第三話
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「なんだよー。ゼブラとサニーはともかく、ココとセイラはいつもは待っててくれるのによー!何かあったのかサニー?」
「いや、シラネ。つか、トリコはさっき食ったばっかだろ!いつも食べ過ぎだかんな!」
あれからココとは目が合うどころかセイラを見ようともしない。いつもは隣でフォローしてくれるココも今は頼れない。
はあ……と思わず息を吐いた瞬間、ゼブラの大きな手が背中を叩いた。バシン!という高い音と共に背中に衝撃が走った。
『いっ、だあ"!!!めちゃくちゃいたいんだけど!!』
「フン!」
ゼブラは鼻を鳴らすと数メートル先を歩くココの背中も同じようにバシン!と叩いた。いきなりの仕打ちに怒るココもゼブラは「うるせェ」と一蹴していた。
ゼブラは言葉足らずで誤解を受けやすいけど、彼なりに喝を入れてくれたんだろう。いつの間にか丸まっていた背中も伸びたみたいだ。
『よーーし!ゼブラが暴れる前に終わらせて帰るよーーーっ!!』
「なんだとォ!?」
「やられたな、ゼブラ!」
「ウチも賛成だし!」
「ゼブラはトリコより短気だからね。仕方ない。」
「さっさと帰ってシャワー浴びてェぜ…」
ここらへん一帯の猛獣には人類の叡智が結集したグルメ研究所が作った頑強な機械も破壊することなど容易い。
そんな危険な地帯に人工の川を作ったのは黒草の草原に多数生息する草食動物のため…ひいてはそれを狙う肉食猛獣のためにもなる。
サニーの触覚に体を吊らせて噴出口を確認しただけだと一部が壊されていた。
ココ、トリコ、ゼブラ、リンはセイラとサニーが猛獣に襲われないよう守る役目だ。
一番無防備なサニーが「さっさと済ませろ!」と叫んだ瞬間、2人の間を投げ飛ばされたギャングフッドが横切って水飛沫をあげながら川に落ちた。
「っ、もうヤダ!!ここ目立ってめちゃくちゃ狙われるし!!」
『うっさいな!!集中してんだからゴチャゴチャ言わないでよ!!』
「ぐおぉ………めちゃくちゃ重いんだっつの!!」
『はあ?何tの水量放流してると思ってるの?』
「ムカつくーーっ!!水止めりゃいいじゃねェか!!」
『それができたら苦労しないっての!』
一部分からしか水が放流されていないとはいえ、放流される水を受けながら修理する作業はかなり骨が折れる。流されないように踏ん張ってくれているサニーは相当負担が掛かっているはずだ。幸いなのは機械の上部であることか。
拳を打ち込んで壊れた部品を砕くと水に流されてそこだけぽっかりと穴が空いた。後ろ手にリュックから新しい部品を取り出して、隙間を埋めようと流れ込んでくる水の流れに逆らって押し込むと特有のカチッという音がした。
『やっ、た!できた!』
「よし!引き上げ……」
ドッ!という轟音と共に放流された水の勢いに押されて視界の天地がひっくり返ったのは一瞬で、次の瞬間には川から引き上げられた。顔にかかった水を手で払うと流されないようココ、トリコ、ゼブラ、リンがサニーの体にしがみついて支えてくれていた。
サニーがゆっくりと地面に下ろしてくれるとあとから恐怖が襲ってきた。
『あーー、びっくりした……』
「ホントだよ!2人とも無事でよかっ、あぶない!」
ドン!!
視界が真っ黒になって、体が後ろに傾く。懐かしい匂いがした。それがココのものだとわかった瞬間には彼の体は川の急流へと落ちていった。
『ココ!!!』
ギャングフッドの鋭い爪を躱すと頬に鋭い痛みが走った。弾かれるようにセイラの体は川の中へと飛び込んでいた。