淡雪は海に溶けた
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「なぁアラジン、大丈夫かよ?お前が喜びそうなむっちり姉ちゃんでもないのに、妙に懐いてるよな」
「私も、近づかないほうがいいと思います。あんな得体の知れない人間を……」
「アリババ、モルさん。だってね、あのおねいさんのそばにいると気持ちがいいんだよ。ちょっと不思議な人だけど、悪い人じゃないよ」
「出会ったばかりでなにもわからないのに、何をもってしてそう言うんです?」
「ルフを見ればわかるんだ」
アラジンが断言した。モルジアナがぐっと黙りこむ。アラジンを信じたいけれど、自分が見えないことのものを出されていまいち納得できなかった。
「アル・サーメンでもないってことか?」
組織の一員が事故を装って間者を送り込んできたのではと、アリババとモルジアナはそれを危惧していた。
「うん、それはないよ。だってね……」
「おや。3人そろって立ち止まって、なんのお話ですか?」
「ジャーファルさん、いやそのアラジンがあの人について……」
「なまえおねいさんのことだよ」
「……彼女ですか」
「うん。見たことのないルフの形をしているけれど、澄んでいてとっても綺麗だよ」
眉を潜める。シンも彼女のルフについて、なにかを言っていた。ただ彼は褒めるような形容は使わずにただ気になる、とだけ残していたが。
「ルフとは一様に鳥の形をしているのでは?」
「この世界にいる人はみんな鳥の形をしているさ。でも、なまえおねいさんは違う」
「どのような形なんです?」
「ちょうちょ、かな。透けてしまいそうだけれど、そう、ガラスに光を通したみたいに、虹色に輝いてるんだ」
「知らない国から来た人っていうだけじゃないってことか。いや、国どころか、世界を越えて……?」
「そう言われれば納得がいきますが、そう簡単には……。ただ、彼女はアル・サーメンではないのですね」
アラジンは確信を持ってあっさり肯定する。
「うん。おねいさんは違うよ。はじめてシンドリアに来た時、おびえていてとってもかわいそうだったよ。優しくしてあげて」
「そういえばジャーファルさんだけ、なんか外国語?っぽいのでやりとりしてましたよね」
「仕事がら、たくさんの言語を習得しましたから。あれはとある少数民族の言葉です。私も読み書きはそこそこ、話すほうがいくぶん楽なぐらいで、流暢というわけでもありませんが」
「そうなんですか。それでもすごいっすね」
「お望みであれば、お教えするようにとりはからいますよ。私も勉強しなおさなければいけません」
「うーん、いまは剣技を磨くのにせいいっぱいで。また余裕できたらお願いします」
「ねぇジャーファルさん、<あ、がたー>ってどういう意味?なまえおねいさんがなんども言ってた」
「あがたー?」
「ううん、<あい、がた……ありごと>?だったかな」
「あぁ、それは感謝を告げる言葉です。<あ、り、が、と、う>ですね」
「うん、それだ!<ありがとう、ありがとう>、かぁ」
「そういうときは<どういたしまして>と返しておあげなさい。きっと喜ぶでしょうから」
「わかった!<ありがとう>、に<どういたしまして>だね」
何度もくり返し口になじませ、練習するアラジンを、アリババとモルジアナは仕方ないな、というふうに見守っていた。ジャーファルは執務室に戻らねば、とそそくさとその場をあとにした。
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「なぁアラジン、大丈夫かよ?お前が喜びそうなむっちり姉ちゃんでもないのに、妙に懐いてるよな」
「私も、近づかないほうがいいと思います。あんな得体の知れない人間を……」
「アリババ、モルさん。だってね、あのおねいさんのそばにいると気持ちがいいんだよ。ちょっと不思議な人だけど、悪い人じゃないよ」
「出会ったばかりでなにもわからないのに、何をもってしてそう言うんです?」
「ルフを見ればわかるんだ」
アラジンが断言した。モルジアナがぐっと黙りこむ。アラジンを信じたいけれど、自分が見えないことのものを出されていまいち納得できなかった。
「アル・サーメンでもないってことか?」
組織の一員が事故を装って間者を送り込んできたのではと、アリババとモルジアナはそれを危惧していた。
「うん、それはないよ。だってね……」
「おや。3人そろって立ち止まって、なんのお話ですか?」
「ジャーファルさん、いやそのアラジンがあの人について……」
「なまえおねいさんのことだよ」
「……彼女ですか」
「うん。見たことのないルフの形をしているけれど、澄んでいてとっても綺麗だよ」
眉を潜める。シンも彼女のルフについて、なにかを言っていた。ただ彼は褒めるような形容は使わずにただ気になる、とだけ残していたが。
「ルフとは一様に鳥の形をしているのでは?」
「この世界にいる人はみんな鳥の形をしているさ。でも、なまえおねいさんは違う」
「どのような形なんです?」
「ちょうちょ、かな。透けてしまいそうだけれど、そう、ガラスに光を通したみたいに、虹色に輝いてるんだ」
「知らない国から来た人っていうだけじゃないってことか。いや、国どころか、世界を越えて……?」
「そう言われれば納得がいきますが、そう簡単には……。ただ、彼女はアル・サーメンではないのですね」
アラジンは確信を持ってあっさり肯定する。
「うん。おねいさんは違うよ。はじめてシンドリアに来た時、おびえていてとってもかわいそうだったよ。優しくしてあげて」
「そういえばジャーファルさんだけ、なんか外国語?っぽいのでやりとりしてましたよね」
「仕事がら、たくさんの言語を習得しましたから。あれはとある少数民族の言葉です。私も読み書きはそこそこ、話すほうがいくぶん楽なぐらいで、流暢というわけでもありませんが」
「そうなんですか。それでもすごいっすね」
「お望みであれば、お教えするようにとりはからいますよ。私も勉強しなおさなければいけません」
「うーん、いまは剣技を磨くのにせいいっぱいで。また余裕できたらお願いします」
「ねぇジャーファルさん、<あ、がたー>ってどういう意味?なまえおねいさんがなんども言ってた」
「あがたー?」
「ううん、<あい、がた……ありごと>?だったかな」
「あぁ、それは感謝を告げる言葉です。<あ、り、が、と、う>ですね」
「うん、それだ!<ありがとう、ありがとう>、かぁ」
「そういうときは<どういたしまして>と返しておあげなさい。きっと喜ぶでしょうから」
「わかった!<ありがとう>、に<どういたしまして>だね」
何度もくり返し口になじませ、練習するアラジンを、アリババとモルジアナは仕方ないな、というふうに見守っていた。ジャーファルは執務室に戻らねば、とそそくさとその場をあとにした。
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