13:マガイモノ
ヒロイン
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「今のところは着いてくるだけだし、このまま神羅ビルに向かうことに…あれ」
ツォンに報告をしていると、突然車のスピードが落ち始めた。
「あー…やべーなこれ。ツォンさん、戻るのは無理だ。さっきの事故で車がイカれちまった。ハイウェイ下で乗り捨てて、プレート下経由で戻るぞ、と」
ヒロインはレノの指示通り、ハイウェイ下に向かうためハンドルを左に切った。そのとき、男の車がスピードを上げてこちらに向かってきているのが見えた。
「レノ、あいつら車のトラブル気づいてる」
「ツォンさん、念のため応援送ってくれ。あぁ、車は爆破しておく。頼んだぞ、と」
通信を切ったレノが後部座席に移動し、荷物をまとめ始めた。その中には今日ヒロインが買った下着の入った紙袋も含まれている。あの恥ずかしい下着を買ったことを思い出し、ヒロインは赤面しつつ、レノに中を見られないことを祈った。
追いつかれる前に目的地に到着した二人は降車してすぐ車を爆破し、プレート内部に繋がる鉄蓋を開けて中に入った。
プレート内部は意外ときれいに保たれていた。床には土埃一つない。おかげで二人は自分たちの足跡を気にすることなく進むことができた。非常用の電灯もないため、先頭を歩くレノが懐中電灯で足元を照らす。幾度か別れ道があったが、レノは一度も足を止めなかった。行くべき道がわかっているのだろう。きっとレノとはぐれたらここから出られなくなる。そう思ったヒロインは、そっとレノのスーツの裾を握った。
「あー悪ぃ。道わかんねぇよな」
足を止めたレノが振り返った。懐中電灯の光が二人の間を照らす。そこに現れたレノの手が、そっとヒロインの手に触れた。ヒロインが驚いて手を引く前に、レノがきつく手を握った。
「スーツより、こっちのほうが安全だぞ、と」
「…うん、ありがとう」
懐中電灯は二人の繋がれた手だけを照らしていた。レノの骨ばった手が、ヒロインにレノが男性であるということを意識させる。ただの後輩だったはずなのに、いつの間にかヒロインの中でレノはそれ以上の存在になっていた。もっとレノのことを知りたい。ヒロインはレノの手を強く握り返した。
コツン。
本当に小さな音だった。金属の板に何か硬いものが当たった音がヒロインの耳に届く。どうやらレノも聞こえたようで、音の方に視線を向けると同時に懐中電灯を消していた。薄闇にも目が慣れ、ある程度周りを把握できるようになった二人は、足音を立てずに移動を始めた。
レノの指が手の甲を規則正しく叩く。それがメッセージだということにヒロインもすぐに気づき、同じようにレノの手の甲を指で叩いて返事をした。レノが言うには、近くにある隠し部屋に一度退避し、追手を確認するとのことだった。ヒロインは了承の合図を送り、レノに手を引かれながらその隠し部屋に向かった。
隠し部屋はあまり使われていないとのことだったが、こちらも埃は少なく、おかげで思い切り息をつくことができた。
「しばらく待機だな」
レノの手が離れ、空に取り残されたヒロインの手にペットボトルが乗せられた。少し寂しさを感じつつも、ヒロインはお礼を行って蓋を開けた。二人は入口を向いて地面に座り、壁に背を預けた。
水で喉が潤ってくると少し身体と心に余裕が生まれ、ヒロインは肩に入っていた力を抜いた。が、それも一瞬。入口の扉が強く叩かれ、その振動が部屋の空気を震わせた。
この部屋の存在がバレてしまったのではないか。不安になってヒロインはレノを見上げた。
「大丈夫だぞ、と。ここが作られたのはあいつがタークスからいなくなってからだ。それに、扉も分厚いからな。叩いたぐらいで部屋があるってわかるはずないぞ、と」
レノがそう言うならば信じよう。ヒロインは頷き、入口の扉に視線を向けたまま、いつでも銃を抜けるように構えた。しつこいぐらいに扉が叩かれていたが、数分ほどで静かになった。
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ツォンに報告をしていると、突然車のスピードが落ち始めた。
「あー…やべーなこれ。ツォンさん、戻るのは無理だ。さっきの事故で車がイカれちまった。ハイウェイ下で乗り捨てて、プレート下経由で戻るぞ、と」
ヒロインはレノの指示通り、ハイウェイ下に向かうためハンドルを左に切った。そのとき、男の車がスピードを上げてこちらに向かってきているのが見えた。
「レノ、あいつら車のトラブル気づいてる」
「ツォンさん、念のため応援送ってくれ。あぁ、車は爆破しておく。頼んだぞ、と」
通信を切ったレノが後部座席に移動し、荷物をまとめ始めた。その中には今日ヒロインが買った下着の入った紙袋も含まれている。あの恥ずかしい下着を買ったことを思い出し、ヒロインは赤面しつつ、レノに中を見られないことを祈った。
追いつかれる前に目的地に到着した二人は降車してすぐ車を爆破し、プレート内部に繋がる鉄蓋を開けて中に入った。
プレート内部は意外ときれいに保たれていた。床には土埃一つない。おかげで二人は自分たちの足跡を気にすることなく進むことができた。非常用の電灯もないため、先頭を歩くレノが懐中電灯で足元を照らす。幾度か別れ道があったが、レノは一度も足を止めなかった。行くべき道がわかっているのだろう。きっとレノとはぐれたらここから出られなくなる。そう思ったヒロインは、そっとレノのスーツの裾を握った。
「あー悪ぃ。道わかんねぇよな」
足を止めたレノが振り返った。懐中電灯の光が二人の間を照らす。そこに現れたレノの手が、そっとヒロインの手に触れた。ヒロインが驚いて手を引く前に、レノがきつく手を握った。
「スーツより、こっちのほうが安全だぞ、と」
「…うん、ありがとう」
懐中電灯は二人の繋がれた手だけを照らしていた。レノの骨ばった手が、ヒロインにレノが男性であるということを意識させる。ただの後輩だったはずなのに、いつの間にかヒロインの中でレノはそれ以上の存在になっていた。もっとレノのことを知りたい。ヒロインはレノの手を強く握り返した。
コツン。
本当に小さな音だった。金属の板に何か硬いものが当たった音がヒロインの耳に届く。どうやらレノも聞こえたようで、音の方に視線を向けると同時に懐中電灯を消していた。薄闇にも目が慣れ、ある程度周りを把握できるようになった二人は、足音を立てずに移動を始めた。
レノの指が手の甲を規則正しく叩く。それがメッセージだということにヒロインもすぐに気づき、同じようにレノの手の甲を指で叩いて返事をした。レノが言うには、近くにある隠し部屋に一度退避し、追手を確認するとのことだった。ヒロインは了承の合図を送り、レノに手を引かれながらその隠し部屋に向かった。
隠し部屋はあまり使われていないとのことだったが、こちらも埃は少なく、おかげで思い切り息をつくことができた。
「しばらく待機だな」
レノの手が離れ、空に取り残されたヒロインの手にペットボトルが乗せられた。少し寂しさを感じつつも、ヒロインはお礼を行って蓋を開けた。二人は入口を向いて地面に座り、壁に背を預けた。
水で喉が潤ってくると少し身体と心に余裕が生まれ、ヒロインは肩に入っていた力を抜いた。が、それも一瞬。入口の扉が強く叩かれ、その振動が部屋の空気を震わせた。
この部屋の存在がバレてしまったのではないか。不安になってヒロインはレノを見上げた。
「大丈夫だぞ、と。ここが作られたのはあいつがタークスからいなくなってからだ。それに、扉も分厚いからな。叩いたぐらいで部屋があるってわかるはずないぞ、と」
レノがそう言うならば信じよう。ヒロインは頷き、入口の扉に視線を向けたまま、いつでも銃を抜けるように構えた。しつこいぐらいに扉が叩かれていたが、数分ほどで静かになった。
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