ヒロインを追って、休まず研究所までやってきたレノは迷わず中に入った。



　結局ここに辿り着くまでにヒロインに追い付くことはできなかった。




　途中ニブルヘイムでヒロインに似た女性の目撃情報を聞き、レノは間違いなくヒロインが研究所に向かっていると確信した。







　研究所の中はつい先日訪れたばかりなのに、打って変わって不気味な空気が漂っていた。



　壁の際立った白さすら薄気味悪い。



　気のせいか、中の空気もどことなく落ち着きがないように感じた。




　肌を何かざらざらしたもので撫でられているような感覚に、レノの背に悪寒が走った。




　若干息もしづらいか。



　顔をしかめたレノは、辺りを見回した。




　特に変わったところはないが、何か違う。




　もうすでに何か起こりかけている。




　ヒロインがここにいるのは間違いない。




　果たして無事でいるだろうか。





　胸騒ぎを感じ、レノは不気味に口を開けている地下へと足を向けた。










　地下の入口の扉は開け放たれていた。



　まるで歓迎すると言わんばかりに。




　異様な空気が滲み出ているのは間違いなく地下からだった。




「ここか…」




　恐らく、研究員も一緒にいるだろう。




　レノは腰に差していた電磁ロッドを引き抜き、五感を張り詰めて一歩踏み出した。


















「いやぁあー！」














　途端に奥から聞こえてきた断末魔に、レノはびくっと身体を震わせた。




「ヒロイン！？」




　身体の芯まで響く悲鳴。



　レノはいてもたってもいられず駆け出した。



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