7:最初の一歩
ヒロイン
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レノが帰ってしばらくして、ヒロインは急な吐き気に襲われて目を覚ました。
慌ててトイレに駆け込み、一気に胃の中身を吐き出した。
こんなに悪酔いしたのは何年ぶりだろうか。
洗面所で口を濯ぎながら、ヒロインは昨日のことをぼんやりと思い返していた。
脱ぎ捨てた下着、散乱する空き缶空き瓶、ゴミ。
すっぴん、よれよれのジャージ姿。
だらしない様子を、よりにもよってレノに見られてしまったことが恥ずかしく、穴があったら自分が見えなくなるまで深く掘って引きこもりたい。
そんな惨状を見て、レノはどう思っただろう。
きっと、ダメなやつだと呆れたことだろう。
ヒロインは顔を上げて、鏡に映る青白い自分の顔を見て、大きな溜息をついた。
寝直す前に水を飲もうとキッチンに向かうと、冷蔵庫に何か紙が貼られていた。
記憶にないそれに首を傾げつつ、ヒロインはキッチンの電気をつけて紙に目を近づけた。
『今度はちゃんと相手確認してから部屋に入れろよ!あと、さすがにリビングに脱いだ下着置いておくのはどうかと思うぞ』
どうやらレノはばっちりとヒロインが見られたくなかったものを見てしまったらしい。
恥ずかしさで頭をかきむしりたい衝動に駆られる。
二度と下着をリビングに放置しないことを心に決めつつ、ヒロインは書き置きの続きを読んだ。
『掃除のお礼に今度奢ってくれよ、先輩。親切で気の利く後輩より』
最後には、レノの携帯番号が書かれていた。
ヒロインは書き置きを手にとった。
すると、ふわりととてもいい匂いがした。
最近嗅いだことのある匂い――それがヒロインの記憶を呼び覚ました。
――レノ、今日はすごくいい匂い…私、好きだよ、これ
レノの首筋に顔をうずめたことを思い出し、今になって自分の大胆な行動に赤面した。
その匂いは記憶だけでなく、ヒロインにレノを思い出させた。
そこにレノがいるわけでもないのに、心臓が早鐘を打ち始める。
レノはヒロインのことを『先輩』としか思っていないようだが、ヒロインは違う。
レノのことを考えるだけで胸が締め付けられるように苦しくなり、一緒に、近くにいたいと思ってしまう。
どうしようもないぐらい、好きになってしまった。
レノには彼女がいると必死に自分の思いを抑え込んでも、好きという気持ちが溢れてしまう。
伝えたい。
でも、怖い。
自分の身に起こったことや若くて綺麗な彼女と自分を比べると、どうしても自分がレノに釣り合うとは思えなかった。
先輩と後輩という繋がりができただけでもよかったではないか。
そうやって何度自分に言い聞かせただろう。
別の言葉で自分の心に蓋をするのも、そろそろ限界だった。
手に持っていた張り紙の端が少しだけふやけた。
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慌ててトイレに駆け込み、一気に胃の中身を吐き出した。
こんなに悪酔いしたのは何年ぶりだろうか。
洗面所で口を濯ぎながら、ヒロインは昨日のことをぼんやりと思い返していた。
脱ぎ捨てた下着、散乱する空き缶空き瓶、ゴミ。
すっぴん、よれよれのジャージ姿。
だらしない様子を、よりにもよってレノに見られてしまったことが恥ずかしく、穴があったら自分が見えなくなるまで深く掘って引きこもりたい。
そんな惨状を見て、レノはどう思っただろう。
きっと、ダメなやつだと呆れたことだろう。
ヒロインは顔を上げて、鏡に映る青白い自分の顔を見て、大きな溜息をついた。
寝直す前に水を飲もうとキッチンに向かうと、冷蔵庫に何か紙が貼られていた。
記憶にないそれに首を傾げつつ、ヒロインはキッチンの電気をつけて紙に目を近づけた。
『今度はちゃんと相手確認してから部屋に入れろよ!あと、さすがにリビングに脱いだ下着置いておくのはどうかと思うぞ』
どうやらレノはばっちりとヒロインが見られたくなかったものを見てしまったらしい。
恥ずかしさで頭をかきむしりたい衝動に駆られる。
二度と下着をリビングに放置しないことを心に決めつつ、ヒロインは書き置きの続きを読んだ。
『掃除のお礼に今度奢ってくれよ、先輩。親切で気の利く後輩より』
最後には、レノの携帯番号が書かれていた。
ヒロインは書き置きを手にとった。
すると、ふわりととてもいい匂いがした。
最近嗅いだことのある匂い――それがヒロインの記憶を呼び覚ました。
――レノ、今日はすごくいい匂い…私、好きだよ、これ
レノの首筋に顔をうずめたことを思い出し、今になって自分の大胆な行動に赤面した。
その匂いは記憶だけでなく、ヒロインにレノを思い出させた。
そこにレノがいるわけでもないのに、心臓が早鐘を打ち始める。
レノはヒロインのことを『先輩』としか思っていないようだが、ヒロインは違う。
レノのことを考えるだけで胸が締め付けられるように苦しくなり、一緒に、近くにいたいと思ってしまう。
どうしようもないぐらい、好きになってしまった。
レノには彼女がいると必死に自分の思いを抑え込んでも、好きという気持ちが溢れてしまう。
伝えたい。
でも、怖い。
自分の身に起こったことや若くて綺麗な彼女と自分を比べると、どうしても自分がレノに釣り合うとは思えなかった。
先輩と後輩という繋がりができただけでもよかったではないか。
そうやって何度自分に言い聞かせただろう。
別の言葉で自分の心に蓋をするのも、そろそろ限界だった。
手に持っていた張り紙の端が少しだけふやけた。
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