就業時間になると、タークスのメンバーはそれぞれ任務に向かったり書類作成に取り掛かった。



　ヴェルドは会議があるからと、後をツォンに任せてオフィスを出ていった。




　ヒロインはヴェルドから渡された書類に目を通してはサインをし、レノは書類の山の中でタバコを吸っていた。





　そんな中ツォンがレノと、ルードの２人を呼んだ。




「任務ですか、と」



　レノはタバコをくわえたまま、ツォンから書類を受け取る。



「ヒロインが潜入していた組織の孅滅だ」




　書類に目を通していたレノは、ちらっとヒロインを盗み見た。



　会話は聞こえているはずなのに、ヒロインは少しもこちらを見ない。




　今回の作戦でヒロインの任務は潜入し組織の情報を得ること。


　それ以降は任された者の仕事であるから、必要以上に干渉しない。


　私情を挟まないのが鉄則。



（伊達に潜入捜査やってたわけじゃなさそうだな）




　ヒロインのプロとしての一面を見せられ、レノは感心する。





「作戦の詳細、ターゲットの顔写真はこっちのファイルにある。時間までに目を通しておけ」




「「了解」、と」



　ツォンからファイルを受け取ったレノは、それをルードに渡し席に戻った。












「ヒロイン」



　レノ、ルードと入れ替わるように、ヒロインがツォンに呼ばれた。




「何か？」



　ツォンのデスクの前に立つヒロインの姿は、新人には見えないほど堂々としていた。



　朝あれだけ緊張していたのが嘘のようなヒロインに、ツォンが安心したように微笑む。



「ヒロインは昼から８番街の警備だ。新人タークスの慣例だからな。難しい任務ではないから落ち着いてやってくれればいい」



「はい！」



　それまでは書類整理をと言われたヒロインが席に戻ろうとするのを、思い出したようにツォンが呼び止めた。



「ところでヒロイン、住む所は決めたのか？」



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