3:いらない命
ヒロイン
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気になるなら報告書を読むといい。
そうヒロインが言ったものの、レノは迷っていた。
読めばあらゆる疑問は解決するだろう。
しかし、読み終わって、今まで通りいられるだろうか。
自分の中の何かが変わってしまうのではないかという恐れを抱かずにはいられなかった。
それだけ、ヒロインの話は強烈だった。
(どうしたいんだろうな、オレは)
レノはベッドに仰向けに寝転がり、パソコンを腹の上に乗せた。
ディスプレイには、7年前の報告書が入っているフォルダが表示されていた。
そこに、知りたいことの全てがある。
開けば戻れない。
でも、開かなければ進めない。
レノは起き上がると、意を決してファイルを開いた。
報告書の最初のページには、任務の経緯が記載されていた。
ヒロインは、パートナーの任務失敗のリカバリーに駆り出され、同僚とともに捕まったようだった。
次のページには、救出時のヒロインの状態が記録されていた。
全身にタバコを押し付けたような火傷の痕と打撲痕、鞭で打たれたような裂傷と内出血。ヒロインの身体で傷がないのは顔だけだった。
ヒロインが受けた拷問は、話から想像した以上だった。
レノは顔をしかめ、報告書を読み進めた。
報告書を読み終わり、レノは怒りに震えた。
自分が真っ当な人間だとは一切思わないし、目的のために残酷なこともやってきた。
しかし、この男はただ自分が楽しむためだけにヒロインを痛めつけた。
男は恐怖と絶望でヒロインを支配し、心と身体を抉り、追い詰めた。
救出され、何年経っても、その傷はヒロインを蝕んでいる。
そんなヒロインが同じ臭い、同じ仕草で、身体目的で迫るレノに恐怖したのは当然のことだった。
知らなかったと言い訳をして、自分を許すことはできそうになかった。
そして、報告書によれば、男は神羅の救出部隊が到着する前に逃げたという。
生きているのか、死んでいるのか。
もし生きているなら、自分の手で最大限の苦痛を与えて殺してやろうと、レノは決意した。
レノはフォルダを閉じようとしたところで、まだ見ていない『事後報告書』があることに気づいた。
逃げた男の追跡調査だろうか。
フォルダを開くと、そこにはいくつかの報告書と写真が置かれていた。
その報告書は、情報漏洩に関するものだった。
死んだとされる同僚と恋人から情報が漏れた可能性があること、二人の遺体を回収できていないことから生体認証を無効化したことについて書かれていた。
そして、フォルダにある写真。そのタイムスタンプは、1週間前になっていた。
レノはファイルを開き、そこに映った人物を見て飛び起きた。
――すみません、火貸してもらえませんか?
(まさか、あいつが…)
レノはベッドから降りると、ヒロインのいる部屋に繋がる扉のドアノブに手をかけた。
「レノ、起きてる!?」
扉を開けようとしたとき、それは向こう側から開いた。
「男のところに電話があった。今から出かけるみたい。尾行するから準備して」
ヒロインに先程までの動揺していた様子はまったく見られなかった。
その姿を見て、レノも冷静さを取り戻した。ヒロインの過去については一旦頭の奥にしまい、目の前の状況に集中する。
レノは尾行の準備をしながら、ヒロインから男の様子と会話の内容をかいつまんで聞いた。
どうやら外で武器を売る相手と会うらしい。
ただ、男はひどく怯えていたとヒロインが言った。
それほどまでに相手は大物なのだろうか。
どうにもよくない気配を感じる。
「レノ、慎重に行こう。嫌な予感がする」
「あぁ」
二人は男が外出するのを確認し、尾行を開始した。
To be continued...
2020/11/28
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そうヒロインが言ったものの、レノは迷っていた。
読めばあらゆる疑問は解決するだろう。
しかし、読み終わって、今まで通りいられるだろうか。
自分の中の何かが変わってしまうのではないかという恐れを抱かずにはいられなかった。
それだけ、ヒロインの話は強烈だった。
(どうしたいんだろうな、オレは)
レノはベッドに仰向けに寝転がり、パソコンを腹の上に乗せた。
ディスプレイには、7年前の報告書が入っているフォルダが表示されていた。
そこに、知りたいことの全てがある。
開けば戻れない。
でも、開かなければ進めない。
レノは起き上がると、意を決してファイルを開いた。
報告書の最初のページには、任務の経緯が記載されていた。
ヒロインは、パートナーの任務失敗のリカバリーに駆り出され、同僚とともに捕まったようだった。
次のページには、救出時のヒロインの状態が記録されていた。
全身にタバコを押し付けたような火傷の痕と打撲痕、鞭で打たれたような裂傷と内出血。ヒロインの身体で傷がないのは顔だけだった。
ヒロインが受けた拷問は、話から想像した以上だった。
レノは顔をしかめ、報告書を読み進めた。
報告書を読み終わり、レノは怒りに震えた。
自分が真っ当な人間だとは一切思わないし、目的のために残酷なこともやってきた。
しかし、この男はただ自分が楽しむためだけにヒロインを痛めつけた。
男は恐怖と絶望でヒロインを支配し、心と身体を抉り、追い詰めた。
救出され、何年経っても、その傷はヒロインを蝕んでいる。
そんなヒロインが同じ臭い、同じ仕草で、身体目的で迫るレノに恐怖したのは当然のことだった。
知らなかったと言い訳をして、自分を許すことはできそうになかった。
そして、報告書によれば、男は神羅の救出部隊が到着する前に逃げたという。
生きているのか、死んでいるのか。
もし生きているなら、自分の手で最大限の苦痛を与えて殺してやろうと、レノは決意した。
レノはフォルダを閉じようとしたところで、まだ見ていない『事後報告書』があることに気づいた。
逃げた男の追跡調査だろうか。
フォルダを開くと、そこにはいくつかの報告書と写真が置かれていた。
その報告書は、情報漏洩に関するものだった。
死んだとされる同僚と恋人から情報が漏れた可能性があること、二人の遺体を回収できていないことから生体認証を無効化したことについて書かれていた。
そして、フォルダにある写真。そのタイムスタンプは、1週間前になっていた。
レノはファイルを開き、そこに映った人物を見て飛び起きた。
――すみません、火貸してもらえませんか?
(まさか、あいつが…)
レノはベッドから降りると、ヒロインのいる部屋に繋がる扉のドアノブに手をかけた。
「レノ、起きてる!?」
扉を開けようとしたとき、それは向こう側から開いた。
「男のところに電話があった。今から出かけるみたい。尾行するから準備して」
ヒロインに先程までの動揺していた様子はまったく見られなかった。
その姿を見て、レノも冷静さを取り戻した。ヒロインの過去については一旦頭の奥にしまい、目の前の状況に集中する。
レノは尾行の準備をしながら、ヒロインから男の様子と会話の内容をかいつまんで聞いた。
どうやら外で武器を売る相手と会うらしい。
ただ、男はひどく怯えていたとヒロインが言った。
それほどまでに相手は大物なのだろうか。
どうにもよくない気配を感じる。
「レノ、慎重に行こう。嫌な予感がする」
「あぁ」
二人は男が外出するのを確認し、尾行を開始した。
To be continued...
2020/11/28
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