6:もどかしい二人
ヒロイン
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正直、今のような恋い焦がれている状態でヒロインに会いたくなかった。
ましてやヒロインの家に行くなど、考えただけで自分が理性を保てるのか心配になる。
ただの先輩と後輩。
レノは何度も自分にそれを言い聞かせ、ヒロインの部屋に入った。
一番最初に目についたのは、床に脱ぎ捨てられた服と下着だった。
無造作に放られたそれから目を反らして顔を上げた先。
さらにレノの理性を吹き飛ばしかねないものが目に飛び込んできた。
目の前にいたのは、タンクトップを着ようとしている半裸のヒロインだった。
豊かな胸とくびれた腰。
今まで抱いてきた女性の誰よりも見事なスタイルに、レノの目は釘付けになった。
酔っ払っている様子のヒロインが正気を取り戻し、目を閉じるようにレノに言ったが、時既に遅し。
ヒロインが見られたくないと思っていたものはすべて、レノに見られる結果となっていた。
「掃除、手伝うぞ、と」
ルーファウスはヒロインが一切掃除を手伝わないと嘆いていたが、今日のヒロインは違っていた。
小さく頷くと、レノに背を向けて床に散乱する瓶や缶を自分から集めていた。
ヒロインは気づいていないようだったが、ヒロインが屈むたびにゆるいジャージがずり下がり、無防備に下着の一部を晒していたので、レノは掃除中も目のやり場に困っていた。
残念なことに――いや、幸運なことにヒロインはレノの方を向かなかったので、その胸元を見ることがなく、既のところでレノの理性は保たれたのだった。
ゴミ拾いのあとに掃除機をかけ、1時間ほどでリビングは綺麗な状態を取り戻した。
(それにしても…飲みすぎだろ…)
コスタにいるときはあまり酒乱のイメージはなかったが、ルーファウスが言うようにプライベートは違うのかもしれない。
インターホンを鳴らしたのがレノだと気づかずに部屋に通したのも、あまりに無防備だった。
もしレノではなく、あの男だったら?
そう考えただけでぞっとする。
これは帰る前にきちんと注意しておいた方がいいかもしれない。
レノは台所にいるヒロインに声をかけようと近づいた。
「ヒロイン、ちょっと話――」
「はい。掃除のお礼」
振り返ったヒロインが差し出してきたのはビール缶だった。
「あ、他にもあるけど…」
「いや、大丈夫だぞ、と」
「じゃあ、乾杯!」
まだ飲んでいたアルコールが残っているのか、いつもよりヒロインは陽気な様子だった。
レノ自身も喉が乾いていたこともあり、言いかけた言葉をビールで喉の奥に流し込んだ。
ソファの端と端に腰掛け、二人は無言で酒を飲んだ。
ヒロインのペースは早く、レノが止める間もなく2本3本と缶を開けていく。
早くも酔いが回ったのか、ヒロインの目はとろんとしていた。
とても話ができる状態ではなさそうだった。
「ヒロイン、オレ、そろそろ帰るぞ、と」
酔った勢いで――とならないように、レノは必死で自分で押さえていた。
しかし、近くにいる酔っ払いはそんなことなどお構いなしに、無防備な姿を晒している。
本格的に本能が理性を上回る前にと、レノが立ち上がろうとしたところ、突然ヒロインが身を乗り出してきた。
そして、ヒロインが顔をレノの首筋に埋めた。
鎖骨の辺りにヒロインの吐息がかかる。
レノは思わず、息を呑んだ。
(これは、まずいぞ、と)
レノがヒロインを引き剥がそうとしたとき、ヒロインがぽつりと言った。
「レノ、今日はすごくいい匂い…私、好きだよ、これ」
タバコを止めてからつけていたコロンだった。
好きだと言われ、レノは頬が緩むのを感じた。
酔った勢い。
頭の中で悪魔が囁いた。
ヒロインが腕の中にいる。
今なら、あのときできなかったことができるかもしれない。
レノがヒロインの身体に手を伸ばしたそのとき、がくりとヒロインの頭が垂れた。
倒れ込んできたヒロインの身体を支えてやると、身体が規則正しく上下しているのがわかった。
気持ちよさそうに眠っているヒロインを抱き上げると、そのまま寝室に運んでやった。
「人のこと振り回し過ぎだぞ、と」
レノは苦笑いを浮かべ、ヒロインの額を軽く小突いた。
To be continued...
2021/03/19
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ましてやヒロインの家に行くなど、考えただけで自分が理性を保てるのか心配になる。
ただの先輩と後輩。
レノは何度も自分にそれを言い聞かせ、ヒロインの部屋に入った。
一番最初に目についたのは、床に脱ぎ捨てられた服と下着だった。
無造作に放られたそれから目を反らして顔を上げた先。
さらにレノの理性を吹き飛ばしかねないものが目に飛び込んできた。
目の前にいたのは、タンクトップを着ようとしている半裸のヒロインだった。
豊かな胸とくびれた腰。
今まで抱いてきた女性の誰よりも見事なスタイルに、レノの目は釘付けになった。
酔っ払っている様子のヒロインが正気を取り戻し、目を閉じるようにレノに言ったが、時既に遅し。
ヒロインが見られたくないと思っていたものはすべて、レノに見られる結果となっていた。
「掃除、手伝うぞ、と」
ルーファウスはヒロインが一切掃除を手伝わないと嘆いていたが、今日のヒロインは違っていた。
小さく頷くと、レノに背を向けて床に散乱する瓶や缶を自分から集めていた。
ヒロインは気づいていないようだったが、ヒロインが屈むたびにゆるいジャージがずり下がり、無防備に下着の一部を晒していたので、レノは掃除中も目のやり場に困っていた。
残念なことに――いや、幸運なことにヒロインはレノの方を向かなかったので、その胸元を見ることがなく、既のところでレノの理性は保たれたのだった。
ゴミ拾いのあとに掃除機をかけ、1時間ほどでリビングは綺麗な状態を取り戻した。
(それにしても…飲みすぎだろ…)
コスタにいるときはあまり酒乱のイメージはなかったが、ルーファウスが言うようにプライベートは違うのかもしれない。
インターホンを鳴らしたのがレノだと気づかずに部屋に通したのも、あまりに無防備だった。
もしレノではなく、あの男だったら?
そう考えただけでぞっとする。
これは帰る前にきちんと注意しておいた方がいいかもしれない。
レノは台所にいるヒロインに声をかけようと近づいた。
「ヒロイン、ちょっと話――」
「はい。掃除のお礼」
振り返ったヒロインが差し出してきたのはビール缶だった。
「あ、他にもあるけど…」
「いや、大丈夫だぞ、と」
「じゃあ、乾杯!」
まだ飲んでいたアルコールが残っているのか、いつもよりヒロインは陽気な様子だった。
レノ自身も喉が乾いていたこともあり、言いかけた言葉をビールで喉の奥に流し込んだ。
ソファの端と端に腰掛け、二人は無言で酒を飲んだ。
ヒロインのペースは早く、レノが止める間もなく2本3本と缶を開けていく。
早くも酔いが回ったのか、ヒロインの目はとろんとしていた。
とても話ができる状態ではなさそうだった。
「ヒロイン、オレ、そろそろ帰るぞ、と」
酔った勢いで――とならないように、レノは必死で自分で押さえていた。
しかし、近くにいる酔っ払いはそんなことなどお構いなしに、無防備な姿を晒している。
本格的に本能が理性を上回る前にと、レノが立ち上がろうとしたところ、突然ヒロインが身を乗り出してきた。
そして、ヒロインが顔をレノの首筋に埋めた。
鎖骨の辺りにヒロインの吐息がかかる。
レノは思わず、息を呑んだ。
(これは、まずいぞ、と)
レノがヒロインを引き剥がそうとしたとき、ヒロインがぽつりと言った。
「レノ、今日はすごくいい匂い…私、好きだよ、これ」
タバコを止めてからつけていたコロンだった。
好きだと言われ、レノは頬が緩むのを感じた。
酔った勢い。
頭の中で悪魔が囁いた。
ヒロインが腕の中にいる。
今なら、あのときできなかったことができるかもしれない。
レノがヒロインの身体に手を伸ばしたそのとき、がくりとヒロインの頭が垂れた。
倒れ込んできたヒロインの身体を支えてやると、身体が規則正しく上下しているのがわかった。
気持ちよさそうに眠っているヒロインを抱き上げると、そのまま寝室に運んでやった。
「人のこと振り回し過ぎだぞ、と」
レノは苦笑いを浮かべ、ヒロインの額を軽く小突いた。
To be continued...
2021/03/19
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