4:二人の約束
ヒロイン
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「暑い…」
レノをシャワーに行かせたあと、ヒロインは一人望遠鏡が置かれた窓際でアイスを食べていた。
少し溶けたアイスを食べ終えても、一向に涼しくならない。
むしろ、食べる前よりも暑い。
お風呂上がりだからというわけでもない。
心臓が大きく脈打ち、身体が上気している。
「なんか、変…」
心身の変調を感じたのは、レノがシャワーに行ってからだ。
レノとの約束を思い返すと、胸が苦しく、身体が熱くなった。
今までこんなことはなかったのに。
「疲れてるのかな…」
ヒロインはもう一つのアイスを冷凍庫から取り出し、額に当てた。
レノに指で弾かれたそこはまだ少しじんじんと痛んだ。
「あんな思い切りしなくてもいいのに」
あぁ、気持ちいい。
ヒロインは目を閉じ、息をついた。
「アイス、溶けちまうぞ、と」
すぐ隣から聞こえてきたレノの声に、ヒロインははっとして目を開けた。
「額、まだ痛むか?」
心配そうな顔でレノがこちらを覗き込んでいる。
至近距離で、二人の目が合った。
ただ目が合っただけのはずなのに、ヒロインにはそれが猛烈に恥ずかしいことのように思え、先に目をそらした。
が、それもまた不自然すぎる行動で、視界の端でレノが首を捻っていた。
(何で、どうして!?あれ、いつもどうしてたんだっけ?)
とりあえず、聞かれたことに答えなければ。
そう思ったヒロインは、頭で咀嚼する前に思いついたまま言葉を口にした。
「えっと、頭は大丈夫!」
「は?」
レノが盛大に吹き出した。
「いや、全然大丈夫じゃないだろ、それ」
一瞬、ヒロインにはレノの言った言葉の意味が理解できなかった。
咄嗟に思いついたことを言っただけだったので、何を言ったのかも覚えていない。
「…私、変なこと言った?」
「あぁ」
レノは声を出して笑っている。
「眠くて頭回ってないだろ?年寄りは早く寝たほうがいいぞ、と」
「またそういうこと言う!」
ヒロインは前にからかわれたときと同じように、レノ頭を軽くはたこうと手を振り上げたが躊躇した。
腹立ち紛れに手を上げることが非常に子供っぽいことのように思え、ヒロインはそのまま手を下ろすと、レノにアイスを押し付けた。
「悪ぃ」
レノがあまりに落ち込んだ様子を見せるので、ヒロインは慌てて首を振った。
「あの、違うの…怒ったとかじゃなくて…少し、身体が熱くて、それで…」
「熱、あるのか?」
レノの手が額に触れ、ヒロインは直立不動の姿勢でその場に固まった。
アイスを当てて冷やしていた額が、レノの手が触れた箇所から温まっていく。
「確かに、少し熱っぽいかもな。顔も赤いし」
額、頬とレノの手が移動するのを、ヒロインはぼんやりと目で追っていた。
触れられた箇所が熱い。
「今日はもう休めよ。あとはオレが見とくぞ、と」
「うん、ありがとう」
ヒロインは素直にレノに甘え、隣の部屋のベッドに横になった。
(確かに、熱あるのかな…)
身体が熱く、頭がぼんやりする症状は、何年か前に熱を出したときによく似ていた。
ただ、そのときはこんなに胸が苦しくはなかった。
レノが目の前にいるだけで、胸が締め付けられる。
しかし、不快な苦しさではない。
(起きたら元気になってるといいけど…)
ヒロインはゆっくりと目を閉じた。
To be continued...
2020/12/21
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レノをシャワーに行かせたあと、ヒロインは一人望遠鏡が置かれた窓際でアイスを食べていた。
少し溶けたアイスを食べ終えても、一向に涼しくならない。
むしろ、食べる前よりも暑い。
お風呂上がりだからというわけでもない。
心臓が大きく脈打ち、身体が上気している。
「なんか、変…」
心身の変調を感じたのは、レノがシャワーに行ってからだ。
レノとの約束を思い返すと、胸が苦しく、身体が熱くなった。
今までこんなことはなかったのに。
「疲れてるのかな…」
ヒロインはもう一つのアイスを冷凍庫から取り出し、額に当てた。
レノに指で弾かれたそこはまだ少しじんじんと痛んだ。
「あんな思い切りしなくてもいいのに」
あぁ、気持ちいい。
ヒロインは目を閉じ、息をついた。
「アイス、溶けちまうぞ、と」
すぐ隣から聞こえてきたレノの声に、ヒロインははっとして目を開けた。
「額、まだ痛むか?」
心配そうな顔でレノがこちらを覗き込んでいる。
至近距離で、二人の目が合った。
ただ目が合っただけのはずなのに、ヒロインにはそれが猛烈に恥ずかしいことのように思え、先に目をそらした。
が、それもまた不自然すぎる行動で、視界の端でレノが首を捻っていた。
(何で、どうして!?あれ、いつもどうしてたんだっけ?)
とりあえず、聞かれたことに答えなければ。
そう思ったヒロインは、頭で咀嚼する前に思いついたまま言葉を口にした。
「えっと、頭は大丈夫!」
「は?」
レノが盛大に吹き出した。
「いや、全然大丈夫じゃないだろ、それ」
一瞬、ヒロインにはレノの言った言葉の意味が理解できなかった。
咄嗟に思いついたことを言っただけだったので、何を言ったのかも覚えていない。
「…私、変なこと言った?」
「あぁ」
レノは声を出して笑っている。
「眠くて頭回ってないだろ?年寄りは早く寝たほうがいいぞ、と」
「またそういうこと言う!」
ヒロインは前にからかわれたときと同じように、レノ頭を軽くはたこうと手を振り上げたが躊躇した。
腹立ち紛れに手を上げることが非常に子供っぽいことのように思え、ヒロインはそのまま手を下ろすと、レノにアイスを押し付けた。
「悪ぃ」
レノがあまりに落ち込んだ様子を見せるので、ヒロインは慌てて首を振った。
「あの、違うの…怒ったとかじゃなくて…少し、身体が熱くて、それで…」
「熱、あるのか?」
レノの手が額に触れ、ヒロインは直立不動の姿勢でその場に固まった。
アイスを当てて冷やしていた額が、レノの手が触れた箇所から温まっていく。
「確かに、少し熱っぽいかもな。顔も赤いし」
額、頬とレノの手が移動するのを、ヒロインはぼんやりと目で追っていた。
触れられた箇所が熱い。
「今日はもう休めよ。あとはオレが見とくぞ、と」
「うん、ありがとう」
ヒロインは素直にレノに甘え、隣の部屋のベッドに横になった。
(確かに、熱あるのかな…)
身体が熱く、頭がぼんやりする症状は、何年か前に熱を出したときによく似ていた。
ただ、そのときはこんなに胸が苦しくはなかった。
レノが目の前にいるだけで、胸が締め付けられる。
しかし、不快な苦しさではない。
(起きたら元気になってるといいけど…)
ヒロインはゆっくりと目を閉じた。
To be continued...
2020/12/21
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