第三話
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ふかふかのベッドに押し込められて顔を覆う勢いで布団を被せられると額の濡れタオルがずれ落ちて視界を遮った。
やれやれと布団から顔を出して濡れタオルを額に戻すと、ベッドの脇で腰に手をあてて難しい顔をしているココと目が合った。
『大げさだよ、ココ……』
「また倒れたんだから心配するに決まってるだろう。」
『いっぱい食べていっぱい寝たからもう大丈夫だよ?』
「喋ってないで休みなさい。」
ココのこういう所は苦手だ。
暫しの沈黙に耐えられなくなってきた頃、開かれた扉からココを呼ぶ声が聞こえた。部屋を出てサニーと話しているココの背中が見える。
よし、逃げよう。
気配を殺して、小さい体を更に小さく屈みながらココの死角を移動して扉の影に隠れる。幸いなことにサニーより拳ひとつぶん背が高いココはちょうど壁になって向こう側からは見えないはずだ。これなら部屋の外にさえ出ればどうとでもなる。
床に手をついて音を立てないようそっと部屋から出る。体が半分出かかった時、バタバタと忙しなくやってきた足音が容赦なく背中を踏みつけた。
「お兄ちゃーん!ココー!セイラいるー?!」
『ぐえっ!!』
「…………………セイラ……そんなとこで何やってんの?」
『………リン………いいから早くどいて……』
踏みつけられた背中を押さえながら立ち上がるとまともにココの顔を見られなくて視線が上から下へ泳ぐ。ココの後ろで口に手をあてて笑いを堪えているサニーをチラと視界の端に見えたが不自然な動きのまま逃げるようにリンへ体を向けた。
「セイラってば元気なら早く出てきなさいよおーっ!はい、差し入れの本!」
ココ……絶っっ対、怒ってるよね………
「せっかく持ってきたんだからちゃんと読んでよね!」
見なくてもわかる。背後から刺さるプレッシャーが重苦しい……
後ろの気配に気を取られているとベチッとリンの手刀が額に落ちた。
「聞けよ、デコ助!」
『いてっ!ごめん!』