第一話
夢小説設定
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誰かが言った。
会いたい人に会える手段があるうちは幸せだと。
それでも理屈に心が追いつかないことってあるだろう?
ボクは会いたくないなんて思ったことないんだ。
こんなことを考えるのはあの日が近いからだろう。
眼前には占いの客が不安気にこちらを見ている。
今は仕事中だ、集中しろ。
「ーーーーーー以上の点をふまえて行動してみてくれ。」
さっきの客で最後だ。まだトリコが来るまでには時間があるな。一度戻るか。
我が家が見える断崖へ向かえば相棒であるエンペラークロウのキッスが迎えに来てくれる。
思えばキッスに出会えたのも彼女のおかげだ。
キッスの艷やかな黒い羽を撫でるとご機嫌な声で鳴いてくれる。
「よしよし。なんだ、今日は甘えん坊だな。」
キッスは長い嘴をボクの体に擦りつけてくる。普段はこんなに甘えてこないのに。
ああ、そうか。ボクを元気づけようとしてくれてるのか。
「ボクは大丈夫。大丈夫だよ。」
キッスの物言わぬ漆黒の瞳にはボクが写っている。見透かすようなその瞳は彼女の蒼い瞳を思い出させる。
傷つけたかったわけじゃない。
助けたかっただけだ。
ボクの腕の中でぐったりしたままピクリとも動かなくなった姿は今でも夢に見るほどだ。
ボクは傍にいるべきじゃない。
だから、彼女さえ幸せならそれで良かった。
なのに……決意して離れたはずなのにどうしてボクはあんなことを言ったんだ…!
「ーーーーーーーっ、今日は暑いな…」