優しさじゃない
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『それで…病院で知り合ったサニーさんに相談したら、ココさんを紹介してくださったんです。ココさんは、腕の良い占い師だと聞きました。』
斜め後ろに視線を向けると夕日に染まったセイラの髪が風に靡いていた。
それがとても綺麗で。
セイラの澄んだ瞳がココを真っ直ぐ見つめた。
『ココさん、私を占ってください。』
「セイラ……ボクは…ボクの占いは……95%は当たるが残りの5%は外れる。」
『ココさんの優しさに甘えてごめんなさい。』
セイラの澄んだ瞳に責められているようで、ボクは思わず視線を逸らしてしまった。
『ココさん。私ね、やりたいことがあるんです。いろんな国を旅したいんです。たくさん綺麗な景色を見て、美味しいものをお腹いっぱい食べて、たくさんの人に会って、いろんなことを経験したい。あと飛行機に乗って空も飛んでみたいです。あっ!これは今日叶いましたね!』
「……ボクは優しくない。」
『そんなことありませんよ。』
優しい声音に恐る恐る視線を戻せばセイラはにこりと笑ってくれた。
「…………ボクは……95%に賭けよう。」
『それなら私は5%に賭けます。私が賭けに勝って、旅から帰ったら…また私の話を聞いてくれますか?』
「もちろんだ。楽しみにしてる。」
『ココさんが賭けに勝ったら私は何をしましょうか?』
「そうだな…次に会う時には、またセイラの話を聞きたいな。」
セイラは頬を桃色に染めたあと、『私の名前、初めて呼んでくれましたね。』とはにかんだ。
それから程なくしてセイラはベッドの上から降りることができなくなった。
少しずつ動かなくなっていくセイラの横で、ボクが力になれることはなかった。
眠るように息を引き取ったセイラの名前を呼んだ。
明日の朝には何もなかったように笑いかけてくれそうな綺麗な寝顔だった。
「いつ旅から帰ってくるつもりだ。ボクはいつまでも待てないぞ。」
地面に建てられた石に話しかけても返事はこない。
燦々と照りつける太陽の下、頭上を鳥が飛んでいった。
セイラはきっと自由になったんだろう。
動かなくなった体を捨てて何にも縛られない大空を飛んでいく。
次に会う時は、ボクもセイラに話したいことを見つけておこう。
踏みしめる土の音を噛み締めながらココは歩みを進めていく。
失ったものの代わりを探すように。
4/4ページ