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烏養監督から部活終了の指示を出され、みんなで片付けにとりかかる。なまえは籠を引き回しつつ散らばっているボールを回収しだした。用具室に籠を戻そうとコロコロ転がしていたら、声をかけられた。
「なまえ」
ボールが影山の手に吸盤でもついているかのように、片手だけにしっかり握られている。ぽん、と軽く投げられたそれを両手で受け止める。
「端に転がってたぞ」
「
「なにをだ」
「片手でボール持つの」
言いながら、上から右手で覆うようにボールを持つが、あっけなく床に落ちて跳ねた。転がってきたボールを影山はいともたやすく、また片手でつかみ上げる。
「知らね。できないのか?」
手渡しされたボールを、どれだけ指を広げて包み込むようにしても、力を込めても、ボールは重力に逆らうことはなかった。
ぽとり、と落ちたそれではなくなまえの手をじっと見て、しみじみとつぶやいた。
「手、ちっせ…」
「えぇーやっぱり、手の大きさ?」
「しょーがねぇだろ、一日二日ででかくなるわけないし」
ほら、と下からボールをすくいあげ、なまえの手のひらにくっつける。爪を立てようとしても、表面をするすると滑る。
「あっこら爪立ててんじゃねぇ。傷つくだろうが」
ぱっと上から押し付けられて、簡単につぶされる。影山の手ははるかに大きくて、なまえの手をすっぽり隠してしまった。
影山の手を間近で見つめて、遠くからだと細くてきれいな指をしていると思っていたが、自分の手と比較すると、指は長くはあるが節もごつごつとしっかりしていて、短く整えられた平たい爪も男らしかった。
「なにやってんの王様、と…苗字さん。片付けサボらないでくれる」
モップを戻しにきた月島が嫌味ったらしくふたりに絡む。
「月島くん?ちょっとボール持ってみて」
「はぁ?」
「
怪訝な表情を浮かべつつも、なまえがボールを渡すと、そのまま片手で受け取った。
「月島くんもできるんだぁ。私できないんだよね」
「そんなのしょーがなくない?女子なんだし」
「なんかいいなーボール片手で持てるの」
「あ?」
「かっこいいじゃん。あと片付け楽になりそう」
いちいち両手で拾うよりも、それぞれ拾えたらボール拾いも時間短縮できるだろう。
「なまえちゃん、片付けはいいから、ちょっと来てくれる?」
清水が用具室まで呼びに来た。いつのまにちゃんつけで呼ばれるまで親しくなったのか。
「はい、潔子先輩!」
あっけにとられていると、月島と目が合い、お互いのアホ面を見ることになった。それぞれ無言で用具室を出る。
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おわり。
読んでくださりありがとうございます。
なんとなく英語に日本語訳のふりがなつけてみました。
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