第二話
設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
意識がはっきりした時は自室のベッドの上だった。白い壁と床、白い鉄板で塞がれた意味のない窓と小さな棚があるだけの簡素な部屋。その棚にも本が四冊バラバラに重なっているだけだ。
腕に付けられた点滴の管を引き抜き、ベッドから降りる。ふらつく足をこらえながら扉の前へと歩みを進めると目の前で膝から崩れ落ちた。その扉には開閉するためのドアノブもセンサーも付いていなかった。
どうやって研究所に戻ってきたのか覚えていない。
たしかサニーと皆のところへ向かってる途中、猛獣に襲われて…
セイラがうんうん唸っていると目の前の扉が油圧の音と共にスライドし、驚きを顕にしたココと目が合った。
『あ…』
「どうしてベッドから降りてるんだ、危ないだろう。勝手に点滴も外しちゃってるし。」
ココはまくしたてるように早口で喋りながらセイラの体をひょいと横抱きに抱えた。
『ココ!大丈夫だってば!』
「大丈夫じゃない。セイラは覚えていないだろうけど猛獣を仕留めたあと倒れたんだから、無理しないで。」
『………ごめん……』
「医者が言うには心労だろうって。はい、お水。」
心労と言われるほどストレスを抱えた覚えはないし、研究所の医者はすぐストレスで片付けるから信用できない。いつも通りスタミナ切れだと思うけど。我ながら赤子みたいで情けないが今はココを心配させないように大人しくしておこう。
ココにもらったコップの水をこくりと一口飲み込むと廊下の外からバタバタと足音が聞こえてきた。忙しなく近づいてきた足音と共に扉が開かれトリコ、サニー、ゼブラが押し入ってきた。
「セイラ、起きてんじゃねーか!!」
「ココ。帰りのヘリが来たぜ!」
「お前ら押すんじゃねえよ!」
「うるさいぞ、お前たち。」
トリコたちの話を聞く限り4人はこのあと会長に会う約束があるらしく、セイラが目覚めるギリギリまで待っていてくれたらしい。4人は順番にセイラの頭をわしゃわしゃ撫でくりまわしていくと慌ただしく部屋を出ていった。
『嵐みたいだな…』
見事にボサボサ頭になったセイラの呟きに返事をする者はもういない。
塞がれた窓に顔を向けて耳を澄ますとヘリのプロペラの音が遠ざかっていく。
段々と小さくなっていくその音に聞き入っていると、油圧の音と共に扉が開かれ革靴特有の足音を響かせながらこちらに近づいてくる。
顔を見なくてもわかる。マンサムの部下の一人だ。
「グルメコロシアムの準備は整っていますよ。」
『……………』
「試合に勝てば貴方に賭けられた金額の一部は口座に振り込まれます。外の生活に憧れているんでしょう?」
『………わかってる。すぐ行く。』