第一話
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研究所と庭の堺にあるアスファルトで舗装された道を走っていく。微かにこっちの方から風にのって匂いがするし、話し声も聞こえる。緩やかなカーブを曲がるとココ、トリコ、ゼブラ、サニーの姿が見えた。
『おーい!私も行きたーい!』
ブンブン手を振りながら向かっていくと4人の視線がセイラに集まる。
「来たな家出娘。」
「また抜け出してきたのか?」
「食いモンは?持ってきてねえの?」
「トリコ…おめーはそれしかねえのか。」
『この間新しい食材見つけたからそこに行こ…』
セイラの言葉を遮るようにマンサムの怒声が響き渡る。
「くぉらぁ、お前ら!!あれほど部屋で待っとれと言ったろうが!!」
『ゲ。』
「「「「うわ。」」」」
4人とセイラの視線が交錯する。
なあんだ。みんなも脱走したんじゃん。
「なんじゃい。セイラもおったのか!」
『成り行きで。』
「嘘つけ。」
『サニー、うっさい。』
「まったく、このお転婆が…ワシは淑女に育つようにセイラと名付けたのに…」
「うわ、似合わねー!」
「伸び伸び育ってんだからいいんじゃねーか?もう少しお淑やかになってもいいとは思うけどな。」
「どーでもいい…」
「口を閉じればまだマシになるんじゃないかな。」
『うわあ、ココのが一番傷つく…てか、やろうと思えばやれますー!やらないだけですー!』
ムキになって反論するとサニーから追い打ちがかかった。
「いっつも髪ボサボサで美しさのカケラもないし。」
『うっ…』
髪質が柔らかいから走り回るとボサボサになっちゃうだけだし!
「色気も皆無。」
『トリコぉ…!』
これから出る予定だから!だって成長期だから!
「筋肉はほぼないのにトリコより怪力なとことか。」
『ココ…それ言っちゃう?』
それは体質だから私、悪くないじゃん!?
「てか見た目は完全に男…」
『ゼブラまで!?』
くっ…!4人して寄ってたかって…私のガラスのハートは粉々だ!
セイラが心の傷に耐えているとマンサムのこれみよがしについた深いため息に自然と話を聞く体制になる。
『……ハゲるよ。』
「シッ。言っちゃだめだよ。」
「もうハゲてね?」
「ハゲだろ。」
「ハゲにハゲって言っちゃダメなんだぜ?」
「お前ら……!大人をおちょくっとるな!」
「「「「『ううん、全然。』」」」」
「悪ガキども!罰として勉強の意味も込めてビオトープ内の生態調査に五人で行ってこい!丁度職員で調査の終えてない場所が何点かある。準備はしてある!」
マンサムは五人分の荷物を投げると無造作に地面に転がった。各々拾いながらも口からついて出る言葉は文句しか飛び出さない。
「ンなーに、カッコつけてんだ。」
「最初っからそのつもりだったんじゃねーか」
「めんどくせえ。」
「けっこう汚いな……」
『うわ、クサっ!』
「うるさいぞ、お前たちィ!!ワシだってなるべく綺麗なの選んだんじゃもん!ここ数週間忙しい中がんばったんじゃもん!」
いじけるマンサムを無視して5人は荷物を背負い、トリコの「よーし、行くか」という声に続いて庭の中に降りていった。
「お前たち、いってきますくらい言わんかーーーー!!」