誠実な恋のはじめ方ーその後
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「あの、良かったのですか?」
仕事の邪魔をしてしまったのではないかと、恐る恐る尋ねると、ジャーファルは気分を害したどころか彼女に微笑んだ。
「シンがそうしなさいと言ったんです。彼のためにもゆっくりしていきましょう」
「そうなんですか。帰るまでにお仕事終わってると良いですね」
「ほんとうにそうなっていればいいのですが」
メモを確認しつつ、効率の良いルートを回り、ひょいひょいとジャーファルの腕に荷物が重なっていく。なまえはその荷物を少し申しわけなさそうに見ていた。
「重くないですか?私にも持たせてください」
「このくらいどうってことありませんから。それよりメモをお願いします」
そう言って任されたのがメモの読み上げと、市場の細かい場所案内。
メモなど一度読んだだけで頭に入っているため必要ないが、形だけでもとなまえを頼った。
「ジャーファル様?」
「はい?」
「ほんとうのことを言うと、メモを見たときにびっくりしてしまって。どうやって持って帰ろうかと考えていたので、とても助かります。ありがとうございます」
にこにこと後ろをついてくる様子が愛しい。
「おっいい雰囲気だねぇ、初々しい」
冷やかしてくる市場の親父どもに真正面から否定する。
「おじさま、違いますよ。この方は手伝ってくださっているだけで」
ジャーファルはてっきり彼女が照れ隠しをしているだけなのだと思い、苦笑した。
「あまりからかうようなことはしないでください。私があとで機嫌をとるのに苦労するんですから」
「ジャーファルさままで、そのようなおっしゃりよう、おやめください!ほんとうに、違いますから」
なまえの本気の否定に、ジャーファルも親父どもも驚き、沈黙が走った。
一人が持ち直させようとことさら大きな声で笑って、ジャーファルの背中を叩いた。
「下世話なことして悪かったよ。ま、ふたり仲良くやんな」
もやもやとした気分のまま、ジャーファルはかろうじて平常心を保っていたが、なまえはというと、それは上機嫌だった。
なまえにしてみれば、あんな事件があってからこうやってジャーファルの顔が見れること自体信じられないことだし、ましてや笑顔を向けてもらえたり、言葉を交わしたりなどまるで夢のようで。
幸せをかみしめていた。これ以上を求めることは決してない。
しかしジャーファルはどうも先ほどのことが引っかかって、もしかしたら…もしかしなくても彼女は勘違いをしている、と帰り道に話題に出した。
「なまえ、私があのとき好きだと言ったのは…」
「はい!私のつくるお菓子が好きだっておっしゃってくださったんですよね」
明朗に答えられて、目を点にする。
「は……」
「いやだ、ちゃんとわかってますよ。すごく嬉しかったんですから。もう私はなにも望みません」
照れている彼女は心からそう思っているようで、何も言えなかった。
その後彼はどうしてか精気が抜けた様子で、話題をあれこれ提示しても生返事ばかり。
早々に宮殿へ戻ったときには、まだ裁けていない書類の前でシンドバッドがひぃひぃ唸っていた。
「おつかれさまでした、早く休みなさい」とだけ言って彼女を退室させたジャーファルは静かに席へ戻りもくもくと書類を片していくのだった。
仕事の邪魔をしてしまったのではないかと、恐る恐る尋ねると、ジャーファルは気分を害したどころか彼女に微笑んだ。
「シンがそうしなさいと言ったんです。彼のためにもゆっくりしていきましょう」
「そうなんですか。帰るまでにお仕事終わってると良いですね」
「ほんとうにそうなっていればいいのですが」
メモを確認しつつ、効率の良いルートを回り、ひょいひょいとジャーファルの腕に荷物が重なっていく。なまえはその荷物を少し申しわけなさそうに見ていた。
「重くないですか?私にも持たせてください」
「このくらいどうってことありませんから。それよりメモをお願いします」
そう言って任されたのがメモの読み上げと、市場の細かい場所案内。
メモなど一度読んだだけで頭に入っているため必要ないが、形だけでもとなまえを頼った。
「ジャーファル様?」
「はい?」
「ほんとうのことを言うと、メモを見たときにびっくりしてしまって。どうやって持って帰ろうかと考えていたので、とても助かります。ありがとうございます」
にこにこと後ろをついてくる様子が愛しい。
「おっいい雰囲気だねぇ、初々しい」
冷やかしてくる市場の親父どもに真正面から否定する。
「おじさま、違いますよ。この方は手伝ってくださっているだけで」
ジャーファルはてっきり彼女が照れ隠しをしているだけなのだと思い、苦笑した。
「あまりからかうようなことはしないでください。私があとで機嫌をとるのに苦労するんですから」
「ジャーファルさままで、そのようなおっしゃりよう、おやめください!ほんとうに、違いますから」
なまえの本気の否定に、ジャーファルも親父どもも驚き、沈黙が走った。
一人が持ち直させようとことさら大きな声で笑って、ジャーファルの背中を叩いた。
「下世話なことして悪かったよ。ま、ふたり仲良くやんな」
もやもやとした気分のまま、ジャーファルはかろうじて平常心を保っていたが、なまえはというと、それは上機嫌だった。
なまえにしてみれば、あんな事件があってからこうやってジャーファルの顔が見れること自体信じられないことだし、ましてや笑顔を向けてもらえたり、言葉を交わしたりなどまるで夢のようで。
幸せをかみしめていた。これ以上を求めることは決してない。
しかしジャーファルはどうも先ほどのことが引っかかって、もしかしたら…もしかしなくても彼女は勘違いをしている、と帰り道に話題に出した。
「なまえ、私があのとき好きだと言ったのは…」
「はい!私のつくるお菓子が好きだっておっしゃってくださったんですよね」
明朗に答えられて、目を点にする。
「は……」
「いやだ、ちゃんとわかってますよ。すごく嬉しかったんですから。もう私はなにも望みません」
照れている彼女は心からそう思っているようで、何も言えなかった。
その後彼はどうしてか精気が抜けた様子で、話題をあれこれ提示しても生返事ばかり。
早々に宮殿へ戻ったときには、まだ裁けていない書類の前でシンドバッドがひぃひぃ唸っていた。
「おつかれさまでした、早く休みなさい」とだけ言って彼女を退室させたジャーファルは静かに席へ戻りもくもくと書類を片していくのだった。