1-11:Memory
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地下駐車場でバイクのエンジンを始動させ、発進準備を整えたとき、携帯が鳴った。
ヒロインではないかと咄嗟に思い、慌てて取り出したものの、背面ディスプレイに表示されたのは『本部』の二文字。
この忙しいときに、とレノは思い切り舌打ちをした。
急に入った任務にかまっている暇はない。
レノは乱暴に携帯をポケットに突っ込んだが、何か手掛かりがあるような気がして、通話ボタンを押した。
『レノ!?やっと出たな』
電話越しでも伝わるツォンの慌てぶりに、レノは怪訝そうに眉をひそめた。
もしかしたら勘が当たったのかもしれない。
「ヒロインのこと、ですか?」
『そうだ。今朝から何度もお前に電話したんだ』
どうやら朝、夢の中で聞いていた着信音は本物だったらしい。
そのとき気付いていたら――
レノは唇を噛んで悔しがった。
暴走しそうになる気持ちを落ち着かせるため、レノは目を閉じて一度深呼吸をした。
息を吸い込んで、ゆっくり吐く。
焦るな。
落ち着け。
呪文のように繰り返し、レノは波立った心を静める。
「もう、ここにはいませんよ、と」
そうやって紡ぎだされた言葉は、自分でも驚くほど無感情だった。
いろんな感情が渦巻いてぶつかり、相殺して消える。
そんな感覚に陥りながら、レノは妙に冷静だった。
『今ミッドガルの監視システムの映像を解析中だ。もし、ヒロインを追い掛けるつもりなら、一度本社に来い』
「了解、と」
言うことを言うと、ツォンは慌ただしく電話を切った。
どうやら、レノよりツォンの方が冷静さを欠いているようだ。
「やれやれだな、と…」
そう呟いてレノは頭を掻くと、バイクのスタンドを足で払った。
向かうは本社。
小さくてもいい。
何か手がかりが残っていますように。
信心深くないレノも、今回ばかりは神に祈らずにはいられなかった。
.
ヒロインではないかと咄嗟に思い、慌てて取り出したものの、背面ディスプレイに表示されたのは『本部』の二文字。
この忙しいときに、とレノは思い切り舌打ちをした。
急に入った任務にかまっている暇はない。
レノは乱暴に携帯をポケットに突っ込んだが、何か手掛かりがあるような気がして、通話ボタンを押した。
『レノ!?やっと出たな』
電話越しでも伝わるツォンの慌てぶりに、レノは怪訝そうに眉をひそめた。
もしかしたら勘が当たったのかもしれない。
「ヒロインのこと、ですか?」
『そうだ。今朝から何度もお前に電話したんだ』
どうやら朝、夢の中で聞いていた着信音は本物だったらしい。
そのとき気付いていたら――
レノは唇を噛んで悔しがった。
暴走しそうになる気持ちを落ち着かせるため、レノは目を閉じて一度深呼吸をした。
息を吸い込んで、ゆっくり吐く。
焦るな。
落ち着け。
呪文のように繰り返し、レノは波立った心を静める。
「もう、ここにはいませんよ、と」
そうやって紡ぎだされた言葉は、自分でも驚くほど無感情だった。
いろんな感情が渦巻いてぶつかり、相殺して消える。
そんな感覚に陥りながら、レノは妙に冷静だった。
『今ミッドガルの監視システムの映像を解析中だ。もし、ヒロインを追い掛けるつもりなら、一度本社に来い』
「了解、と」
言うことを言うと、ツォンは慌ただしく電話を切った。
どうやら、レノよりツォンの方が冷静さを欠いているようだ。
「やれやれだな、と…」
そう呟いてレノは頭を掻くと、バイクのスタンドを足で払った。
向かうは本社。
小さくてもいい。
何か手がかりが残っていますように。
信心深くないレノも、今回ばかりは神に祈らずにはいられなかった。
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