1:苦手意識
ヒロイン
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
レノは冷蔵庫から取り出した水を飲みながら、望遠鏡で男の部屋を覗き見た。
間の悪いことに男は女を連れ込んでおり、カーテンが全開だったせいで行為の一部始終が丸見えになっていた。
盗聴器を仕掛ける前でよかったかもしれない。声まで聞かされたら気が滅入る。こちらはすぐ手の届くところにいる女一人抱けないというのに。
再びむくむくと湧き上がる邪な感情を吐き出すように、レノは大きく溜息をついた。
「…眠れないの?」
欲求不満の原因でもあるヒロインに突然声をかけられたレノは、声こそ出さなかったが驚いてペットボトルを落とした。中身がほとんどなかったそれは、軽い音を立てて床にぶつかり、ころころとヒロインの方に転がった。
少し屈んで空のペットボトルを拾ったヒロインは、それをゴミ箱に捨てて冷蔵庫の方に行き、新しいペットボトルを取り出した。
「飲む?」
振り返ったヒロインが問う。
「あぁ」
ヒロインはレノの隣に座った。
お礼を言ってそれを受け取ったレノは、ヒロインを横目で見た。いつの間にかワンピースではなく、いつものシャツとスラックスに着替えている。ヒロインの肌が露出した面積が少なくなり、レノは少しほっとした。
「何か見えた?」
ヒロインが望遠鏡を覗こうと、そちらに手を伸ばす。
「今は見ないほうがいいと思うぞ、と」
なぜ?とヒロインが問う前に、レノはヤッてる最中だと付け加えた。
ヒロインの顔が少し赤くなり、伸ばされた手が戻された。
気まずい空気が流れ、しばらくはお互い無言で水を飲んだ。
レノはぼんやり外を眺めていた。早く男が出かけるのを願いつつ。
その願いが届いたのか、男は女とともに出かける準備を始めたようだった。
「オレたちも準備するか」
レノが立ち上がろうとしたところ、ヒロインがレノの袖を掴んだ。
「待って…あの、昨日、船でのことなんだけど」
袖を掴むヒロインの手に少し力が込められた。
「嫌な思いさせて、ごめんなさい」
レノは目を瞬かせた。
嫌な思いをさせたのはこちらだ。いきなり後ろから抱きしめ、胸に触れたのだから。
「突然のことで驚いて、過剰反応してしまって…本当にごめんなさい」
過剰反応といえばそうなのだが、それは本当に驚いたからなのだろうか?
あの怯え方は尋常ではなかった。
しかし、レノはその疑問を一旦飲み込んだ。追求したとして、ヒロインが答えるとは限らないし、その前にすることがあった。
「いや、オレの方こそ、怖がらせて悪かったぞ、と」
「じゃあ、これで仲直り」
ヒロインが袖を掴んでいた手を放し、レノの方に手を差し出してきた。
「あぁ」
二人は握手をして、顔を見合わせて笑った。
To be continued...
2020/11/11
.
間の悪いことに男は女を連れ込んでおり、カーテンが全開だったせいで行為の一部始終が丸見えになっていた。
盗聴器を仕掛ける前でよかったかもしれない。声まで聞かされたら気が滅入る。こちらはすぐ手の届くところにいる女一人抱けないというのに。
再びむくむくと湧き上がる邪な感情を吐き出すように、レノは大きく溜息をついた。
「…眠れないの?」
欲求不満の原因でもあるヒロインに突然声をかけられたレノは、声こそ出さなかったが驚いてペットボトルを落とした。中身がほとんどなかったそれは、軽い音を立てて床にぶつかり、ころころとヒロインの方に転がった。
少し屈んで空のペットボトルを拾ったヒロインは、それをゴミ箱に捨てて冷蔵庫の方に行き、新しいペットボトルを取り出した。
「飲む?」
振り返ったヒロインが問う。
「あぁ」
ヒロインはレノの隣に座った。
お礼を言ってそれを受け取ったレノは、ヒロインを横目で見た。いつの間にかワンピースではなく、いつものシャツとスラックスに着替えている。ヒロインの肌が露出した面積が少なくなり、レノは少しほっとした。
「何か見えた?」
ヒロインが望遠鏡を覗こうと、そちらに手を伸ばす。
「今は見ないほうがいいと思うぞ、と」
なぜ?とヒロインが問う前に、レノはヤッてる最中だと付け加えた。
ヒロインの顔が少し赤くなり、伸ばされた手が戻された。
気まずい空気が流れ、しばらくはお互い無言で水を飲んだ。
レノはぼんやり外を眺めていた。早く男が出かけるのを願いつつ。
その願いが届いたのか、男は女とともに出かける準備を始めたようだった。
「オレたちも準備するか」
レノが立ち上がろうとしたところ、ヒロインがレノの袖を掴んだ。
「待って…あの、昨日、船でのことなんだけど」
袖を掴むヒロインの手に少し力が込められた。
「嫌な思いさせて、ごめんなさい」
レノは目を瞬かせた。
嫌な思いをさせたのはこちらだ。いきなり後ろから抱きしめ、胸に触れたのだから。
「突然のことで驚いて、過剰反応してしまって…本当にごめんなさい」
過剰反応といえばそうなのだが、それは本当に驚いたからなのだろうか?
あの怯え方は尋常ではなかった。
しかし、レノはその疑問を一旦飲み込んだ。追求したとして、ヒロインが答えるとは限らないし、その前にすることがあった。
「いや、オレの方こそ、怖がらせて悪かったぞ、と」
「じゃあ、これで仲直り」
ヒロインが袖を掴んでいた手を放し、レノの方に手を差し出してきた。
「あぁ」
二人は握手をして、顔を見合わせて笑った。
To be continued...
2020/11/11
.