ホテルの部屋に入るなり、男は我慢しきれないとばかりにヒロインをベッドに押し倒した。



「いやっ！」



　両腕を力任せに押さえられ、動かそうとするたび激痛が走る。




「痛っ！ちょっ…ねぇ、もっと優しくして…」



「はぁ！？俺がお前を買ったんだから、どんなふうに抱こうが関係ねぇだろ！」



　男の目が暴力的な光を宿したのを見て取り、ヒロインは全身から血の気が引くのを感じた。




（やだ…犯される――！）



　生理的嫌悪感と無理矢理犯される恐怖から、ヒロインは身体を震わせた。



「あんだけ積極的に誘ってきたのに、今更怖気づいたってのか！？」



　男はヒロインを見下ろすと、鼻先で笑い飛ばし、一気にヒロインの服を引きちぎった。




「いい女だな」



「お願っ…やぁ！」



　男は遠慮もなくヒロインの胸にむしゃぶりついた。



　性的快感よりも気持ち悪さが上回り、ヒロインは自由になった手で男を押し退けようとしたが、力で適うはずもなかった。





　胸元に散った無数の赤い跡が、ヒロインの身体を汚していく。













（嫌！レノ――助けて！！）


















『ヒロイン、男が吐いた。そっちの方は用済みだ。消せ』





　男が自分のものを取り出そうとしていたとき、ツォンからの通信が入った。




　ヒロインは腕を伸ばし、引き出しを開ける。



　男は自分のことに精一杯で、こちらの様子には気付いていない。



　素早く銃を手に取り、ヒロインは安全装置を外すと、手を布団の中に入れた。



　引金に指を掛け、男が近づくのを待つ。





　男が自分のものをヒロインの秘部に入れようと、ヒロインにまたがった。














　パーーーン！







　ヒロインは躊躇う事無く引金を引いた。




　至近距離で放たれた銃弾は、男の心臓を貫いた。




「ぐぅっ！お前…！」




　男の瞳に怒りの炎が浮かぶ。




　ヒロインは無言で、もう一度引金を引いた。





　事切れた男は、ヒロインの上に倒れこんだ。






　男から流れだした血が、ヒロインの白い肌を赤く塗り潰していった。



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