しーーんと静まり返ったオフィスに、こほん！とヴェルドの咳払いが響いた。



　じぃーっと事の成り行きを見守り、ヒロインとレノを交互に見ていたタークスのメンバーは慌てて二人から視線を逸らした。




　落ち着いたところでヴェルドがヒロインを皆に紹介する。



「今日からタークスの一員として働くことになったヒロインだ」



「あ…ヒロインです。よろしくお願いします！」




　ヴェルドに促され、ヒロインははっとして頭を下げて挨拶をした。











「よぉルード。久しぶりだな」



　ヒロインが挨拶をし、ヴェルドから様々な説明を受けている間に、レノは久方ぶりに会った相棒と話していた。



「あぁ…任務に就いていたからな。それにしても…」

　ルードが一度溜息で言葉を切った。


「…あれはやりすぎだ」




　もう一度大きな溜息を吐いたルードに、レノはにやっと笑う。



「つい、な」



「ガキと変わらんな」



　やれやれと肩を竦めたルードの言葉に苦笑いしたレノは、ちらっとヒロインに視線を向ける。



「なーんか、いじめたくなるんだよな」



「お前の浮気癖も治りそうだな」


「あ？なんだそりゃ」



　ふっと笑ったルードに訳がわからないとばかりに、レノは首を傾げた。










「ヒロインの席は、あそこだ」



　と、レノの耳にヴェルドの声が入ってきた。



　どうやらヒロインの席はルードの隣、レノの右斜め前のようだ。




　こちらに近づいてくるヒロインに視線を向けると目は合ったものの、すぐにヒロインがぷいっとそっぽを向いた。




（結構根に持つ方なんだな…）




　今日新たにヒロインの厄介な性格を発見したレノは、ルードと挨拶を交わしているヒロインを横目で見ながら、気を付けようと心に決めた。



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