第一話
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急に興奮し始めたスノーを宥めて荷物を家に届けてもらった。
トリコ、セイラ、小松は列車に乗って移動をしていた。
「あのな、小松。初対面で相手の素性もよくわからないうちにプロポーズするようなヤツは女友達に紹介できねえよ。」
「す、すみません……」
列車の椅子に座りながらセイラはフードを目深に被り直した。
『ていうかさ、この列車はどこに向かってるの?』
「グルメフォーチュンですよ。」
『……………はあ!!?』
セイラは思わず立ち上がって隣のトリコと向かいの小松を交互に見比べた。
セイラの様子に悪いと思ったのかトリコは車内販売を探して逃げられてしまった。
ひとつ息を吐いて椅子に座り直すと向かいの小松に視線を向けた。
『ちょっと待って。今日は何しに行くの?』
「僕らはフグ鯨の捕獲のため捌ける人に旅の同行をお願いに行くところです。」
やられた。
トリコのやつめ最初からフグクジラが目的だったな。スノーに迎えに来てもらって帰ろうかな…
『それで、小松くんが今回の依頼者ってこと?』
「いえ、僕はトリコさんの狩りに感動してご一緒させてもらってるんです。」
小松の言葉を飲み込むと共にセイラの瞳がみるみるうちに冷たいものへと変わっていく。
美食屋でもない一般人がトリコの狩りについていくなど命を投げ出すようなものだ。
『自殺したいなら他の方法を探したら?』
「セイラさんってけっこう辛辣ですね…ちゃんと覚悟してます。」
小松の表情は真剣そのもので相当の覚悟が見える。
不本意な旅だが今回は小松が心配だし、ついていくか…
トリコが戻って来たときには完全に出来上がっていた。セイラと小松のブーイングも酔っ払いの前には効かない。トリコは早々と車内販売で買った酒を空けていく。
「テキーラのショットが750mlのボトルって…しかももう10本目ですよ。まとめて買った列車内のお酒全部呑む気ですか?」
「いやあ、嬉しくてな。もうすぐ幻の鯨に逢えるかと思うとよ…!」
フグ鯨は特殊調理食材だ。一個体のサイズは普通のフグのそれと変わらないが、致死量0.2mgの超猛毒を持つ生物。個体によって毒袋の位置が違うフグ鯨を調理できる人物に会いに行く。
セイラは被ったフードの紐をくゆらせると少しずつ引っ張っていく。トリコは酒好きの酒豪だが、セイラは下戸だ。酒の匂いがキツい。
「……あんま引っ張ると形がはっきりわかるぞ。」
それは困る。
ゆるゆるとフードの紐を伸ばしていく。
『言っておくけど許した訳じゃないからね。』
「なんかセイラ機嫌悪くね?」
『怒ってるの!!』
怒りをおさえながら鞄の中の小包を開けていく。中にはシンプルな赤い個包装の袋が詰まっていた。いくつか掴んで小松に渡すとセイラも個包装を開けて楕円形のチョコレートを口に放り込んだ。
「いっつもそれ食べてるな。思い出の味ってやつか?」
『ブフッ!ゲホゲホッ!のどいた…』
「だ、大丈夫ですかセイラさん!?」
列車がガタゴトと走っていく。少しずつ、彼に近づいていく。