第一話
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『ふあぁ…』
目的地に向かう途中、トリコたち4人は「腕だめしだー!」と言って猛獣に向かっていってしまった。
男の子ってよくわからない…女の子もよくわからないんだけれども。
「ナイフ!フォーク!」
「ポイズンドレッシング!」
「フライ返し!」
「ボイスバズーカ!」
『ねむ…』
果物ばっか食べてるのも飽きてきたな…まだまだ時間がかかりそうだ。
後に四天王と呼ばれるほどに実力をつける4人ではあるが今はまだその片鱗を垣間見せるだけである。
セイラは手近にある4、5メートルの高さにある木の枝に飛び乗り、幹に寄りかかって4人の戦う様を見ていると頭上を怪鳥の群れが通った。ギャアギャアと耳を劈く鳴き声は森の喧騒に溶け込んでいく。
『…………ふーーん…』
4人に視線を向けるが、トロルコングの下っ端一匹に苦戦を強いられているようだ。
ゆらりと立ち上がり、枝を蹴って飛び降りるとセイラの体はトロルコング目掛け一直線に向かっていく。セイラの足がトロルコングの顔面にめり込むとズズーン!と重たい音を立ててトロルコングの巨体が倒れた。
『クリティカルヒットー!!』
「「「「な…」」」」
「なにしてんだ、セイラーー!!」
「おま、戦いの途中で横取りすんなし!!」
「チョーシのんなよ、お前ェ!!」
「途中乱入したら危ないよ。」
『だってもたもたして遅いし。』
「「「ンだとコラーーーー!!」」」
騒ぐトリコ、サニー、ゼブラを無視してセイラはココの元へと駆け寄ると元来た道を指差した。
『ねぇ、ココ。あっちの方からヤなカンジがするんだけど…』
「セイラお得意の勘ってやつかい?見てみよう。」
ココは常人には見ることのできない可視光線から微弱な電磁波までその目で捉えることができる。その電磁波で占いもできると聞いたことがある。
「…………たしかに強い電磁波が見える。それもひとつやふたつじゃない。しかもこっちに向かってきてるぞ。すぐに移動しよう。」
ココとセイラが荷物を持って移動する準備を始めると瞳をランランと輝かせたトリコが立ちふさがった。
嫌な予感。
「向こうから来てくれるとはありがてえ!!セイラがトロルコングを仕留めたからあとはメインを捕まえに行くぞ!!」
「そんなちっぽけな量で足りるか。とっとと片付けるぞ。」
「はぁ…ボクはもう休みたいんだが、これも修行か。」
「もっとマシなモンいねーかな。こいつじゃキショすぎる。」
な…なんでこういう時に限ってノリノリなんだ!
ココ!そんなやつとは知らなかったぞ!
『ま…まってよ!手に負えない猛獣だったらどうするの!?』
「そのときは全力で逃げるしかないね。」
『ていうかすぐそこまで来てるから…!』
「うるせーな、お前わ。怖かったら先に逃げていーぞ。」
『ばかトリコ!ロックドラムの群れに囲まれてるんだってば!!』
セイラの叫びに4人の視線が集まると共に目を見開いたまま固まってしまった。
『………な、なに?』
「「「「う、うしろ…」」」」
促されるまま背後に顔を向けると真っ白の長い毛並に包まれた長い手足、ギョロリとした瞳、大きな牙、生暖かい鼻息。
『ぎゃあぁあぁああ!!』
「「「「シルバーバックだ!逃げろーーーー!!」」」」
『あぁああ!!ロックドラムに囲まれてるーーー!!』
「「「「『うわぁあぁあぁああ!!!』」」」」
「サニー!フライ返しだ!!」
「ここは毒だろ!ココぉ!!」
「セイラ!今こそその馬鹿力でなんとかしろ!!」
『できるかあ!!だから言ったのに!だから言ったのに!』
「謝るからなんとかしろ。」
『不遜だーー!!』
囲まれたまま5人がギャアギャア押しつけ合いをしているとセイラの頭上目掛けてシルバーバックの拳が振り下ろされた。両手を掲げて受け止めるとズシリと重い。
『ぐぅっ…!』
「でかした馬鹿力!」
「投擲が一番有効だよ!」
「受け止めかた美しくなっ!」
「よし、ジャイアントスイングだ!」
『う…っ、うるさーいっ!!!』
シルバーバックの手を握り直し、軸足を中心に体を反転させるとシルバーバックの巨体が4人の頭上を掠めながら投げ飛ばされ、前方にいたロックドラムを2、3体巻き込んだ。
「よっしゃあ!今だ!!」
「「「「『逃げろーーーー!!!』」」」」