5:任務終了
ヒロイン
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翌早朝、レノはツォンと電話で話していた。
話題は数時間前に上げた報告書のことだった。
『間違いないのか?』
電話の向こうにいるツォンの声は固い。
「あぁ。ヒロインが確認してるから、間違いないぞ、と」
ヒロインを監禁し、暴行した男の姿を思い出すだけで、八つ裂きにしたくなる。
声も見た目も何もかも不愉快な男だった。
レノは無意識のうちに顔をしかめた。
『ならば、ヒロインさんはここまでだ。すぐに迎えをやる』
「あぁ、ヒロインに伝え――」
「ちょっと!何勝手なこと言ってるの!?」
起きてきたヒロインが鬼のような形相でこちらを睨んでいる。
寝る前よりは元気そうだ、とレノはこんな状況ながら、少しほっとした。
「レノ、その電話、スピーカーにして!」
レノは言われるがまま、スピーカーにしてヒロインの方に向けた。
「ツォン、勝手に決めないでくれる?私も最後まで残る」
『し、しかし、相手はあの――』
「知ってる。私が確認した」
険しい表情をしていたヒロインの表情が、ふっと柔らかくなった。
「正直怖いけど、レノが一緒にいてくれるって約束してくれたから。だから大丈夫。ね?」
レノは思わず顔をひきつらせた。
『は?』
短い言葉だったが、確かにツォンの言葉には殺気がこもっていた。ヒロインは全く気づいていないようだったが。
『ヒロインさん、それはどういう――』
「ちゃんと決着をつけたいから、私を外すのはなし!取引は3日後だから、準備よろしく!」
『おい、レノ!説明――』
ツォンの声がぷつりと止んだ。ヒロインが電話を切ったのだ。
レノは大きな溜息をついた。
「…ツォンさん、絶対誤解したぞ、と」
「誤解?何を?」
わかってやっているのではないところが、またタチが悪い。
ヒロインがツォンに伝えたのは、昨日の約束そのままだったが、聞く人が聞けば、同僚以上の関係があると受け取られかねない。現に、ツォンはそう受け取っただろう。
レノは軽い頭痛を感じて、頭を押さえた。
「そういや、熱、下がったのか?」
顔色はかなりよくなっているが、3日後の作戦に支障が出るといけないと思い、レノはヒロインの額に手を当てた。
まだ少し、熱い気がする。
「ね、寝たら少しよくなった…と思うから、大丈夫!だから、レノも休んで!ほら、交代」
レノの手から逃れたヒロインが、レノの背中を押した。
「じゃあ、遠慮なく」
レノが振り返ると、ヒロインはレノに背中を向けていた。
電話をしているときは、あんなに威勢がよかったのに。
昨日から、どうも様子がおかしい。
(まさか、な…)
一つ思い当たったのは、ヒロインがレノを意識しているということ。
しかし、レノはありえない願望だとそれを一笑に付した。
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話題は数時間前に上げた報告書のことだった。
『間違いないのか?』
電話の向こうにいるツォンの声は固い。
「あぁ。ヒロインが確認してるから、間違いないぞ、と」
ヒロインを監禁し、暴行した男の姿を思い出すだけで、八つ裂きにしたくなる。
声も見た目も何もかも不愉快な男だった。
レノは無意識のうちに顔をしかめた。
『ならば、ヒロインさんはここまでだ。すぐに迎えをやる』
「あぁ、ヒロインに伝え――」
「ちょっと!何勝手なこと言ってるの!?」
起きてきたヒロインが鬼のような形相でこちらを睨んでいる。
寝る前よりは元気そうだ、とレノはこんな状況ながら、少しほっとした。
「レノ、その電話、スピーカーにして!」
レノは言われるがまま、スピーカーにしてヒロインの方に向けた。
「ツォン、勝手に決めないでくれる?私も最後まで残る」
『し、しかし、相手はあの――』
「知ってる。私が確認した」
険しい表情をしていたヒロインの表情が、ふっと柔らかくなった。
「正直怖いけど、レノが一緒にいてくれるって約束してくれたから。だから大丈夫。ね?」
レノは思わず顔をひきつらせた。
『は?』
短い言葉だったが、確かにツォンの言葉には殺気がこもっていた。ヒロインは全く気づいていないようだったが。
『ヒロインさん、それはどういう――』
「ちゃんと決着をつけたいから、私を外すのはなし!取引は3日後だから、準備よろしく!」
『おい、レノ!説明――』
ツォンの声がぷつりと止んだ。ヒロインが電話を切ったのだ。
レノは大きな溜息をついた。
「…ツォンさん、絶対誤解したぞ、と」
「誤解?何を?」
わかってやっているのではないところが、またタチが悪い。
ヒロインがツォンに伝えたのは、昨日の約束そのままだったが、聞く人が聞けば、同僚以上の関係があると受け取られかねない。現に、ツォンはそう受け取っただろう。
レノは軽い頭痛を感じて、頭を押さえた。
「そういや、熱、下がったのか?」
顔色はかなりよくなっているが、3日後の作戦に支障が出るといけないと思い、レノはヒロインの額に手を当てた。
まだ少し、熱い気がする。
「ね、寝たら少しよくなった…と思うから、大丈夫!だから、レノも休んで!ほら、交代」
レノの手から逃れたヒロインが、レノの背中を押した。
「じゃあ、遠慮なく」
レノが振り返ると、ヒロインはレノに背中を向けていた。
電話をしているときは、あんなに威勢がよかったのに。
昨日から、どうも様子がおかしい。
(まさか、な…)
一つ思い当たったのは、ヒロインがレノを意識しているということ。
しかし、レノはありえない願望だとそれを一笑に付した。
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