ヘリから降りた二人は、現場のツォンたちと合流した。



　発砲事件現場周辺を捜索しているところだという。



　しかし、進展はないようだった。




　スラムでの組織孅滅から一昨日の作戦まで、ルードが逃げた組織幹部に関することを漏らさずツォンに報告した。



　レノは焦る気持ちをなんとか落ち着かせようと、ルードとツォンの話を聞きながらタバコを吸っていた。





「どうやらその男が絡んでいるのは間違いなさそうだな」



　ツォンが顔をしかめた。



　ヒロインがその男に拉致されたのが確定し、よりツォンを悩ませる。



　少し間を置き、ツォンは苦渋の決断をした。




「最優先事項は男の殺害だ。もしものときは…わかってるな？」




　ヒロインを見殺しにしてでも、任務を遂行する。




　レノは軽く下唇を噛み、小さく頷いた。



　ルードもツォンの表情も冴えない。




　仲間を手に掛けたくないのは全員の一致した思いだった。




「時間がない。散開するぞ」



　ツォンが感情を押し殺して指示を下した。














　レノは一人で裏通りを歩いていた。



　ヒロインのことをできるだけ考えないように、任務に集中する。




「さて、どこに隠れたのかな、と」




　レノは８番街の地図を頭に思い描いた。



　時間が経てば経つほど、ヒロイン救出の機会が減る。



　焦る気持ちを必死に抑え、候補を上げては消し、また考え――それを何度か繰り返すうちに、レノは以前の任務を思い出した。





　地下水路での残党狩り。




　入り組んだ作りになっている地下水路を拠点にし、組織を再建しようとした奴らを始末したのは１年半前。




　意外に盲点になっている可能性が高いことから、レノは確かめる価値があると踏んだ。



（入口は――）



　１ブロック前の行き止まりになってる所にあったはず。




　レノはいつもより速いスピードで道を引き返した。



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