1-7:Kill
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ヒロインは本社の医務室で目を覚ました。
いつの間にか血塗れのスーツから、白のガウンに着替えさせられている。
固いマットレスに手をついて、ヒロインはゆっくりと起き上がった。
ベッドを囲むようにカーテンが引かれていて、外の様子は分からない。
薬のせいか、身体も気怠い。
両手を広げ、指を曲げたり伸ばしたりしながら、ヒロインはぼんやりと両の手の平を見つめた。
(殺した…)
意識がはっきりしてくるにつれて、手にあの感覚が蘇る。
新人ソルジャーに渡されたナイフで、男を刺した。
許しを請う男の額に銃口を突き付け、躊躇いなく引金を引いた。
「私…一体何なの――」
ヒロインは両手で顔を覆って泣いた。
今まで信じていたものが、全て崩れたような気がして。
「ヒロイン、起きたか?」
ふいに聞こえたレノの声に驚き、ヒロインは慌てて涙を拭った。
カーテンにレノと思われる影が映っている。
「あ、うん」
ヒロインが返事をすると、レノがカーテンを開けて入ってきた。
「…泣いてたのか?」
「え?」
あっさりレノに見破られ、ヒロインは困って顔を伏せた。
「目元に涙の跡、残ってるぞ、と」
苦笑されながらそう言われ、ヒロインは驚いてレノの言った箇所に手を当てた。
確かに触ってみると、そこには涙の流れたざらついた跡があった。
「適わないわね、レノには」
「先輩だからな」
偉そうに言うレノが可笑しくて、ぷっとヒロインは吹き出した。
「そうだ。ツォンさんから伝言。『事情は明日聞くから、今日は帰って休め』だとよ」
ほら、とレノが紙袋を広げた。
どうやら一度家に帰って、取ってきてくれたらしい。
「ありがと、レノ。お礼に着替え、見せてあげようか?」
「んな!?」
下から覗き込み目が合うと、レノは真っ赤な顔をしてそっぽを向いた。
「ばっ!ほら、あっち向いててやるから、着替えたら言えよ」
ぶっきらぼうに言うと、レノはぴしゃっとカーテンを閉めた。
「本当に…ありがとう」
ヒロインはレノの背中に微笑んだ。
To be continued...
2006/01/17
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いつの間にか血塗れのスーツから、白のガウンに着替えさせられている。
固いマットレスに手をついて、ヒロインはゆっくりと起き上がった。
ベッドを囲むようにカーテンが引かれていて、外の様子は分からない。
薬のせいか、身体も気怠い。
両手を広げ、指を曲げたり伸ばしたりしながら、ヒロインはぼんやりと両の手の平を見つめた。
(殺した…)
意識がはっきりしてくるにつれて、手にあの感覚が蘇る。
新人ソルジャーに渡されたナイフで、男を刺した。
許しを請う男の額に銃口を突き付け、躊躇いなく引金を引いた。
「私…一体何なの――」
ヒロインは両手で顔を覆って泣いた。
今まで信じていたものが、全て崩れたような気がして。
「ヒロイン、起きたか?」
ふいに聞こえたレノの声に驚き、ヒロインは慌てて涙を拭った。
カーテンにレノと思われる影が映っている。
「あ、うん」
ヒロインが返事をすると、レノがカーテンを開けて入ってきた。
「…泣いてたのか?」
「え?」
あっさりレノに見破られ、ヒロインは困って顔を伏せた。
「目元に涙の跡、残ってるぞ、と」
苦笑されながらそう言われ、ヒロインは驚いてレノの言った箇所に手を当てた。
確かに触ってみると、そこには涙の流れたざらついた跡があった。
「適わないわね、レノには」
「先輩だからな」
偉そうに言うレノが可笑しくて、ぷっとヒロインは吹き出した。
「そうだ。ツォンさんから伝言。『事情は明日聞くから、今日は帰って休め』だとよ」
ほら、とレノが紙袋を広げた。
どうやら一度家に帰って、取ってきてくれたらしい。
「ありがと、レノ。お礼に着替え、見せてあげようか?」
「んな!?」
下から覗き込み目が合うと、レノは真っ赤な顔をしてそっぽを向いた。
「ばっ!ほら、あっち向いててやるから、着替えたら言えよ」
ぶっきらぼうに言うと、レノはぴしゃっとカーテンを閉めた。
「本当に…ありがとう」
ヒロインはレノの背中に微笑んだ。
To be continued...
2006/01/17
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