1-11:Memory
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トゥルルルル――
携帯が鳴っている。
夢の中で、ぼんやりそう思いながらレノは再び眠りに落ちていった。
どれだけ時間が経ったのだろう。
レノは寝返りを打ったときに、やたらとベッドが広いことに気付いた。
ゆっくりと目を開き、起き上がる。
手を伸ばした先に、ヒロインはいなかった。
ベッドは冷えきっていて、ずいぶんと前にヒロインがベッドから出たことを示していた。
「ヒロイン…?」
返事はなかった。
不自然なまでに静まり返った部屋に、レノの声が虚しく響く。
昨日感じた予感が脳裏を過る。
起きたてで言うことを聞かない身体を無理矢理動かして、レノは寝室のドアを乱暴に開けた。
誰もいない。
台所の蛇口から、水滴が落ちた。
それはシンクに当たり、小さな音を立てた。
「ヒロインっ!」
あまりに静かすぎる部屋に不安を掻き立てられたレノは、ヒロインの部屋の前に立った。
唾を一度飲んで、震える手でドアノブを握る。
それをゆっくり下に押し、恐る恐るドアを開けた。
真っ暗な部屋。
そこに人の気配はない。
一歩足を踏み入れて、電気のスイッチを手探りで探す。
手に当たった感触でスイッチを入れた。
「……」
綺麗に整頓された部屋。
生活臭のないその様子は、部屋の主人がもう戻らないことを伺わせた。
タークスの制服ですら、丁寧に畳まれてベッドの上に置かれていた。
これで、もうヒロインが戻らないつもりで出ていったのだと確信した。
「何でだよ…」
レノは困惑して、頭を抱えた。
ヒロインのベッドに腰掛け、つい何時間か前に思いを馳せる。
二人で愛し合った幸せな時間。
それが幻だったかのように、あっという間に消え失せてしまった。
「ヒロイン――」
昨日の気持ちはうそだったのか?
顔を上げ、ふと目を遣った先、タンスの上に、一通の封筒が置かれていた。
レノはベッドから立ち上がり、そちらに足を向けた。
.
携帯が鳴っている。
夢の中で、ぼんやりそう思いながらレノは再び眠りに落ちていった。
どれだけ時間が経ったのだろう。
レノは寝返りを打ったときに、やたらとベッドが広いことに気付いた。
ゆっくりと目を開き、起き上がる。
手を伸ばした先に、ヒロインはいなかった。
ベッドは冷えきっていて、ずいぶんと前にヒロインがベッドから出たことを示していた。
「ヒロイン…?」
返事はなかった。
不自然なまでに静まり返った部屋に、レノの声が虚しく響く。
昨日感じた予感が脳裏を過る。
起きたてで言うことを聞かない身体を無理矢理動かして、レノは寝室のドアを乱暴に開けた。
誰もいない。
台所の蛇口から、水滴が落ちた。
それはシンクに当たり、小さな音を立てた。
「ヒロインっ!」
あまりに静かすぎる部屋に不安を掻き立てられたレノは、ヒロインの部屋の前に立った。
唾を一度飲んで、震える手でドアノブを握る。
それをゆっくり下に押し、恐る恐るドアを開けた。
真っ暗な部屋。
そこに人の気配はない。
一歩足を踏み入れて、電気のスイッチを手探りで探す。
手に当たった感触でスイッチを入れた。
「……」
綺麗に整頓された部屋。
生活臭のないその様子は、部屋の主人がもう戻らないことを伺わせた。
タークスの制服ですら、丁寧に畳まれてベッドの上に置かれていた。
これで、もうヒロインが戻らないつもりで出ていったのだと確信した。
「何でだよ…」
レノは困惑して、頭を抱えた。
ヒロインのベッドに腰掛け、つい何時間か前に思いを馳せる。
二人で愛し合った幸せな時間。
それが幻だったかのように、あっという間に消え失せてしまった。
「ヒロイン――」
昨日の気持ちはうそだったのか?
顔を上げ、ふと目を遣った先、タンスの上に、一通の封筒が置かれていた。
レノはベッドから立ち上がり、そちらに足を向けた。
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