1-9:Prototype
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自宅までルードに乗せてもらったレノは、久しぶりに会うヒロインに思いを馳せた。
エレベーターを待つことすらもどかしい。
チン!と軽快な音ともに、やっと到着したエレベーターに乗り込み、レノはぎょっと目を見張った。
所々に付着した血痕。
ちょうどレノが住む階のボタンにはっきりと血の跡が残っていた。
「ヒロイン!?」
まさか怪我をしたのか?
焦る気持ちのまま、レノはエレベーターに乗り込み、到着までイライラと足を踏み鳴らした。
残された血の跡を辿って着いたのはやはり自分の部屋で、それは浴室に続いていた。
電気すら点いていない浴室の明かりを付け、レノはそっと仕切り戸を開けた。
「ヒロイン…?」
赤く汚れた流し場、真っ赤な湯。
その光景に、レノは息を飲んだ。
白い浴室は、色を塗り替えられたように朱に染まっていた。
その浴槽に死んだように浸かるヒロインの姿。
レノは濡れるのも構わず、スーツのまま浴室に入り、浴槽のヒロインを揺り動かした。
「ヒロイン!」
ぴくっとヒロインの身体が震えた。
「レノ…?」
夢から覚めたような表情で、ヒロインはレノを見上げた。
「怪我、したのか?」
レノの問いにヒロインは首を振った。
静かだった赤い水面に、波紋が起こる。
再び視線を落としたヒロインは、何かを隠すように肩まで湯に浸かった。
さざ波が立った浴槽から、赤く汚れた湯が零れ落ちた。
自分が出かける前と全く違うヒロインの様子に、レノは何があったのだろうと眉をひそめた。
心を閉ざし、自分を囲む高く厚い壁を作ったヒロイン。
踏み込みがたい雰囲気を感じたが、レノは浴槽を挟んでヒロインの隣にしゃがみ込み、ヒロインを覗き見た。
すっかり内に閉じこもってしまったヒロインの白磁の肌に点々と残る赤い跡。
まるでキスマークのようなそれに、レノの不安げに揺れていた心が、大きく騒ついた。
「ヒロイン、これ――」
皆まで言い切ることはできなかった。
ヒロインに伸ばしたレノの手は振り払われた。
水面が大きく揺れ、大量の湯が流れ落ちる。
それはまるで、ヒロインの心の内を映しているようだった。
To be continued...
2006/02/19
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エレベーターを待つことすらもどかしい。
チン!と軽快な音ともに、やっと到着したエレベーターに乗り込み、レノはぎょっと目を見張った。
所々に付着した血痕。
ちょうどレノが住む階のボタンにはっきりと血の跡が残っていた。
「ヒロイン!?」
まさか怪我をしたのか?
焦る気持ちのまま、レノはエレベーターに乗り込み、到着までイライラと足を踏み鳴らした。
残された血の跡を辿って着いたのはやはり自分の部屋で、それは浴室に続いていた。
電気すら点いていない浴室の明かりを付け、レノはそっと仕切り戸を開けた。
「ヒロイン…?」
赤く汚れた流し場、真っ赤な湯。
その光景に、レノは息を飲んだ。
白い浴室は、色を塗り替えられたように朱に染まっていた。
その浴槽に死んだように浸かるヒロインの姿。
レノは濡れるのも構わず、スーツのまま浴室に入り、浴槽のヒロインを揺り動かした。
「ヒロイン!」
ぴくっとヒロインの身体が震えた。
「レノ…?」
夢から覚めたような表情で、ヒロインはレノを見上げた。
「怪我、したのか?」
レノの問いにヒロインは首を振った。
静かだった赤い水面に、波紋が起こる。
再び視線を落としたヒロインは、何かを隠すように肩まで湯に浸かった。
さざ波が立った浴槽から、赤く汚れた湯が零れ落ちた。
自分が出かける前と全く違うヒロインの様子に、レノは何があったのだろうと眉をひそめた。
心を閉ざし、自分を囲む高く厚い壁を作ったヒロイン。
踏み込みがたい雰囲気を感じたが、レノは浴槽を挟んでヒロインの隣にしゃがみ込み、ヒロインを覗き見た。
すっかり内に閉じこもってしまったヒロインの白磁の肌に点々と残る赤い跡。
まるでキスマークのようなそれに、レノの不安げに揺れていた心が、大きく騒ついた。
「ヒロイン、これ――」
皆まで言い切ることはできなかった。
ヒロインに伸ばしたレノの手は振り払われた。
水面が大きく揺れ、大量の湯が流れ落ちる。
それはまるで、ヒロインの心の内を映しているようだった。
To be continued...
2006/02/19
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