ヒロインの潜入していた組織は８番街スラム・花街の中にあった。


　一見したところはただの飲み屋だが、前々から不穏分子が集まっていると情報があった所だ。





「さて、時間だぞ、と」



　腕時計で時間を確認すると、レノは様子を伺った。



　スラムには朝も夜もないが、時間が時間なので、夜が本番の花街はひっそりとしていた。



　当然店も開店前なので、店内は薄暗い。





「お前たちは雑魚を片付けておけ。俺たちは幹部連中だ、と」




　神羅兵たちにそう指示すると、ルードと一度顔を見合わせ、先陣を切ってレノは電光石火の速さで店の入口を蹴破り、敵地に飛び込んだ。



　その後に、ルード、神羅兵の順に続く。




　電磁ロッドで敵を殴り倒しながら、余裕さえ見える表情でレノは隣で拳を振るうルードに話し掛けた。



「幹部は３人だから、多く倒した方が勝ちで、負けたら奢りだぞ、と」




　素早く敵の攻撃を躱すと、レノは敵を蹴り飛ばす。



「ふん。負けても文句は言うなよ」



　ルードが不敵に笑い、横から襲ってきた敵を投げ飛ばした。



「言うねぇ、相棒。――じゃあ、後でな」




　二人は散開して幹部を追うことにした。























「本当にこれだけか？」


「はい、間違いありません。アジトは地下通路を含め、完全に包囲していたので逃げられた者はいません」


「参ったな…」



　神羅兵の報告を受けたレノは顔をしかめた。




「とりあえず、幹部一人が逃亡中と本部に連絡しておく」



　ルードが携帯を取り出し、本部に報告を入れている間、レノはもう一度死体を確認する。



　胸ポケットから写真を取り出して念入りに確認したが、やはりいない。




「今日も残業かよ…」




　ちっと舌打ちして、レノは店から出た。



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