13:マガイモノ
ヒロイン
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音が止んでからさらに数分待って何も起きないことを確認し、ようやく二人は緊張を解いた。
「昨日の今日でまた来るなんて、あの男しつこすぎる!人の家で待ち構えてたり、買い物帰り狙って車ぶつけてきたり、ストーカーじゃない!」」
思いつく限りの悪口を並べて男を罵っていると、ふと違和感を感じてヒロインは眉をひそめた。レノも同じような顔をしている。二人は顔を見合わせた。
モールに行こうと決めたのは今日の朝だ。突発的な予定にも関わらず、男たちは狙ったようにやってきた。
昨日にしてもそうだ。あの男は自分たちが帰ってくるところを待ち伏せしていた。
「偶然なわけない…!」
ヒロインははっとして服を脱ぎ始めた。ジャケットを脱ぎ、さらにシャツを脱ごうとしたところで、レノが真っ赤な顔をして制止した。
「何脱いでんだよ!」
レノが少し恥ずかしそうに自分から視線を外したのを見て、今の行動が非常にまずかったことに気づく。ヒロインは上半身裸になる寸前で、胸元を隠すように、シャツをかき合わせた。
「ご、ごめん!でも、気になることが、あって…」
ヒロインはレノに背を向けると、半分ほどシャツを脱いで背中をレノに見せた。
「昨日も今日も、さっきだって、あいつら私たちの居場所を知っていたみたいだった。だから、追跡されてるんじゃないかって」
より自分の背中がレノに見えるように、ヒロインは長い髪を前に垂らした。
「きっと背中とかあまり触れられないところに追跡用チップが埋まってるんだと思う。自分じゃわからないから、レノ、探して」
背後でレノが息を呑んだのがわかった。背中とは言え、素肌を男性――レノに見せていると思うと、緊張で心臓がドキドキと大きく脈打つ。
「触るぞ」
レノも緊張しているのか、少し声が固かった。少しの間を置いて、レノの指が背中に触れた。視線とともにすっと指が背中を滑るたび、触れられた箇所が熱くなる。自分でもおかしいくらい感覚が鋭敏になっていた。
しばらくして、レノの指が止まった。何度かその辺りを軽く押すように触れたあと、レノの手が下着にかかった。
「ここ、しこりみたいなものがあるな…ホック、外すぞ」
どうやらちょうど下着で隠れているところにあるらしい。ヒロインは両手で下着の上から胸を押さえると、小さく頷いた。下着のホックが外れ、ヒロインは少し身体を固くした。
「やっぱり何か埋まってるな。取り出すぞ」
「いつでも大丈夫」
ヒロインは一度大きく息を吸い、これから来る痛みへの覚悟を決めた。
レノの手が背に添えられた。それから一拍間をおいて、ナイフの先端が肉を割いた。鋭い痛みがスウェイの身体を駆け抜けた。冷たいと感じてすぐ、熱い痛みがやってくる。スウェイはきつく唇を噛み、悲鳴をなんとか押し殺した。
「予想通りだぞ、と」
レノの手のひらが目の前に差し出される。その手のひらの上には、長さ1cm、直径数mmの小さなカプセルのようなものが乗っていた。
「さ、傷の手当するから、もうちょい大人しくしててくれよ」
少しだけ振り返ると、レノはガーゼを手にしていた。隠し部屋に置かれていた備品の中にあったもののようだ。ヒロインはレノが手当を終えるのを大人しく待った。傷口だけでなく、レノが触れた箇所がまだ熱い。
「終わったぞ、と。服着たら教えてくれよ」
「うん、ありがとう」
レノの手が離れると、身体から熱も引いた。しかし、今まで感じたことがないほど寂しさも同時に感じていた。レノが見ているのは自分の中にいる彼女だとわかっていても、触れられたらドキドキするし、離れたら寂しい。こんなにレノのことを意識するなんて、それもこれも朝に彼女の気持ちを聞いてしまったからだ。それに影響されてたせいで心が揺れて、この状況で余計なことを考えている。
(しっかりしなきゃ…)
服を着たスウェイは軽く自分の両頬を叩き、集中しろと何度も自分に言い聞かせた。
「大丈夫か?」
振り返ると、レノが心配そうな顔をしていた。その言葉も、心配も、彼女に向けられているものだと思うと、胸が締め付けられた。
震える唇を一度キュッと結び、無理矢理口角を上げてみれば、少しだけ心に誤魔化しがきく。今はそれでいい。
「ちょっと痛かったなって。でも大丈夫」
いつものように勝ち気な笑みを浮かべて、明るい声を出しているうちに、心に立っていたさざなみは収まっていった。
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「昨日の今日でまた来るなんて、あの男しつこすぎる!人の家で待ち構えてたり、買い物帰り狙って車ぶつけてきたり、ストーカーじゃない!」」
思いつく限りの悪口を並べて男を罵っていると、ふと違和感を感じてヒロインは眉をひそめた。レノも同じような顔をしている。二人は顔を見合わせた。
モールに行こうと決めたのは今日の朝だ。突発的な予定にも関わらず、男たちは狙ったようにやってきた。
昨日にしてもそうだ。あの男は自分たちが帰ってくるところを待ち伏せしていた。
「偶然なわけない…!」
ヒロインははっとして服を脱ぎ始めた。ジャケットを脱ぎ、さらにシャツを脱ごうとしたところで、レノが真っ赤な顔をして制止した。
「何脱いでんだよ!」
レノが少し恥ずかしそうに自分から視線を外したのを見て、今の行動が非常にまずかったことに気づく。ヒロインは上半身裸になる寸前で、胸元を隠すように、シャツをかき合わせた。
「ご、ごめん!でも、気になることが、あって…」
ヒロインはレノに背を向けると、半分ほどシャツを脱いで背中をレノに見せた。
「昨日も今日も、さっきだって、あいつら私たちの居場所を知っていたみたいだった。だから、追跡されてるんじゃないかって」
より自分の背中がレノに見えるように、ヒロインは長い髪を前に垂らした。
「きっと背中とかあまり触れられないところに追跡用チップが埋まってるんだと思う。自分じゃわからないから、レノ、探して」
背後でレノが息を呑んだのがわかった。背中とは言え、素肌を男性――レノに見せていると思うと、緊張で心臓がドキドキと大きく脈打つ。
「触るぞ」
レノも緊張しているのか、少し声が固かった。少しの間を置いて、レノの指が背中に触れた。視線とともにすっと指が背中を滑るたび、触れられた箇所が熱くなる。自分でもおかしいくらい感覚が鋭敏になっていた。
しばらくして、レノの指が止まった。何度かその辺りを軽く押すように触れたあと、レノの手が下着にかかった。
「ここ、しこりみたいなものがあるな…ホック、外すぞ」
どうやらちょうど下着で隠れているところにあるらしい。ヒロインは両手で下着の上から胸を押さえると、小さく頷いた。下着のホックが外れ、ヒロインは少し身体を固くした。
「やっぱり何か埋まってるな。取り出すぞ」
「いつでも大丈夫」
ヒロインは一度大きく息を吸い、これから来る痛みへの覚悟を決めた。
レノの手が背に添えられた。それから一拍間をおいて、ナイフの先端が肉を割いた。鋭い痛みがスウェイの身体を駆け抜けた。冷たいと感じてすぐ、熱い痛みがやってくる。スウェイはきつく唇を噛み、悲鳴をなんとか押し殺した。
「予想通りだぞ、と」
レノの手のひらが目の前に差し出される。その手のひらの上には、長さ1cm、直径数mmの小さなカプセルのようなものが乗っていた。
「さ、傷の手当するから、もうちょい大人しくしててくれよ」
少しだけ振り返ると、レノはガーゼを手にしていた。隠し部屋に置かれていた備品の中にあったもののようだ。ヒロインはレノが手当を終えるのを大人しく待った。傷口だけでなく、レノが触れた箇所がまだ熱い。
「終わったぞ、と。服着たら教えてくれよ」
「うん、ありがとう」
レノの手が離れると、身体から熱も引いた。しかし、今まで感じたことがないほど寂しさも同時に感じていた。レノが見ているのは自分の中にいる彼女だとわかっていても、触れられたらドキドキするし、離れたら寂しい。こんなにレノのことを意識するなんて、それもこれも朝に彼女の気持ちを聞いてしまったからだ。それに影響されてたせいで心が揺れて、この状況で余計なことを考えている。
(しっかりしなきゃ…)
服を着たスウェイは軽く自分の両頬を叩き、集中しろと何度も自分に言い聞かせた。
「大丈夫か?」
振り返ると、レノが心配そうな顔をしていた。その言葉も、心配も、彼女に向けられているものだと思うと、胸が締め付けられた。
震える唇を一度キュッと結び、無理矢理口角を上げてみれば、少しだけ心に誤魔化しがきく。今はそれでいい。
「ちょっと痛かったなって。でも大丈夫」
いつものように勝ち気な笑みを浮かべて、明るい声を出しているうちに、心に立っていたさざなみは収まっていった。
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