レノたちが地上に出ると、すでにタークスの面々と救護班が待機していた。




「任務完了です、と。男の死体は地下の袋小路にあります」



　ヒロインを抱き上げたまま、レノはツォンに報告した。



　ツォンは無言で頷くと、レノにヒロインと共に救護ヘリで本社に帰るよう指示を下した。









　救護ヘリに乗ると、衰弱のひどいヒロインはベッドに寝かされ、左腕に点滴が繋がれた。



　その痛々しい姿に、レノの顔が自然と曇る。




「そんな顔しないで。私なら、ちょっと疲れただけだから…」




　無理に笑顔を作るヒロインが余計にいじらしく、レノは唇を噛み締めた。




　自然と溜息が漏れる。




「ねぇ…レノ…‥」



　自分を見上げるヒロインが困ったようにしているのに気付き、レノは苦笑した。



「あー…悪かったな…」



　ヒロインを心配しながらも、結局それがヒロインを困らせる結果になってしまった。



　気持ちが先回りしすぎて、空回りしている自分が格好悪くてレノは頭を掻いた。



「ほら！とりあえず寝ろ」


　照れ隠しにレノはやや乱暴に言うと、そっぽを向いた。




「ありがとう…レノ」




　レノの気持ちを汲んで、ヒロインはゆっくりと目を閉じた。













　しばらくしてヒロインが寝息を立て始めた。



　点滴に睡眠薬でも混ぜられていたのかもしれない。


　やっと緊張の取れた顔で眠ったヒロインに安心し、レノは視線を窓の外に向けた。





　眼下に広がるミッドガルの街並み。




　あの地下水路には、もう一人誰かがいた。



　そう確信に近いものがレノにはあった。




　そして、その『誰か』もレノにはある程度見当が付いていた。




（新人ソルジャー…調べてみるか）




　新人ソルジャーの顔を思い出し、自然とレノの顔が険しくなった。



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