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1-9:Prototype

ヒロイン

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ヒロイン

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元新人ソルジャー

「レノ、顔色が悪いぞ」



 相棒に心配されるほどひどい顔をしているのか。



 レノは無理にふっと笑うと、扉を押した。






 入った瞬間聞こえてきたのは機械音。



 死んだはずの設備が動いている?



 レノは眉をひそめると、電磁ロッドを抜いて一気に扉を開け放った。












「ようこそ…レノさん、ルードさん」



元新人ソルジャー…!」



 驚いて目を丸くしたレノだったが、すぐ鋭い視線で元新人ソルジャーを睨み付けた。



 ロッドを握る手に自然と力が入る。




「そろそろ来ると思ってました」



 人懐っこい顔をして笑うと、元新人ソルジャーは手に持っていたファイルを投げて寄越した。



 それを受けとったレノは、訝しんで目を細めた。



「何の真似だ、と」




「あなた方の任務の助けになれば、と思ってね」



 おどけて首を竦めた元新人ソルジャーが、ファイルを開いてみるよう言った。



 言うとおりにするのは悔しかったが、渋々レノはファイルを開いた。





『プロトタイプ・ヒロイン:監視報告書』




 予想はしていたが、実際にヒロインの名前を目にすると、ファイルを持つ手が震えた。




「プロトタイプ?何だこれは?」



 横からファイルを覗き込んだルードが、サングラス越しに真っ直ぐ元新人ソルジャーを見た。



「そのままの意味ですよ、ルードさん」



 相変わらず笑顔は崩さず、元新人ソルジャーが得意げに語り始めた。



「もう気付いているでしょう。ヒロインはここの実験サンプルの一人です。プロトタイプとして作られた失敗作ですが」



 ヒロインが失敗作。



 レノはぎりっと唇を噛み、そう言い放った元新人ソルジャーを鋭く睨んだ。




「結局人型を留めたのはヒロインだけで、あとはあなた方神羅に処分されちゃいましたけど」



 さも可笑しそうに元新人ソルジャーが笑う。



「そんなことを俺たちに話して何になるんだ?」



 さっぱり先の見えない元新人ソルジャーの話に痺れを切らし、レノはファイルをルードに渡すと、ロッドを元新人ソルジャーに向けた。



 しかし元新人ソルジャーは動揺もせず、ゆったりと構えた姿勢を崩さない。



 ククッと喉を鳴らした元新人ソルジャーの瞳が、妖しく光った。






「僕はただ、ヒロインを壊してしまいたいだけです」



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