誠実な恋のはじめ方ーその後
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いつも通り、執務室にお茶をお菓子を運んで、王からも喜んでもらえた。
もちろん、ジャーファルからも。
ゆるむ頬を抑えられないまま、他愛ない話をしていると、シンドバッドがところで、と切り出した。
「なまえ、この後は仕事は残ってるのか?」
「この後……いいえ、今日すべきことは終わってます。いかがなされました?」
「そうかそうか、それは良かった。ちょっとお使いを頼まれてくれないか」
「はい、かしこまりました」
「このメモに書いてあるから、この通りに頼む」
「はい……。わかりました」
メモを見て息を呑んだが、ひるんではいけないと返事をした。
風呂敷かカゴか、いくつか持っていかないと、と考えていると、ふとメモに影が落ちた。
するりと手から奪われ、背後に吸いこまれていく。正しくはジャーファルの手へ。
「あ……」
「ほう。なんですか、こんな重くてかさ張るものばかり……」
「いいだろう、必要なんだ」
シンドバッドがにやにやと人の悪い笑みを浮かべている。
メモの内容を見ても、早急に必要なものだとはとうてい思えない。
つまりこれは、今までの一連の流れを見越して、なまえの荷物持ちを装ってデートしてこい、というシンドバッドなりの余計な気遣い。
「あの、大丈夫です。私行きます」
その意図に気付かない真面目ななまえは、任されたことは自力でやろうとする姿勢だ。王直々のお使いともなれば意気込みも違うだろう。
そのメモを返してほしい、と差し出した白い手には何も返ってこなかった。折りたたんで袂に収めた。
「……私も行きます」
「ジャーファル様?お仕事の途中では…」
「そうですね。シン、残りの書類は頼みましたよ。もちろん、ちゃんと私たちが帰る前にすべて終わらせておいてくださいますね」
「げっ」
「行きましょう、なまえ」
「え、は、はいっ」
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