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数分後、バイクを飛ばして本社に着いたレノは、エレベーターに乗り込んだ。
地下からオフィスのあるフロアまで、レノが物思いに耽るには十分な時間だった。
遠ざかる地上を見下ろし、いつかここからこの景色を二人で見たのを思い出した。
あの1週間ほど前の出来事が何だかずっと昔のように感じられる。
「こんなことになるなんて、考えもしなかったな…」
一人ごちると、眼下に視線を落とした。
次第に小さくなる人や建物。
いつしか自分の中にいるヒロインも、こんなふうに小さくなって、見えなくなってしまうのか。
ヒロインと一緒にいた時間が、自分の中で『思い出』に変わりつつあることに、レノは不快感を覚えた。
もし遠い将来そうなることがあっても、それは今ではない。
こんな一方的な別れにはしたくない。
我儘でも何でも、ヒロインを死なせたくない。
決意も新たに、レノは視線を前に向けた。
「俺は諦めが悪いんだぞ、ヒロイン」
にやっと不敵な笑みを浮かべ、レノはちょうど開いたエレベーターの外に踏み出した。
オフィスの入口に立ち、レノは普段の様子を装ってドアを開けた。
一斉に向けられた視線を感じながら、レノは気にせず皆が集まる方に足を向ける。
レノに気付いたツォンとヴェルドが、他のタークスのメンバーに各自の仕事に戻るよう促した。
できるだけレノと目を合わさないように。
そんな皆の不自然な態度に、レノは眉をひそめた。
きっとよくないことが待っている。
長年培った勘がそう告げたが、レノは覚悟を決めた。
「何か手掛かりは出てきましたか、と」
挨拶もそこそこにそう切り出すと、難しい顔をしたヴェルドが、一枚の書類をレノに差し出した。
そこに書かれていたのは、レノの決意さえ打ち崩す残酷な現実。
レノは目の前が真っ暗になるのを感じながら、干上がった喉から無理矢理声を出した。
「ヒロインを、殺す…?」
.
地下からオフィスのあるフロアまで、レノが物思いに耽るには十分な時間だった。
遠ざかる地上を見下ろし、いつかここからこの景色を二人で見たのを思い出した。
あの1週間ほど前の出来事が何だかずっと昔のように感じられる。
「こんなことになるなんて、考えもしなかったな…」
一人ごちると、眼下に視線を落とした。
次第に小さくなる人や建物。
いつしか自分の中にいるヒロインも、こんなふうに小さくなって、見えなくなってしまうのか。
ヒロインと一緒にいた時間が、自分の中で『思い出』に変わりつつあることに、レノは不快感を覚えた。
もし遠い将来そうなることがあっても、それは今ではない。
こんな一方的な別れにはしたくない。
我儘でも何でも、ヒロインを死なせたくない。
決意も新たに、レノは視線を前に向けた。
「俺は諦めが悪いんだぞ、ヒロイン」
にやっと不敵な笑みを浮かべ、レノはちょうど開いたエレベーターの外に踏み出した。
オフィスの入口に立ち、レノは普段の様子を装ってドアを開けた。
一斉に向けられた視線を感じながら、レノは気にせず皆が集まる方に足を向ける。
レノに気付いたツォンとヴェルドが、他のタークスのメンバーに各自の仕事に戻るよう促した。
できるだけレノと目を合わさないように。
そんな皆の不自然な態度に、レノは眉をひそめた。
きっとよくないことが待っている。
長年培った勘がそう告げたが、レノは覚悟を決めた。
「何か手掛かりは出てきましたか、と」
挨拶もそこそこにそう切り出すと、難しい顔をしたヴェルドが、一枚の書類をレノに差し出した。
そこに書かれていたのは、レノの決意さえ打ち崩す残酷な現実。
レノは目の前が真っ暗になるのを感じながら、干上がった喉から無理矢理声を出した。
「ヒロインを、殺す…?」
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