誠実な恋のはじめ方ーその後
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さわさわと木々の葉がささやく場所にたどりついて、ジャーファルとなまえは向き合っていた。
「なにかありましたか?」
「勘違いのままにしておくのは私が自分を許せないので、ちゃんと伝えておきたいと思いまして」
「勘違い?」
「ええ。ただの私の気持ちの押しつけなのかもしれませんが、知っておいてください」
かつてないジャーファルの必死な様子になまえも気を引き締めた。
「下手に飾ることはしません。いいですか、私はあなたが好きです。恋人になって欲しいと思っています
言葉が頭をすり抜けて、固まった。
「こ、こい……?」
見る間に赤くなる彼女に、ジャーファルはずいと顔を寄せた。
「わかりましたか?」
眼を大きく開いたまま、頷くだけの返事をする。それだけで彼は満足したらしく、ほっと顔の筋肉を緩めて、手を離した。
「できたら返事をいただだけないでしょうか。ゆっくりでかまいませんから」
手のひらから失ったぬくもりが寂しい。ぎゅっと拳を握った。考えるよりも早く、2歩3歩と歩く背中を追いかけていた。無防備な左手を両手で握った。ジャーファルが立ち止まり、繋がれた手を見た。この甘く苦しい気持ちが、そこからも伝わりますように力を込めた。
「わたっ、私もジャーファルさまをお慕いしてます。それで、あの、ええと、好きです!恋人にしてください!」
ずいぶんみっともない告白になってしまったとは思うが、後には下がれなかった。こんな機会は一生にこれっきりだろう。
ジャーファルは細い手を持ち上げて、ことさら穏やかに目元を細めた。
「ありがとうございます。では恋人として、よろしくお願いしますね」
「はい、こちらこそ……よろしくお願いします。
私も申し上げておきます。
あの夜、私は諦めようとしていました。もうわずかながらもジャーファルさま関わるのはやめようと。それでヤムライハさまが誘ってくださって、みっともないことになったのですが・・・諦めきれてなかった証拠ですね」
前後不覚になっていたあの夜のこと。どうあっても胸の内から想いなど消せなかった。
それほどまで彼への感情が強かったということで。
「それでだったんですね」
「もうあんなことしません……」
「もちろん、させませんよ。しかしあなたは、私を喜ばせるのが得意ですね」
「えっ」
「あきらめないでいてくださってありがとうございます」
「だって、好きなんです」
「……あなたからそんな言葉がきけるとは思ってませんでした」
「私も自分でびっくりしました」
ジャーファルがくすくすと笑う。つられて、なまえも笑顔になった。
「少し、散歩して帰りませんか?」
「喜んで」
二人仲良く、午後のまどろみを味わって帰路へ就いた。
**
終わり。
読んでくださりありがとうございます。
さわさわと木々の葉がささやく場所にたどりついて、ジャーファルとなまえは向き合っていた。
「なにかありましたか?」
「勘違いのままにしておくのは私が自分を許せないので、ちゃんと伝えておきたいと思いまして」
「勘違い?」
「ええ。ただの私の気持ちの押しつけなのかもしれませんが、知っておいてください」
かつてないジャーファルの必死な様子になまえも気を引き締めた。
「下手に飾ることはしません。いいですか、私はあなたが好きです。恋人になって欲しいと思っています
言葉が頭をすり抜けて、固まった。
「こ、こい……?」
見る間に赤くなる彼女に、ジャーファルはずいと顔を寄せた。
「わかりましたか?」
眼を大きく開いたまま、頷くだけの返事をする。それだけで彼は満足したらしく、ほっと顔の筋肉を緩めて、手を離した。
「できたら返事をいただだけないでしょうか。ゆっくりでかまいませんから」
手のひらから失ったぬくもりが寂しい。ぎゅっと拳を握った。考えるよりも早く、2歩3歩と歩く背中を追いかけていた。無防備な左手を両手で握った。ジャーファルが立ち止まり、繋がれた手を見た。この甘く苦しい気持ちが、そこからも伝わりますように力を込めた。
「わたっ、私もジャーファルさまをお慕いしてます。それで、あの、ええと、好きです!恋人にしてください!」
ずいぶんみっともない告白になってしまったとは思うが、後には下がれなかった。こんな機会は一生にこれっきりだろう。
ジャーファルは細い手を持ち上げて、ことさら穏やかに目元を細めた。
「ありがとうございます。では恋人として、よろしくお願いしますね」
「はい、こちらこそ……よろしくお願いします。
私も申し上げておきます。
あの夜、私は諦めようとしていました。もうわずかながらもジャーファルさま関わるのはやめようと。それでヤムライハさまが誘ってくださって、みっともないことになったのですが・・・諦めきれてなかった証拠ですね」
前後不覚になっていたあの夜のこと。どうあっても胸の内から想いなど消せなかった。
それほどまで彼への感情が強かったということで。
「それでだったんですね」
「もうあんなことしません……」
「もちろん、させませんよ。しかしあなたは、私を喜ばせるのが得意ですね」
「えっ」
「あきらめないでいてくださってありがとうございます」
「だって、好きなんです」
「……あなたからそんな言葉がきけるとは思ってませんでした」
「私も自分でびっくりしました」
ジャーファルがくすくすと笑う。つられて、なまえも笑顔になった。
「少し、散歩して帰りませんか?」
「喜んで」
二人仲良く、午後のまどろみを味わって帰路へ就いた。
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終わり。
読んでくださりありがとうございます。
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