踊り子とジャーファルさま
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女性職員がなまえの待遇についてジャーファルに迫った折に、なまえを遠方へ飛ばすか少なくとも宮殿から出す方向へ話が進みそうだった。
すわ破局か、と噂されたジャーファルとなまえだったが、なにごともなくーーどころか以前より親密になった。
ジャーファルは基本なまえをそばに置く。彼は王と過ごす時間も多く、なまえが職場の外で一人になってしまう瞬間を作らないようにしていた。
出勤するにも一緒、退勤するにも一緒だ。
「なまえ、アレはどうなってますか?」
「シンドバッド王の裁可待ちです。明日には戻ってくるかと」
ーー「アレ」だけで通じるんだ。
「なまえ」
「はい、こちらに」
名前しか呼んでない。その前にとくに指定する語句の応酬などなかった。
座っているジャーファルが斜め後ろを見上げる。
「午後からの会議資料です」
驚きもせず受け取るジャーファルも普通じゃない。資料を読み込んで、顔を上げる。なまえが反応した。
「すぐにお持ちします」
ジャーファルは声すら発しなかった。
……次はなにを持ってくるつもりだ? とちらちらなまえを見ていたら、コーヒーを運んできている。雑用係というか、もはや秘書の身のこなしだ。
何年も仕事を共にしているわけではないのに、目で会話が成り立つ始末。
軽く感謝を告げてコーヒーを飲むジャーファルを、そっと見守るなまえはこの瞬間を噛み締めるようにきゅっとお盆を胸に抱いていた。伝わってくるのだ、彼女はわかりやすい。こんな小さなことに幸せを見出すのか。
ただ恋焦がれるだけではない。
もう二人は離れることはないのだろうなぁ、と周囲はなまあたたかく受け入れた。
すわ破局か、と噂されたジャーファルとなまえだったが、なにごともなくーーどころか以前より親密になった。
ジャーファルは基本なまえをそばに置く。彼は王と過ごす時間も多く、なまえが職場の外で一人になってしまう瞬間を作らないようにしていた。
出勤するにも一緒、退勤するにも一緒だ。
「なまえ、アレはどうなってますか?」
「シンドバッド王の裁可待ちです。明日には戻ってくるかと」
ーー「アレ」だけで通じるんだ。
「なまえ」
「はい、こちらに」
名前しか呼んでない。その前にとくに指定する語句の応酬などなかった。
座っているジャーファルが斜め後ろを見上げる。
「午後からの会議資料です」
驚きもせず受け取るジャーファルも普通じゃない。資料を読み込んで、顔を上げる。なまえが反応した。
「すぐにお持ちします」
ジャーファルは声すら発しなかった。
……次はなにを持ってくるつもりだ? とちらちらなまえを見ていたら、コーヒーを運んできている。雑用係というか、もはや秘書の身のこなしだ。
何年も仕事を共にしているわけではないのに、目で会話が成り立つ始末。
軽く感謝を告げてコーヒーを飲むジャーファルを、そっと見守るなまえはこの瞬間を噛み締めるようにきゅっとお盆を胸に抱いていた。伝わってくるのだ、彼女はわかりやすい。こんな小さなことに幸せを見出すのか。
ただ恋焦がれるだけではない。
もう二人は離れることはないのだろうなぁ、と周囲はなまあたたかく受け入れた。
