1-10:Determination
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真夜中。
皆が眠りに就く時間に、ヒロインは一人目を覚ました。
「レノ…」
自分を抱いて眠る愛しい人の無垢な寝顔に、自然とヒロインの口元が緩む。
しかし、ヒロインの目は笑っていなかった。
暗く沈んだ心の内を映しているかのように伏せられた目は、悲しい色に染まっていた。
そっとレノの腕の中を抜け出すと、ヒロインは近くに脱ぎ捨ててあったバスローブをまとい、ベランダに出た。
乾いた夜風が肌に当たる。
冷たくもなく心地よい風に髪をなびかせ、ヒロインは夜空を見上げた。
「空、久しぶりに見た気がする」
煌々と照らすビルの明かりが星を隠していたが、いつもスラムからプレートを眺めていたヒロインにしてみれば、それは十分美しいものだった。
「最後に見たの、いつだったかな…」
夜空をぼーっと眺めながら考えてみるが、靄がかかっているみたいに記憶がはっきりしない。
思い出そうとすればするほど、頭が割れそうに痛む。
「私…一体何なの?」
ベランダの手摺りにもたれ、ヒロインは両手で顔を覆った。
無意識のうちに人を殺したり、男を誘ったり。
自分の中の何かに乗っ取られるような感覚を思い出し、ヒロインは身震いした。
自分の中に起きている異変。
それを知るのは研究員だけだろう。
研究員に会えば、全て解決するような気がしていた。
しかし、自分の正体を知るのは怖い。
それに、研究員に会えば、もうこの場所には帰って来られない気もする。
レノは全てを受けとめると言ってくれたが、真実から目を背けてレノと一緒にいられそうにはなかった。
何かに怯えて生きていくのは辛い。
「確かめなきゃ…」
自分は誰で、一体何者なのか。
ヒロインは瞳に決意の色を浮かべた。
「白の研究所…」
唯一研究員が残した手掛かりになる言葉を頼りに、ヒロインは一人で進むことを決めた。
もしこの先何があっても、もう逃げ出さない。
「ありがとう、レノ」
愛してくれて。
守ってくれて。
ヒロインはレノの唇にキスをすると、静かに家を出た。
さよなら。
To be continued...
2006/02/28
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皆が眠りに就く時間に、ヒロインは一人目を覚ました。
「レノ…」
自分を抱いて眠る愛しい人の無垢な寝顔に、自然とヒロインの口元が緩む。
しかし、ヒロインの目は笑っていなかった。
暗く沈んだ心の内を映しているかのように伏せられた目は、悲しい色に染まっていた。
そっとレノの腕の中を抜け出すと、ヒロインは近くに脱ぎ捨ててあったバスローブをまとい、ベランダに出た。
乾いた夜風が肌に当たる。
冷たくもなく心地よい風に髪をなびかせ、ヒロインは夜空を見上げた。
「空、久しぶりに見た気がする」
煌々と照らすビルの明かりが星を隠していたが、いつもスラムからプレートを眺めていたヒロインにしてみれば、それは十分美しいものだった。
「最後に見たの、いつだったかな…」
夜空をぼーっと眺めながら考えてみるが、靄がかかっているみたいに記憶がはっきりしない。
思い出そうとすればするほど、頭が割れそうに痛む。
「私…一体何なの?」
ベランダの手摺りにもたれ、ヒロインは両手で顔を覆った。
無意識のうちに人を殺したり、男を誘ったり。
自分の中の何かに乗っ取られるような感覚を思い出し、ヒロインは身震いした。
自分の中に起きている異変。
それを知るのは研究員だけだろう。
研究員に会えば、全て解決するような気がしていた。
しかし、自分の正体を知るのは怖い。
それに、研究員に会えば、もうこの場所には帰って来られない気もする。
レノは全てを受けとめると言ってくれたが、真実から目を背けてレノと一緒にいられそうにはなかった。
何かに怯えて生きていくのは辛い。
「確かめなきゃ…」
自分は誰で、一体何者なのか。
ヒロインは瞳に決意の色を浮かべた。
「白の研究所…」
唯一研究員が残した手掛かりになる言葉を頼りに、ヒロインは一人で進むことを決めた。
もしこの先何があっても、もう逃げ出さない。
「ありがとう、レノ」
愛してくれて。
守ってくれて。
ヒロインはレノの唇にキスをすると、静かに家を出た。
さよなら。
To be continued...
2006/02/28
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