優しさじゃない
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セイラが店に通うようになって半年ほど経った頃、ぱたりと訪問が途絶えた。
初めはセイラに何かあったらと考えたが、占いという目に見えないものに縋らなくてもよくなったことは良いことだ。素直に喜びたいところだが何かが胸に引っ掛かる気がしてここ数日は上の空だった。
それも漸く吹っ切れてきた日の夕刻、日が傾きかけた頃に突然セイラが店に訪れた。
内心ほっとした自分に疑問を抱きながらもボクは平静を装った。
『ココさんとの約束すっぽかしちゃってごめんなさい!!』
何を言うのかと思ったら開口一番に謝罪とは、らしいというか。
「怒ってないよ。」
『本当ですか!?』
「ああ。もちろんだ。」
『よ、よかったぁ…』
「今日はもう遅い。家まで送るよ。」
初めて見るらしいエンペラークロウにセイラは口をあんぐり開けて驚いていた。
興奮冷めやらぬ状態のセイラを持ち上げ、無理矢理キッスの背中に乗せる。
ココとセイラを乗せてキッスは空へと飛び上がった。
セイラは震えながらもココの腕をしっかりと掴んでキョロキョロとあたりを見渡すセイラの様子にココはくすりと笑った。
『すごい!飛んでます!!私、空を飛んじゃってます!!』
「正確にはキッスだけどね。家はどっちの方向だい?」
『あ…西の』
「汽車を乗り継いで2時間以上もかかる所じゃないか!!」
『えっ!すみません…』
「いや、謝るのはボクの方だ。遅くに引き止めて申し訳ない。」
セイラが何度気にしてないと伝えてもココの気は収まらないようだった。
気まずい雰囲気に包まれた時、ビュウと強い風が吹いた。
セイラの、ココの腕を掴む手に力が入る。
思わず瞑った瞳を開けると眼前には夕日色に染まった散り散りになった雲や空、どこまでも続く山並みが広がっていた。
『綺麗……ですね………』
セイラの感嘆にも近いぽつりと呟かれた言葉は風に呑まれてかき消された。
『ココさんは……他人のオーラが見えると…それで占いをしているのだと聞きました。』
「ああ、そうだ。」
『………私も……私も自分の死期がわかる能力を授かったんです。』