1-9:Prototype
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
研究所内部は、不自然なほど白で統一されていた。
あの惨劇によって、無数の血痕が床や壁、天井を染めていたが、それでも異様なまでに白さが際立っていた。
「一階は異常なしだぞ、と」
注意深く見て回ったが、人が出入りした形跡はないし、設備も壊れたまま放置されていて、とても稼働できる状態ではない。
「あとは、地下だな」
人目に付かないよう隠された階段を前に、ルードが眉間に皺を寄せた。
レノも暗い口を開けている階段に視線を移す。
数年前の惨劇の場。
それが地下実験場だった。
「さて、さっさと終わらせちまうぞ、と」
暗い気分を吹き飛ばすように、わざと面倒臭そうに言うと、携帯型の懐中電灯を取出し、先頭に立って階段を下りていった。
階段を下りきったところで、鉄製の扉が行く手を遮った。
ルードが後ろから照らし、レノは扉に手を掛けた。
「!?」
はっきりとそこに描かれていた逆さ星。
ヒロインの腰にあった刺青と同じもの。
レノの心臓が大きく脈打った。
喉が干上がる。
気持ちの悪い汗が背中を伝った。
「レノ、どうした?」
不自然に動きを止めた相棒に、ルードが声を掛けた。
はっとしたレノは、擦れた声で何でもないと告げると、扉を押した。
(まさか、ヒロイン――)
レノはふと、以前ヒロインの刺青を目にしたときのことを思い出した。
――前にどこかで…
そう思ったのは、数年前の任務で目にしていたから。
すっかり頭の奥に潜んでいたが、今確かに思い出した。
この研究所とヒロインは関係がある。
レノはそう確信した。
だから、この研究所の再調査が命じられた。
この先に、ヒロインに繋がる何かがある。
でも、それは知ってはいけないものかもしれない。
逸る気持ちとためらいと、二つの相反する感情が鬩[せめ]ぎ合っていた。
地下実験室を調べ終え、レノとルードは最後の扉の前に立った。
.
あの惨劇によって、無数の血痕が床や壁、天井を染めていたが、それでも異様なまでに白さが際立っていた。
「一階は異常なしだぞ、と」
注意深く見て回ったが、人が出入りした形跡はないし、設備も壊れたまま放置されていて、とても稼働できる状態ではない。
「あとは、地下だな」
人目に付かないよう隠された階段を前に、ルードが眉間に皺を寄せた。
レノも暗い口を開けている階段に視線を移す。
数年前の惨劇の場。
それが地下実験場だった。
「さて、さっさと終わらせちまうぞ、と」
暗い気分を吹き飛ばすように、わざと面倒臭そうに言うと、携帯型の懐中電灯を取出し、先頭に立って階段を下りていった。
階段を下りきったところで、鉄製の扉が行く手を遮った。
ルードが後ろから照らし、レノは扉に手を掛けた。
「!?」
はっきりとそこに描かれていた逆さ星。
ヒロインの腰にあった刺青と同じもの。
レノの心臓が大きく脈打った。
喉が干上がる。
気持ちの悪い汗が背中を伝った。
「レノ、どうした?」
不自然に動きを止めた相棒に、ルードが声を掛けた。
はっとしたレノは、擦れた声で何でもないと告げると、扉を押した。
(まさか、ヒロイン――)
レノはふと、以前ヒロインの刺青を目にしたときのことを思い出した。
――前にどこかで…
そう思ったのは、数年前の任務で目にしていたから。
すっかり頭の奥に潜んでいたが、今確かに思い出した。
この研究所とヒロインは関係がある。
レノはそう確信した。
だから、この研究所の再調査が命じられた。
この先に、ヒロインに繋がる何かがある。
でも、それは知ってはいけないものかもしれない。
逸る気持ちとためらいと、二つの相反する感情が鬩[せめ]ぎ合っていた。
地下実験室を調べ終え、レノとルードは最後の扉の前に立った。
.