11:もう一つの約束
ヒロイン
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「さて、お腹もいっぱい、いい感じに酔いも覚めたことだし、帰ろっか」
トイレから戻ってきたヒロインは殊更明るく笑って、先に店を出ていった。
どうやら支払いはさっき席を立ったときに済ませてくれたらしい。
「今日は割り勘じゃなかったのかよ」
店の外で待っていたヒロインが顔だけ振り返った。
「ん、退院祝いはまた今度でいいかなって」
「じゃあ次はオレが奢るぞ、と」
「次があるんだ。うれしい」
はにかんだような笑顔を向けられ、レノはヒロインを思い切り抱きしめたい衝動に駆られたが、そこは何とか理性で押し留まった。
ヒロインは後ろで手を組んで、軽くスキップをしながら前を歩いている。
時たまくるりと回っては、ふらふらとよろめいている。
酔いは覚めたと言っていたが、どうにも頼りない。
「先輩、送ってくぞ、と」
レノはタクシーを捕まえると、ヒロインに手招きした。
「一人で帰れるよ」
そう言ってヒロインは自分の家の方向に歩き出そうとした。
それを手を引っ張って止めると、レノはヒロインを無理矢理タクシーに押し込んだ。
「歩いて帰れる距離じゃねぇだろ」
酔っ払ったときのヒロインは本当に手がかかる。
レノは溜息をついて、運転手に行き先を告げた。
ヒロインの自宅マンション前でタクシーを降りると、レノはヒロインの手を引いて玄関前まで送った。
その途中、ヒロインは何度も目をこすり、大きなあくびをしていた。
「ほら、着いたぞ、と」
玄関前で鍵を探すときにぶちまけた鞄の中身を拾ってやりながら、レノは大きく嘆息した。
肝心のヒロインは、鍵を手にしながらも鍵穴に上手くさせないようで、目を細めながら悪戦苦闘していた。
「あーだめ、飲みすぎたー。レノ、お願いー」
鍵を渡されたレノは玄関前に座り込むヒロインに呆れつつ、それでも言われるがまま鍵を開けてやった。
「ほら、開いたぞ、と。まったく…そんなになるまで飲むなよ」
「だって、レノと飲むの楽しいから仕方ない」
そう言って無邪気に笑うヒロインを見ると、怒る気にはなれなかった。
楽しいと言われて悪い気はしない。
「立てるか?」
手を差し出すと、ヒロインは素直にレノの手に自分の手を置いた。
レノはヒロインの手を引いて立たせると、もう片方の手でドアノブを回し、ドアを引いた。
入口により近かったヒロインがはっと顔を上げたかと思うと、思い切りドアを両手で押して閉めた。
「何やって――」
「タバコの臭い…誰かいる」
レノはロッドを抜き、ヒロインを背にかばった。
ヒロインの顔は青褪めていた。
スーツが掴まれている箇所から、ヒロインの震えが伝わってくる。
レノは辺りを警戒しつつ、携帯でツォンに電話をした。
「ツォンさん、ヒロインの自宅に応援大至急。あいつがいる」
あの男を確保したいのは山々だったが、レノはヒロインを優先した。
狙いは恐らくヒロインだろう。
レノはヒロインの手を引き、早足で階段の方に向かった。
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トイレから戻ってきたヒロインは殊更明るく笑って、先に店を出ていった。
どうやら支払いはさっき席を立ったときに済ませてくれたらしい。
「今日は割り勘じゃなかったのかよ」
店の外で待っていたヒロインが顔だけ振り返った。
「ん、退院祝いはまた今度でいいかなって」
「じゃあ次はオレが奢るぞ、と」
「次があるんだ。うれしい」
はにかんだような笑顔を向けられ、レノはヒロインを思い切り抱きしめたい衝動に駆られたが、そこは何とか理性で押し留まった。
ヒロインは後ろで手を組んで、軽くスキップをしながら前を歩いている。
時たまくるりと回っては、ふらふらとよろめいている。
酔いは覚めたと言っていたが、どうにも頼りない。
「先輩、送ってくぞ、と」
レノはタクシーを捕まえると、ヒロインに手招きした。
「一人で帰れるよ」
そう言ってヒロインは自分の家の方向に歩き出そうとした。
それを手を引っ張って止めると、レノはヒロインを無理矢理タクシーに押し込んだ。
「歩いて帰れる距離じゃねぇだろ」
酔っ払ったときのヒロインは本当に手がかかる。
レノは溜息をついて、運転手に行き先を告げた。
ヒロインの自宅マンション前でタクシーを降りると、レノはヒロインの手を引いて玄関前まで送った。
その途中、ヒロインは何度も目をこすり、大きなあくびをしていた。
「ほら、着いたぞ、と」
玄関前で鍵を探すときにぶちまけた鞄の中身を拾ってやりながら、レノは大きく嘆息した。
肝心のヒロインは、鍵を手にしながらも鍵穴に上手くさせないようで、目を細めながら悪戦苦闘していた。
「あーだめ、飲みすぎたー。レノ、お願いー」
鍵を渡されたレノは玄関前に座り込むヒロインに呆れつつ、それでも言われるがまま鍵を開けてやった。
「ほら、開いたぞ、と。まったく…そんなになるまで飲むなよ」
「だって、レノと飲むの楽しいから仕方ない」
そう言って無邪気に笑うヒロインを見ると、怒る気にはなれなかった。
楽しいと言われて悪い気はしない。
「立てるか?」
手を差し出すと、ヒロインは素直にレノの手に自分の手を置いた。
レノはヒロインの手を引いて立たせると、もう片方の手でドアノブを回し、ドアを引いた。
入口により近かったヒロインがはっと顔を上げたかと思うと、思い切りドアを両手で押して閉めた。
「何やって――」
「タバコの臭い…誰かいる」
レノはロッドを抜き、ヒロインを背にかばった。
ヒロインの顔は青褪めていた。
スーツが掴まれている箇所から、ヒロインの震えが伝わってくる。
レノは辺りを警戒しつつ、携帯でツォンに電話をした。
「ツォンさん、ヒロインの自宅に応援大至急。あいつがいる」
あの男を確保したいのは山々だったが、レノはヒロインを優先した。
狙いは恐らくヒロインだろう。
レノはヒロインの手を引き、早足で階段の方に向かった。
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