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「らしくないな」
いつのまに来ていたのか、オフィスを出たところでルードが声を掛けてきた。
その表情は堅い。
ある程度の事情は知っているのだろう。
レノははぐらかすように肩を竦めると、何もなかったような顔をして、ルードの横を通り過ぎようとした。
しかしルードがそれを許すはずもなく、肩を掴まれそちらを向かされる。
急いでいたところを邪魔され、レノは不機嫌さを顕にしてルードを見上げた。
「何か用か、と」
自然と語尾に苛立ちを込めたのに気付いたのか、ルードは無言で手を放すと、一度サングラスを押し上げた。
「一人でヒロインを助けに行くつもりか?」
さすが長年行動を共にした相棒と言うべきか。
あっさり考えを見通され、レノは困ったように頭を掻いた。
しばしの沈黙があり、何か言おうと口を開きかけたとき、ルードが鍵を投げ寄越した。
「…行け」
ただ短くそう言うと、ルードはオフィスに入っていった。
ルードに渡されたのは車の鍵。
「さすがだな、と」
何もかもお見通しと言うわけか。
ふっと笑ったレノは、扉の向こうに消えていくルードの背中を見送った。
レノは相棒の気持ちをありがたく受け取り、一度ぐっとそれを握り締めた。
「今度奢るぞ、と」
ヒロインが向かったのはジュノン。
恐らく海を渡るつもりだろう。
そしてヒロインの目的地はニブル山中の研究所。
レノは確信に近いものを感じていた。
それと同時に感じる不安感。
「ヒロイン…」
車のエンジンを掛け、アクセルを踏む前にタバコに火を点ける。
ヒロインはどんな気持ちでニブルヘイムに向かっているのか。
早まったことをしないよう祈りながら、レノはアクセルを踏み込んだ。
.
いつのまに来ていたのか、オフィスを出たところでルードが声を掛けてきた。
その表情は堅い。
ある程度の事情は知っているのだろう。
レノははぐらかすように肩を竦めると、何もなかったような顔をして、ルードの横を通り過ぎようとした。
しかしルードがそれを許すはずもなく、肩を掴まれそちらを向かされる。
急いでいたところを邪魔され、レノは不機嫌さを顕にしてルードを見上げた。
「何か用か、と」
自然と語尾に苛立ちを込めたのに気付いたのか、ルードは無言で手を放すと、一度サングラスを押し上げた。
「一人でヒロインを助けに行くつもりか?」
さすが長年行動を共にした相棒と言うべきか。
あっさり考えを見通され、レノは困ったように頭を掻いた。
しばしの沈黙があり、何か言おうと口を開きかけたとき、ルードが鍵を投げ寄越した。
「…行け」
ただ短くそう言うと、ルードはオフィスに入っていった。
ルードに渡されたのは車の鍵。
「さすがだな、と」
何もかもお見通しと言うわけか。
ふっと笑ったレノは、扉の向こうに消えていくルードの背中を見送った。
レノは相棒の気持ちをありがたく受け取り、一度ぐっとそれを握り締めた。
「今度奢るぞ、と」
ヒロインが向かったのはジュノン。
恐らく海を渡るつもりだろう。
そしてヒロインの目的地はニブル山中の研究所。
レノは確信に近いものを感じていた。
それと同時に感じる不安感。
「ヒロイン…」
車のエンジンを掛け、アクセルを踏む前にタバコに火を点ける。
ヒロインはどんな気持ちでニブルヘイムに向かっているのか。
早まったことをしないよう祈りながら、レノはアクセルを踏み込んだ。
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