2:幸せな食事
ヒロイン
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監視を始めて2週間が経った。男に動きはなく、段々と任務の緊張よりも退屈さが上回ってきた。
ここまで何もないと、情報が間違っているのではないかとすら思えてくる。
「男の部屋踏み込んで、尋問した方が早ぇんじゃねーのか?」
レノはまた女を抱き始めた男を疎ましく思いつつ、望遠鏡から離れた。
「仲間がいたら、警戒されちゃうからダメ」
ヒロインが盗聴器から流れてくる音声に顔をしかめ、スピーカーをミュートにした。
「それに、ルーファウスから慎重にやれって言われてるし」
「ルーファウス?」
レノはヒロインが副社長のことを名前で呼んだことに驚いて目を丸くした。
ヒロインは一瞬、しまったという顔をしたが、誤魔化せないとわかったのか説明を始めた。
「私たち、幼馴染でね。まだ子供だった頃に私たちのいる訓練施設に護身術覚えにきてて、そこでいじめられてたのを助けたのがきっかけ」
昔を思い出したのか、ヒロインがくすりと笑った。その顔が本当に楽しそうで、レノも釣られて笑顔になった。
「あの子、見た目可愛かったのに、中身全然可愛らしくなくてね。なんて言ったと思う?『誰が助けろと言った』よ?」
副社長らしい言葉にレノは思わず吹き出した。
「で、あんまり生意気だったから、腹立って私がグーパンしたら泣き出して。社長の息子を殴ったって周りは大騒ぎ。私は懲罰部屋行きになって、下手したら退所になる可能性もあったんだけど、それをルーファウスがかばってくれたみたいでね。そこから仲良くなったの。昔はお姉ちゃんって慕ってくれたのに、本当今じゃ可愛げのかけらもない…って、この話したの、ルーファウスには内緒ね」
副社長にもそんな可愛らしい時期があったとは。いつかからかってみたいものだと思いつつ、とりあえずこの場は頷いておいた。
「ま、そんな縁もあって、今は彼の護衛兼秘書」
秘書という響きに妙な色っぽさを感じ、レノはヒロインが副社長の恋人ではないかと邪推した。
美男美女でお似合いだろう。
それを想像し、レノはむっと顔をしかめた。
「…なんか変な想像してるでしょ?」
「あ、いや…」
図星だったが、レノは適当に言葉を濁した。
ジト目のヒロインの視線が痛い。
「ルーファウスは大事な弟分だから。恋人とか、そんなんじゃないよ。弟を守るのは、お姉ちゃんの役目。そういう、約束なの」
そう言ったヒロインは、とても穏やかな笑みを浮かべていた。
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ここまで何もないと、情報が間違っているのではないかとすら思えてくる。
「男の部屋踏み込んで、尋問した方が早ぇんじゃねーのか?」
レノはまた女を抱き始めた男を疎ましく思いつつ、望遠鏡から離れた。
「仲間がいたら、警戒されちゃうからダメ」
ヒロインが盗聴器から流れてくる音声に顔をしかめ、スピーカーをミュートにした。
「それに、ルーファウスから慎重にやれって言われてるし」
「ルーファウス?」
レノはヒロインが副社長のことを名前で呼んだことに驚いて目を丸くした。
ヒロインは一瞬、しまったという顔をしたが、誤魔化せないとわかったのか説明を始めた。
「私たち、幼馴染でね。まだ子供だった頃に私たちのいる訓練施設に護身術覚えにきてて、そこでいじめられてたのを助けたのがきっかけ」
昔を思い出したのか、ヒロインがくすりと笑った。その顔が本当に楽しそうで、レノも釣られて笑顔になった。
「あの子、見た目可愛かったのに、中身全然可愛らしくなくてね。なんて言ったと思う?『誰が助けろと言った』よ?」
副社長らしい言葉にレノは思わず吹き出した。
「で、あんまり生意気だったから、腹立って私がグーパンしたら泣き出して。社長の息子を殴ったって周りは大騒ぎ。私は懲罰部屋行きになって、下手したら退所になる可能性もあったんだけど、それをルーファウスがかばってくれたみたいでね。そこから仲良くなったの。昔はお姉ちゃんって慕ってくれたのに、本当今じゃ可愛げのかけらもない…って、この話したの、ルーファウスには内緒ね」
副社長にもそんな可愛らしい時期があったとは。いつかからかってみたいものだと思いつつ、とりあえずこの場は頷いておいた。
「ま、そんな縁もあって、今は彼の護衛兼秘書」
秘書という響きに妙な色っぽさを感じ、レノはヒロインが副社長の恋人ではないかと邪推した。
美男美女でお似合いだろう。
それを想像し、レノはむっと顔をしかめた。
「…なんか変な想像してるでしょ?」
「あ、いや…」
図星だったが、レノは適当に言葉を濁した。
ジト目のヒロインの視線が痛い。
「ルーファウスは大事な弟分だから。恋人とか、そんなんじゃないよ。弟を守るのは、お姉ちゃんの役目。そういう、約束なの」
そう言ったヒロインは、とても穏やかな笑みを浮かべていた。
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