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「やっと思い出してくれたんだ」
研究員が心の底から嬉しさを表に出し、近づいてきた。
いつもなら嫌悪するところだが、今日は違っていた。
懐かしいような切ないような気持ちに、ヒロインの目は自然と潤み始める。
「ヒロイン」
すぐ近くまで来た研究員がゆっくりとヒロインに腕を回して抱き寄せた。
戸惑いながら、それを受け入れたヒロインの瞳から一筋涙が流れた。
「研究員…」
数年前、ゴンガガの魔コウ炉事故で両親を亡くし、孤児になったヒロインを引き取ったのは神羅だった。
ヒロインはすぐに白の研究所に送られた。
心をすり減らすような検査ばかりの日々、そんなときに研究員に出会った。
二人は年が近かったこともあり、すぐ仲良くなった。
そんなある日。
「ヒロイン、一緒に逃げよう」
深夜、闇に紛れ研究員が人目を忍んでやってきた。
必要以上に声を押し殺した研究員にヒロインは眉をひそめる。
「どうし――」
声を発したヒロインの口を研究員が手で押さえた。
同時に、静かにしろと口の前で人差し指を立てる。
大きな声を出してはいけない。
雰囲気からそれを察したヒロインは、黙って研究員を見つめた。
「二人でどこか遠くに――」
研究員はもうすぐヒロインにジェノバ細胞が埋め込まれると知り、その前にヒロインを連れて、研究所を逃げ出そうとしていたのだ。
しかしそれは叶わず、ヒロインはジェノバ細胞実験体として、その後を培養装置の中で過ごすことになる。
「それからもずっと、ガラス越しに話し掛けてくれたよね…」
急に力が抜けた身体を研究員に預け、ヒロインは研究員に笑い掛けた。
――もうすぐ…
薄れ行く意識の中、ヒロインは最後に研究員のあのいつもの笑みを見た。
――全て終わる。
吊り上がった研究員の口角が、目蓋の裏に焼き付いた。
「さぁ…覚醒の時だ」
to be Continued...
2006/05/10
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研究員が心の底から嬉しさを表に出し、近づいてきた。
いつもなら嫌悪するところだが、今日は違っていた。
懐かしいような切ないような気持ちに、ヒロインの目は自然と潤み始める。
「ヒロイン」
すぐ近くまで来た研究員がゆっくりとヒロインに腕を回して抱き寄せた。
戸惑いながら、それを受け入れたヒロインの瞳から一筋涙が流れた。
「研究員…」
数年前、ゴンガガの魔コウ炉事故で両親を亡くし、孤児になったヒロインを引き取ったのは神羅だった。
ヒロインはすぐに白の研究所に送られた。
心をすり減らすような検査ばかりの日々、そんなときに研究員に出会った。
二人は年が近かったこともあり、すぐ仲良くなった。
そんなある日。
「ヒロイン、一緒に逃げよう」
深夜、闇に紛れ研究員が人目を忍んでやってきた。
必要以上に声を押し殺した研究員にヒロインは眉をひそめる。
「どうし――」
声を発したヒロインの口を研究員が手で押さえた。
同時に、静かにしろと口の前で人差し指を立てる。
大きな声を出してはいけない。
雰囲気からそれを察したヒロインは、黙って研究員を見つめた。
「二人でどこか遠くに――」
研究員はもうすぐヒロインにジェノバ細胞が埋め込まれると知り、その前にヒロインを連れて、研究所を逃げ出そうとしていたのだ。
しかしそれは叶わず、ヒロインはジェノバ細胞実験体として、その後を培養装置の中で過ごすことになる。
「それからもずっと、ガラス越しに話し掛けてくれたよね…」
急に力が抜けた身体を研究員に預け、ヒロインは研究員に笑い掛けた。
――もうすぐ…
薄れ行く意識の中、ヒロインは最後に研究員のあのいつもの笑みを見た。
――全て終わる。
吊り上がった研究員の口角が、目蓋の裏に焼き付いた。
「さぁ…覚醒の時だ」
to be Continued...
2006/05/10
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