1-7:Kill
ヒロインは目を覚ました。
頭が痛い。
締め付けられるような痛みにヒロインは顔をしかめた。
こめかみを押さえ、地面に肘を突いてゆっくりと起き上がる。
「…まだダメか」
上から聞こえた残念がる声に、ヒロインは視線だけ上げた。
「思ったより強情だ」
屈託のない表情で覗き込まれたヒロインは、声の主の名前を力なく呼んだ。
「新人ソルジャー…」
うっ、と呻くと、ヒロインはその場に吐瀉した。
新人ソルジャーに見下すように見られていたが、ヒロインにはそれに構う余裕はなかった。
目の前にしゃがみこんだ新人ソルジャーをヒロインは力なく見上げた。
新人ソルジャーにくいっと指で顎を持ち上げられ、ヒロインは無理矢理目を合わされる。
そして、にこっと笑いかけられ、得体の知れない恐怖を感じた。
「人を殺すの、初めてだった?」
新人ソルジャーにつられ、視線を遣ったその先には。
変わり果てた男の死体。
大きく見開かれたままの目が、こちらをぎろりと睨んでいる。
もはや息絶えた無残なそれに、ヒロインは口を押さえた。
「あれ、ヒロインがやったんだ」
新人ソルジャーがさも可笑しそうに笑った。
「う、そ…」
茫然としていると、新人ソルジャーがにぃーっと笑い、ヒロインの手を掴んで目の前まで持ち上げた。
光を当て、よく見えるように。
「これ、なぁんだ?」
手、白いシャツの袖口、スーツ、髪。
至る所に付着した血。
「わ、たし…」
ナイフを握った手。
刺した感触。
火薬の匂い。
全部、知ってる……?
「私…殺し、た?」
「ヒロインには、もっと汚れてもらうよ。死にたくなるぐらいにね」
座り込み、茫然と自分の手を見つめるヒロインを嘲笑すると、新人ソルジャーは静かに闇に消えた。
「いやぁああー!!」
全て思い出し、ヒロインは割れんばかりの悲鳴を上げた。
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頭が痛い。
締め付けられるような痛みにヒロインは顔をしかめた。
こめかみを押さえ、地面に肘を突いてゆっくりと起き上がる。
「…まだダメか」
上から聞こえた残念がる声に、ヒロインは視線だけ上げた。
「思ったより強情だ」
屈託のない表情で覗き込まれたヒロインは、声の主の名前を力なく呼んだ。
「新人ソルジャー…」
うっ、と呻くと、ヒロインはその場に吐瀉した。
新人ソルジャーに見下すように見られていたが、ヒロインにはそれに構う余裕はなかった。
目の前にしゃがみこんだ新人ソルジャーをヒロインは力なく見上げた。
新人ソルジャーにくいっと指で顎を持ち上げられ、ヒロインは無理矢理目を合わされる。
そして、にこっと笑いかけられ、得体の知れない恐怖を感じた。
「人を殺すの、初めてだった?」
新人ソルジャーにつられ、視線を遣ったその先には。
変わり果てた男の死体。
大きく見開かれたままの目が、こちらをぎろりと睨んでいる。
もはや息絶えた無残なそれに、ヒロインは口を押さえた。
「あれ、ヒロインがやったんだ」
新人ソルジャーがさも可笑しそうに笑った。
「う、そ…」
茫然としていると、新人ソルジャーがにぃーっと笑い、ヒロインの手を掴んで目の前まで持ち上げた。
光を当て、よく見えるように。
「これ、なぁんだ?」
手、白いシャツの袖口、スーツ、髪。
至る所に付着した血。
「わ、たし…」
ナイフを握った手。
刺した感触。
火薬の匂い。
全部、知ってる……?
「私…殺し、た?」
「ヒロインには、もっと汚れてもらうよ。死にたくなるぐらいにね」
座り込み、茫然と自分の手を見つめるヒロインを嘲笑すると、新人ソルジャーは静かに闇に消えた。
「いやぁああー!!」
全て思い出し、ヒロインは割れんばかりの悲鳴を上げた。
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