5:任務終了
ヒロイン
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しばらくして、ツォンとルードがやってきた。
二人とも男の姿を見て、なんとなく何があったのかは察したのだろう。少し青い顔をしながら、レノとヒロインを労った。
「あとは我々が引き継ぐ。レノ、ヒロインさんと戻って拠点の後始末をしておけ。本社に戻るのは少し休んでからでいい」
「了解、と」
ヒロインに声をかけてアパートに戻ろうとして、レノは大事なことを思い出した。
「ツォンさん」
「どうした、真剣な顔をして」
レノは先程の男とのやりとりをツォンに伝えた。男がヒロインを犯したのは1回だけだったと言いかけたことを。
「自分の身可愛さに言っただけの可能性もあるけどよ…あいつ、タバコ持ってねぇんだよな」
報告書を見る限りでは、ヒロインを犯した相手は相当のヘビースモーカーだ。そんな奴がタバコをやめたとは到底思えない。
「それに、事後報告書にあった1週間前の写真。あいつ、数日前に接触して――」
ツォンの顔色が変わった。
「何故それを早く――いや、すまない。この話はヒロインさんには聞かせたくない。帰社後に説明する。レノ、絶対にヒロインさんから目を離すなよ」
「あぁ」
言われなくても、と思ったが、それを口には出さなかった。
男が接触してきたと告げた瞬間のツォンの動揺を見ると、まだ何かあるようだ。
レノは一旦、この件を胸の内に押し込めた。
晴れ晴れとした表情のヒロインに水を差したくなかった。
帰り道、突然ヒロインがレノの進路を塞ぐように立った。
「ね、今から飲みに行かない?もし疲れてるなら、無理にとは言わないけど…」
長かった任務ももうすぐおしまいだ。
つまり、ヒロインと過ごす時間もあと少し。
任務が終われば、もう会えないかもしれないと考えると、ヒロインの提案を断る理由はなかった。
二人はアパートから近い位置にあるバーに入った。
深夜ということもあり、店内はそれほど混んでいなかった。
「お疲れ様。レノ、ありがとね」
「あぁ、ヒロインもな」
軽くグラスを触れ合わせ、二人は一仕事終えた後の一杯を楽しんだ。
「それにしても、ヒロインから誘ってくれるとは思わなかったぞ、と」
両手でグラスを持ち、それをぐるぐると回していたヒロインの手が止まった。
「…少し、心が楽になったから。それに――」
言葉を切り、一口酒を飲んだヒロインの顔が赤くなった。
恥じらっているようにも見えるその表情。
レノはこの後に紡がれるであろう言葉に、少し期待をした。
一呼吸置いてヒロインの口が薄く開かれたが、何か言葉を発しようとしたところで閉じてしまった。
そして、ヒロインがにかっと笑った。
「頑張ってくれた後輩くんに、ぜひ奢ってあげなきゃと思って!」
期待したのとは違う言葉に、レノは気付かれないように肩を落とした。
が、それも一瞬。
また年下の後輩扱いされたレノは、唇を尖らせた。
「生意気だぞ、先輩」
レノは手を伸ばし、ヒロインの額を指で弾いた。
今度は、痛くないように力を抜いて軽く。
「ほーんと、口が減らないったらない」
頬を膨らませたヒロインが、手にしたグラスに残った酒を一気に呷った。
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二人とも男の姿を見て、なんとなく何があったのかは察したのだろう。少し青い顔をしながら、レノとヒロインを労った。
「あとは我々が引き継ぐ。レノ、ヒロインさんと戻って拠点の後始末をしておけ。本社に戻るのは少し休んでからでいい」
「了解、と」
ヒロインに声をかけてアパートに戻ろうとして、レノは大事なことを思い出した。
「ツォンさん」
「どうした、真剣な顔をして」
レノは先程の男とのやりとりをツォンに伝えた。男がヒロインを犯したのは1回だけだったと言いかけたことを。
「自分の身可愛さに言っただけの可能性もあるけどよ…あいつ、タバコ持ってねぇんだよな」
報告書を見る限りでは、ヒロインを犯した相手は相当のヘビースモーカーだ。そんな奴がタバコをやめたとは到底思えない。
「それに、事後報告書にあった1週間前の写真。あいつ、数日前に接触して――」
ツォンの顔色が変わった。
「何故それを早く――いや、すまない。この話はヒロインさんには聞かせたくない。帰社後に説明する。レノ、絶対にヒロインさんから目を離すなよ」
「あぁ」
言われなくても、と思ったが、それを口には出さなかった。
男が接触してきたと告げた瞬間のツォンの動揺を見ると、まだ何かあるようだ。
レノは一旦、この件を胸の内に押し込めた。
晴れ晴れとした表情のヒロインに水を差したくなかった。
帰り道、突然ヒロインがレノの進路を塞ぐように立った。
「ね、今から飲みに行かない?もし疲れてるなら、無理にとは言わないけど…」
長かった任務ももうすぐおしまいだ。
つまり、ヒロインと過ごす時間もあと少し。
任務が終われば、もう会えないかもしれないと考えると、ヒロインの提案を断る理由はなかった。
二人はアパートから近い位置にあるバーに入った。
深夜ということもあり、店内はそれほど混んでいなかった。
「お疲れ様。レノ、ありがとね」
「あぁ、ヒロインもな」
軽くグラスを触れ合わせ、二人は一仕事終えた後の一杯を楽しんだ。
「それにしても、ヒロインから誘ってくれるとは思わなかったぞ、と」
両手でグラスを持ち、それをぐるぐると回していたヒロインの手が止まった。
「…少し、心が楽になったから。それに――」
言葉を切り、一口酒を飲んだヒロインの顔が赤くなった。
恥じらっているようにも見えるその表情。
レノはこの後に紡がれるであろう言葉に、少し期待をした。
一呼吸置いてヒロインの口が薄く開かれたが、何か言葉を発しようとしたところで閉じてしまった。
そして、ヒロインがにかっと笑った。
「頑張ってくれた後輩くんに、ぜひ奢ってあげなきゃと思って!」
期待したのとは違う言葉に、レノは気付かれないように肩を落とした。
が、それも一瞬。
また年下の後輩扱いされたレノは、唇を尖らせた。
「生意気だぞ、先輩」
レノは手を伸ばし、ヒロインの額を指で弾いた。
今度は、痛くないように力を抜いて軽く。
「ほーんと、口が減らないったらない」
頬を膨らませたヒロインが、手にしたグラスに残った酒を一気に呷った。
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