがわからねぇ」
影山の疑問が解決されないまま昼休みは終了してしまった。
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読んでくださりありがとうございます。
ちなみに作者の実話ネタです。
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