14:二度目のお別れ
ヒロイン
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一度仮眠室に戻って準備を整えていると、仮眠室の扉がノックもなく開かれた。
「ノックぐらいしてよ」
入ってきたルーファウスはそれに答えず、あからさまに怒った様子でヒロインを睨みつけていた。こんなに感情を顕にするのは、子供の時以来ではないか。あの頃はお互い立場もなく、ただの姉と弟だった。当時のルーファウスはいつも不機嫌な様子で、今のように怒りを顕にすることが多かった。
当時のことを思い出して懐かしくなり、ヒロインは笑った。
「…本気なんだな」
ルーファウスの視線が真っ直ぐに刺さる。その目には少しだけ迷いがあった。
「言い出したらきかないの、ルーファウスが一番知ってるでしょ」
「殺すんだぞ。レノを、自分の手で」
「それも理解してるし、覚悟は決めた」
「どうしてそんな、自分が一番辛い手段を選ぶんだ!」
ルーファウスがヒロインの肩を掴んだ。今にも泣きそうに顔を歪めている。心から心配してくれていることは本当にありがたかった。しかし、ヒロインの決意は変わらない。
「辛くはないよ。彼女が選んだ道の方が、きっと辛かったと思う」
婚約者だった男に裏切られ、傷つけられ、それでも彼女は生きた。痛みも苦しみも全部抱えて生きるなんて、どんなに辛かっただろう。
「レノを殺して、私も死ぬ。そしたら何の枷もなくあいつら潰せるんだから、いい案だと思うけどな」
ヒロインは手を伸ばし、ルーファウスの頭を少し乱暴に撫でた。きちんとセットされていたルーファウスの髪型が崩れ、前髪が垂れた。
「それにね、レノも賛成してくれそうな気がするの。なんとなーくだけど」
そんな会話をレノとしたような記憶が、ヒロインには薄っすらと残っていた。もしかしたら、夢での会話かもしれないが、レノは許してくれそうな予感があった。
「行ってきます」
ヒロインは一度ぎゅっとルーファウスを抱きしめた。そして、振り返らずに仮眠室を出た。
「いってらっしゃい、姉さん」
必死に隠そうとはしていたようだったが、最後に聞こえたルーファウスの声は震えていた。
「目的地から100mのところで降ろす。そこからは一人だ」
「了解」
ヒロインはルードの運転する車の助手席で長い髪を一つに結い上げていた。そして、高く結い上げた髪の中に細く目立たない簪を隠した。
「無謀だな」
「かもね。でも、一番勝率高いと思わない?」
「敵の制圧に関しては、そうだな」
「じゃあ問題ない。後は任せたよ」
予定のポイントに到着し、車がゆっくりと止まった。ヒロインはルードの肩を軽く叩くと、車を降りて目的地である倉庫に向かった。
目的の倉庫はプレート下のスラム街を抜けたミッドガルの外れにあった。プレートの切れ目に当たる位置に建っているため、そこには太陽の光が差し込んでおり、スラムの太陽が光源になっているスラム街よりもずっと明るかった。
倉庫の入口には二人の男が立っていた。二人が銃を構えたので、ヒロインは両手を上げて立ち止まった。
「お望みのヒロインがやってきたって、あいつに伝えて」
男のうちの一人が中に入り、1分と経たずに戻ってきた。そして、顎をしゃくり、ヒロインに中に入るよう促した。
倉庫の中は一転して薄暗かった。いくつかの小さな窓から入る太陽の光だけがぽつぽつと倉庫の中を照らしていた。
例の男は倉庫の奥、倒れているレノのすぐ近くにいた。薄暗い中でも男の手にしている銃がレノに向けられているのがはっきりと見えた。レノは相変わらず身動き一つしなかった。ヒロインはレノがまだ生きていることを祈りつつ、奥へと進んだ。
「そこで止まって、服を脱げ」
急に真上から真っ白な光が降ってきた。どうやらスポットライトで照らされているらしい。ヒロインはあまりの眩しさに目を細めた。
「私が何かするかもってびびってんの?人質取ってんだから、もっと余裕持てば?」
ヒロインが鼻で笑うと、男の眉が吊り上がった。
「口答えせずにさっさと脱げ!何なら、手伝ってやろうか?」
「子供じゃあるまいし、結構」
ヒロインは上着を脱ぎ、レノのいる方に向かって放った。
「全部だ」
例の男だけでなく、周囲を囲む数人の男たちもにやにやと笑いながらこちらを見ている。スポットライトで自分だけが照らされているのもあり、まるでストリップショーの舞台に無理矢理上げられたような気分だ。胸や尻のあたりに視線を感じながら、ヒロインは逆らわずにシャツとスラックスも脱いだ。下着姿になると、周りから歓声が上がった。早くヤらせろという下品な野次が飛び交う中、ヒロインは真っ直ぐ男を睨みつけた。
「これで満足?それとも、まだ私が怖いって言うなら、全部脱ぐけど?」
「いや、これはこれでそそるな」
周りの男たち同様、正面の男もにやにやといやらしい目でヒロインを舐め回すように見た。鳥肌が立つぐらい気持ち悪かったが、ヒロインは何でもない振りをしてみせた。
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「ノックぐらいしてよ」
入ってきたルーファウスはそれに答えず、あからさまに怒った様子でヒロインを睨みつけていた。こんなに感情を顕にするのは、子供の時以来ではないか。あの頃はお互い立場もなく、ただの姉と弟だった。当時のルーファウスはいつも不機嫌な様子で、今のように怒りを顕にすることが多かった。
当時のことを思い出して懐かしくなり、ヒロインは笑った。
「…本気なんだな」
ルーファウスの視線が真っ直ぐに刺さる。その目には少しだけ迷いがあった。
「言い出したらきかないの、ルーファウスが一番知ってるでしょ」
「殺すんだぞ。レノを、自分の手で」
「それも理解してるし、覚悟は決めた」
「どうしてそんな、自分が一番辛い手段を選ぶんだ!」
ルーファウスがヒロインの肩を掴んだ。今にも泣きそうに顔を歪めている。心から心配してくれていることは本当にありがたかった。しかし、ヒロインの決意は変わらない。
「辛くはないよ。彼女が選んだ道の方が、きっと辛かったと思う」
婚約者だった男に裏切られ、傷つけられ、それでも彼女は生きた。痛みも苦しみも全部抱えて生きるなんて、どんなに辛かっただろう。
「レノを殺して、私も死ぬ。そしたら何の枷もなくあいつら潰せるんだから、いい案だと思うけどな」
ヒロインは手を伸ばし、ルーファウスの頭を少し乱暴に撫でた。きちんとセットされていたルーファウスの髪型が崩れ、前髪が垂れた。
「それにね、レノも賛成してくれそうな気がするの。なんとなーくだけど」
そんな会話をレノとしたような記憶が、ヒロインには薄っすらと残っていた。もしかしたら、夢での会話かもしれないが、レノは許してくれそうな予感があった。
「行ってきます」
ヒロインは一度ぎゅっとルーファウスを抱きしめた。そして、振り返らずに仮眠室を出た。
「いってらっしゃい、姉さん」
必死に隠そうとはしていたようだったが、最後に聞こえたルーファウスの声は震えていた。
「目的地から100mのところで降ろす。そこからは一人だ」
「了解」
ヒロインはルードの運転する車の助手席で長い髪を一つに結い上げていた。そして、高く結い上げた髪の中に細く目立たない簪を隠した。
「無謀だな」
「かもね。でも、一番勝率高いと思わない?」
「敵の制圧に関しては、そうだな」
「じゃあ問題ない。後は任せたよ」
予定のポイントに到着し、車がゆっくりと止まった。ヒロインはルードの肩を軽く叩くと、車を降りて目的地である倉庫に向かった。
目的の倉庫はプレート下のスラム街を抜けたミッドガルの外れにあった。プレートの切れ目に当たる位置に建っているため、そこには太陽の光が差し込んでおり、スラムの太陽が光源になっているスラム街よりもずっと明るかった。
倉庫の入口には二人の男が立っていた。二人が銃を構えたので、ヒロインは両手を上げて立ち止まった。
「お望みのヒロインがやってきたって、あいつに伝えて」
男のうちの一人が中に入り、1分と経たずに戻ってきた。そして、顎をしゃくり、ヒロインに中に入るよう促した。
倉庫の中は一転して薄暗かった。いくつかの小さな窓から入る太陽の光だけがぽつぽつと倉庫の中を照らしていた。
例の男は倉庫の奥、倒れているレノのすぐ近くにいた。薄暗い中でも男の手にしている銃がレノに向けられているのがはっきりと見えた。レノは相変わらず身動き一つしなかった。ヒロインはレノがまだ生きていることを祈りつつ、奥へと進んだ。
「そこで止まって、服を脱げ」
急に真上から真っ白な光が降ってきた。どうやらスポットライトで照らされているらしい。ヒロインはあまりの眩しさに目を細めた。
「私が何かするかもってびびってんの?人質取ってんだから、もっと余裕持てば?」
ヒロインが鼻で笑うと、男の眉が吊り上がった。
「口答えせずにさっさと脱げ!何なら、手伝ってやろうか?」
「子供じゃあるまいし、結構」
ヒロインは上着を脱ぎ、レノのいる方に向かって放った。
「全部だ」
例の男だけでなく、周囲を囲む数人の男たちもにやにやと笑いながらこちらを見ている。スポットライトで自分だけが照らされているのもあり、まるでストリップショーの舞台に無理矢理上げられたような気分だ。胸や尻のあたりに視線を感じながら、ヒロインは逆らわずにシャツとスラックスも脱いだ。下着姿になると、周りから歓声が上がった。早くヤらせろという下品な野次が飛び交う中、ヒロインは真っ直ぐ男を睨みつけた。
「これで満足?それとも、まだ私が怖いって言うなら、全部脱ぐけど?」
「いや、これはこれでそそるな」
周りの男たち同様、正面の男もにやにやといやらしい目でヒロインを舐め回すように見た。鳥肌が立つぐらい気持ち悪かったが、ヒロインは何でもない振りをしてみせた。
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