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「影山まだハイタッチ慣れねーの?」
スパイクが決まりハイタッチを気持ちよく叩き合う日向と田中をよそに、影山はぎこちなく両腕をあげる。
「影山くんHi fiveできないの?」
「できないわけじゃねーよ!ただ慣れないっていうか…」
仲間っぽい盛り上がりや、表現が苦手なのか。
「え、これハイタッチじゃねぇの?」
「うーん。私はHi fiveって言いますよ」
「マジか」
「じゃあ、Fist bumpはわかります?」
「フィスバン?…なに?」
「翔陽、yayyyy!」
なまえが拳を握って日向の前に突き出すと、同じように作られた拳がぶつかる。
「イェーイ!」
日向のノリの良さは長所だ。言葉で説明するよりも早く理解してくれる。
「これがFist bump」
「おお…」
「田中先輩も」
「イェーイ!」
「影山くん、yay!」
なまえが握り込んだ手を差し出すと、唇をとがらせつつもちゃんと返してくれた。
「これが基本形だよ」
「基本形?ってことは応用があるのか?!」
「仲良い友達とするものだから、この後にいろんな動きをつけたりしてオリジナルのものを作るの。考えるのも楽しいんじゃない?」
「そうか?」
「もう一回やってみる?影山くん、You're awesome!」
軽く一回り小さな拳に、己の手をぶつける。なまえの手がさっと動いて、上から影山の拳をぽんっと叩く。と、今度は下に回って一時停止。目が合うと彼女は頷いた。真似をして、なまえの拳を上から小突く。次に指を開いたので、自分の手も開くと、ぐっと掴まれ、腕相撲を組むような形になった。そこで腕を引き寄せられた上、なまえも近づいてきたので目を見開く。お互いの顔の前に、拳を挟み見つめ合う。
時が止まったかのように感じた。
なまえ以外のものが全く見えなくなるほど、近い。手に込められた力は想像以上に強く、まったく痛くはないがその力の分、なまえは心の距離縮めようとしているようにみえた。
「こんな感じ?」
「カッケェーーー!!」
日向がまんまるい目をキラキラと輝かせて、おれも、おれともやって!とねだる。
目の前で繰り広げられる拳のやりとりはすばやく、リズム良くなめらかに動く。
客観的に見ると、確かに様になっている。
「俺もノヤっさんとなにか考えるぜ!」
田中が余計に燃え上がっていた。
**
おわり
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