第二話
夢小説設定
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小松を背負ったトリコとセイラはココが作ってくれた道に降り立った。ココに続いて巣から抜けると毒が引いていく。ココは帽子と包帯を巻き直した。
「ふうーーー。驚かせたね、小松くん。もう安心していいよ。」
「ど……毒……ってココさん一体…」
「ココは体内に毒を持ってるのさ。」
「ボクたち美食屋の多くは毒を持つ生物に対し、人工的に免疫を作ることがあるんだが…自然界にいる毒虫や毒蛇…毒草などが持つ毒をゆっくり時間をかけ、微量ずつ定期的に注入することにより、人工的に体内に抗体を作るんだ。」
「オレが以前ゾンビタイパンに噛まれたことがあったろ…覚えてるか?」
「……………あ!」
「だが、自然界に存在する毒の種類は数百とも数千とも言われる。とてもその全てに対し抗体を作ることは不可能…オレでだいたい70種類だ…」
小松の視線がセイラに向けられた。美食屋に女も男も関係ないが女性であるセイラがそういうことをしているのか半信半疑のようだ。
『もちろん私も…漸く100種に届くくらいかな。』
「ココの持つ抗体の数はおよそ500…!美食屋の中でも群を抜いている!!」
「ご…500…」
「たまたまボクの体は、常人では耐えられない量の毒に耐えることができたんだ…でもあまりにも短期間に多くの毒が混入したため、体内でそれらが混合…ボクの中で新たな毒が生み出されてしまった…今ではボクは毒人間…フフ…品がない最たる存在だな。だから自然界でもなかなかボクを襲う獣はいないんだ…ゴキブリだってね………
さあ…先を急ごう…」
ココは…辛い記憶を思い出したのだろう、どこか寂しそうに微笑むと歩き始めた。
「コ…ココさん…なんだか少し寂しそうな…」
「多くの科学者やIGOの医療班などが、ココの血液から血清を精製しようと追いかけ回してたこともあったな…」
「…え」
「ココ本人が第一級の危険生物として隔離されそうになったこともあった…」
『……もう行くよ。』
「…セイラさん……?」
トリコ、小松の先を歩いていく。フードを取ると蒸し暑さから解放される。この暗闇だ。小松には何も見えないだろう。
歩みを進めると先を歩いていたココが待ってくれていた。
「だいぶ増やしたみたいだね。」
ココが言いたいのはセイラの持つ抗体の数だろう。
もうこれ以上抗体の数を増やすことができないことはわかっている。これが私の限界。
別にココのようになりたいとも、なるつもりもない。
ただ…自分にできる限りのことはしたかった。あの日を悔いるだけは嫌だった。
「無茶なことを…」
『ココは私のお母さんか。』
「……………」
『少しだけでも何かしたかっただけ。ココのこと責めたことはないから。』
ココに微笑みかけると、意外にも優しい笑みが返ってきた。急に恥ずかしくなってきて、先頭を歩いていく。顔が熱い。
少し歩いていくとココが無理矢理前に出て歩き始めた。
どんどん奥へ進んでいくと地面に空く穴の前に来た。この穴を降りなければ目的の場所へは着かない。
「だんだん勾配がキツくなってきたな…」
「ああ…ここからは100メートルくらい真下に向かって巨大な穴が広がってる。」
「こ…ここを降りるんですか…」
「懸垂下降で行くか…ロープの長さ足りるかな…小松、お前はオレらにしがみついてなよ。セイラ以外な。」
「わかってますよ、それくらい……」
セイラが用意しておいたロープを壁の岩に刺すとロープを見た小松が動揺し始めた。
「えー!こんな細いロープで大丈夫なんですか!?」
『炭素繊維を配合したワイヤロープだよ。100人ぶら下がっても切れないから大丈夫。体の大きなトリコでもね。』
「おい…軽くオレをディスんじゃねえよ。」
「ぼ…僕……僕、ココさんと一緒に降ります!」
小松は言うなり、ココの背中にしがみついた。
「わっ!あ…ちょっと小松くん…ボクは毒が…」
「毒?水清ければ魚棲まず!でしょ?人間毒があるくらいが好まれますよココさん!」
「こ…小松くん…」
「さあ、行きましょう!」
小松は優しい性格だ。ココに気を遣ったのだろう。トリコと顔を見合わせると笑みが零れた。
「じゃあ、セイラはオレにしがみついてくか?」
『なんで?』